「狼と香辛料II」　支倉凍砂

2006/07/08

カテゴリ：ライトな本

すばらしい、素晴しすぎるぞ！？

もう、なんて言って褒めて良いのか分からないくらい、素晴しい。

ホロたんのＫ２！？

そっちかい・・・。

ホロたんの尻尾！！？

もういいって・・・。

ホロたんの・・・。

大きな商売を仕掛けたと思ったら、思いっきり騙されて、無一文はおろか、商人生命を絶たれる窮地に陥ってしまう。そんなピンチを切り抜ける為に浮かんだ策は・・・。

素敵な三角関係大作戦！？

偶然出会った、羊飼いの娘をそそのかし、自分が生き残るための密輸の片棒を担がせようとするなんて、何て素敵な三角関係！？

えーっと、狼と、羊飼いの間で揺れ動く、しゃいなロレンス君の赤面ハートフルラブコメディじゃ無かったのですか・・・。orz

いや、それ嫌だから・・・。
ちゃんと最後まで、責任取れよ・・・。

天国と地獄

まるで人生ゲームでも驚くような、勝者の天国から、敗者の地獄に転落したロレンス。
しかも、賢狼ホロの知恵をもってしても解決策が見つからない。

世が世なら、破産宣告で済んだりする訳で、世の中って便利になりましたよね・・・。

「お前にはきちんと明日が来る。ただし、真っ黒で、辛く、重い明日だ」

カードローンで破産宣告なんてお気楽な奴らはみんな、奴隷商人に売払って、炭鉱で働くか、舟の漕ぎ手になればイイ！？

世の中はそんなに甘くは無い。

善と悪

勧善懲悪な作品が多い中、この２つの単語で切り分けられるほど、世の中は甘くないと言うか、この作品はテーマが深すぎる訳で・・・。

一握りの者が儲ける為に作ったルールは、善なのか悪なのか？
生き残る為に、そんな街が決めているルールを破ってしまうと言うのは、善なのか悪なのか？
生き残る為に、他人の弱みに付け込み、他人をたきつけるのは、善なのか悪なのか？
生き残る為に、他の生き物を殺してしまうのは、善なのか悪なのか？

なんか、善と悪その二つで世の中は切り分けられるはずが無いのは分かってるのに考えさせられる訳なのですよね。

罪は誰が裁くのか？

見つかれば、教会や街の権力者が裁けばイイ。

見つからなければ、誰が裁くのか？
ロレンスの素晴しいペテン師っぷりなんかは、火サスなら３０分で殺害されそうな位、他人の恨みをかってそうな気がする訳で、無事成功を収めたとしても、その罪は誰が裁けばいいのか？

心に時効は無い

生き残る為には何をやっても良いのか？
そういう風に考えちゃう訳、私の場合。

せめてもの救いは、ロレンスの心の中に、羊飼いを唆したと言う罪悪感があるということ。

法律で悪でも悪でなくても、悪い事は悪い事。

罰せられようが、られまいが、罪は一生消える事も無く。

時効が来たからと言って、罪が消える事は無い。

もちろん、教会にお祈りしたからと言って、罪が消える事は無い。

無様でも、かっこ悪くても、犯した罪は一生背負って生きていくしか無いんじゃないか？

まあ、そんな事ばかり考えさせられてしまった。
はっきり言って、感想にも何にもなってなかったり・・・。

とにかく、この作品、奥が深すぎる・・・。
＜銀賞＞と侮ってはいけない、単に売れ筋読者には話が深すぎてついていけないだけだ・・・。

侮ってはいけない、侮ればきっとこうかいする・・・グフッ。

１ヶ月近く放置してこれかよ！？orz