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カテゴリ:放射線・放射能解説
今日は放射性物質の厄介な側面について触れたいと思います。今まで、説明したように微量で簡単に基準値を超えるだけでなく、さらにやっかいな性質が二つあります。 まず、原発事故で放出された放射性物質をなくすことはできないくて、時間の経過を待つしかないということです。たとえば、ある場所にセシウム137がたまり放射線を出していた場合、放射線の量が1/10以下になるにはどのくらいの時間が必要であるかを考えてみます。 半減期が約30年ですので、30年で半分、60年で1/4、90年で1/8、120年で1/16となりますので、およそ一世紀かかることになります。半減期が2万年を超えるプルトニウムなどは、人類が生存しているか疑問に思えるような時間になります。 よく除染という言葉が使われますが、やっていることは放射性物質を取り除くだけで、放射性物質自体は別の場所に移すことしかできません。今、その保管場所をどうするかでもめていますが、保管場所が決まっても長期間に渡って放射性物質が漏れないように管理し続ける必要があります。 もう一つ厄介なのは、たとえば放射性セシウムと放射性でないセシウムの化学的な性質が変わらないことです。化学的性質が変わらないということは、化学的性質を利用して放射性物質のみを取り除くことができないということです。放射性物質のみを簡単に取り除くことは難しいということを意味します。 単位面積や体積あたりで考えれば、原発事故で放出された放射性物質の量は微量ですが、除染で大量の低レベル汚染物質が発生することになり、それを長期間に安全に保管しなければならなくなるというのが、これから私たちが直面する課題になります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.01.26 22:23:24
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