醸造家とふれあった試飲会
土日は連チャンで試飲会に行ってきました。特に印象に残ったローテローゼの試飲会のことを書きたいと思います。ドイツ商事という輸入業者がやっている店がローテローゼでこっちの名のほうが知れわたっています。デパートなどには卸していないので東京では知名度は低いと思いますがドイツ専門でやっていて興味深いラインナップを揃えているしっかりとした会社です。年二回東京でも試飲会をやっていて今回は三ヶ所の醸造所の方々が来るということで行ってきました。ここの試飲会にきたのは2度目です。そしてセミナーもやるということなので参加してきました。一ヶ所の醸造所につき赤白一杯ずつのワインがだされてそのワインのことを中心に話をするという形でした。ひとり30分が持ち時間だったのですがそれでは全然たりないくらい情熱的に語っていました。深いことを語るには短すぎる時間で残念でした。で最初はフランケンのヨハンルック醸造所でしたが感動は出されたワインでした。白はシルバーナのグローセスゲヴェックスだったのですが飲んだことない味わいでとてもおいしかったです。ミネラルの多いワインをテーマにしているフランケンの醸造所でトリアスというグループを結成しているみたいなのですが、今までのフランケンのポテンシャルを超えたワインをこれからも造ってくれそうです。もうひとつの試飲会でもトリアスに参加している醸造所のトリアスに認定されているリースリングのシュペットレーゼを飲んだのですがフランケンの枠をこえたおいしいリースリングでした。後でわかったのですがだされた赤も白も5000円を超えていて、顔のやさしさと同様に太っ腹な方でした。次はベルクシュトラーセの国立醸造所の元所長の方でした。国立や州営のところのワインには長い羽の鷲(だったと思います)のマークがついているのですが、このマークは日本にたくさんでまわっているラインガウのエーベルバッハの醸造所のワインで知られていると思いますが他の地域でも同じデザインなのです。ベルクシュトラーセの地域のワインは今までおいしいと思ったことがなかったのですが、ここでだされた05年のリースリングのクラシックはほどよい甘さとバランスでおいしくて、なおかつ他の地方とは少し違うかんじだったので衝撃的でした。後で試飲会の会場でこの方にきいたら01、02年あたりのはアルコール感の強いワインになったそうなのですが、05年は酸が強いものになったそうです。だからドイツらしいワインになっていて僕の好みにもあっているのだと納得しました。最後はミッテルラインのトニーヨースト醸造所で、この前に話したヒレンブラントさんの弟子なのだそうです(同じような年齢に見えてたのでそうは思えなかったのです・)。赤はドゥンケルフェルダーという初めて聞いた葡萄の種類で、濃厚さもありながらライン地方のフルーティさもあるという興味深いワインでした。質問や話題もリースリングだった白のワインよりこの葡萄に集中していました。驚いたのは、とても濃い色をしているのに皮を完全に除いて造っているということでした。試飲会の会場では一番ヨーストさんと話をしたのですが、この醸造所のあるバッハラッハ(ライン川下りで有名な地域であのローレライの岩の近くの街です)に行ったことがあって街のシンボルでもある丘の上の城のユースホステルにも泊まったと言ったらとても喜んでくれました。そしてまたバッハラッハを訪れて今度は醸造所にも行くと言ったら名刺もくれて歓迎してくれてうれしかったです。ここのワインではバッハラッハの05年のカビネットがとてもよかったです。今までもいくつか飲んでいて、ミッテルラインはやや甘口ぐらいの爽快なワインが一番すばらしいと確信したワインでした。ラインガウとは違うさわやかさが本当にすばらしいです。日曜に行った試飲会では同じ街のラッツェンベルガー醸造所のワインをいくつか試飲できたのですが、もっと高価なシュペットレーゼや辛口のグローセスケヴェックスがある中でカビネットのハルプトロッケンが一番輝いてました。3人ともいかにもドイツ人という風貌で、久しぶりにドイツ語の会話を聞いていたら去年ドイツに行ったことを思い出しました。そしてとてもフレンドリーな対応をしてくださったのが、醸造所めぐりをした醸造所の方々と一緒であの幸せなひとときがよみがえってきてすぐにでもまたドイツに行きたくなってしまいました。ドイツの著名な醸造所のほとんどは家族経営ででやっていて文字通りアットホームなのです。セミナーの途中で、一週間ぐらいの日程でどこの街の醸造所に行くかなどのルートを考えてしまったぐらいです。ドイツに限らないと思いますが物を造っている人の人柄というのはすばらしいものがありますね。自分が造っているものに敬意をしめしてくれる人には心からもてなしてくれる、というのをみていると幸せな心で満たされます。こういうふれあいがあると、造り手と消費する側が接するのはとても大事なことだと感じます。つい忘れがちですがワインは農作物です。一年間手間ひまかけて育てた葡萄からワインを作っていて、それによって一家の生計がかかっているのです。命そのものですよね。だからできたワインに愛情があるのはあたりまえですよね。そんなワインを飲んでいるのだから感謝しなくてはいけないという気持ちになります。特においしいワインには。そういうことを考えていると試飲会で飲まずに吐いていることに胸が痛くなってしまいます。商売をする人にとってはそのワインを多くの人に知ってもらうためにはしかたのないこと、なのですがどれだけのワインが犠牲になってるかと思うと悲しくなってしまいました。捨てていている場面を醸造家が見ていたらきっと胸が痛くなりながらそれを見てるのではないかと思います。もちろんプロなのでしかたがないのはわかっているでしょうけれど。全く結論がない文章ですが、自分自身でも忘れてはいけないことだなーと思ったので書きました。そんな、おいしいワインを飲むだけでなく(それだけでももちろん幸せですが)たくさんのことを考えたり感じることができた試飲会でした。