2013年東京ドイツワイン協会新年会 ドイツワインと和食の魅力と可能性
日曜の昼に東京ドイツワイン協会(非営利の愛好家の団体)の新年会がありました。今年は目白の椿山荘の料亭「錦水」にて行われました。参加者の会費は7000円なのですが、食事代とワイン代は実際にはもっとかかっているのですが、会員への還元という事で協会の口座に残っている預金からも捻出したのでこの会費でできることができてとてもお得な会だったのです(毎回こうというわけではありません)。今回は59人の方が参加されました。食事会としては今まで最大の人数だそうです。昔からの会員の方から最近ドイツワインに興味を持った方までいらっしゃって年齢層も幅広いです。新年会らしく和装の方も何人もいらっしゃいました。華やかで盛大な会となりました。会員の方が舞を舞ってくださり会に華を添えていただきました。さて、今回は7種類のワインを提供しました。10人に一本ずつなので一種類の量は少なめだけれどその分いつもの食事会より種類を増やしました。1 ヴァインガルト Weingart (Mittelrhein) ゆううん (輸入元)リースリング Sekt.b.A トロッケン 2008 2 プロシュヴィッツ Schloss Proschwitz (Sachsen) 日野屋 グラウブルグンダー(ピノ・グリ) カビネット トロッケン 2009 3 ユリウスシュピタール Juliusspital (Franken) 八田 Würzburger Stein ジルヴァーナ カビネット トロッケン 2011 4 ブール Reichsrat von Buhl (Pfalz) 徳岡 Forster Ungeheuer リースリング トロッケン グローセス・ゲヴェックス 2008 5 ベルンハルト Bernhard (Rheinhessen) ゆううん Frei-Laubersheimer Fels ゲヴェルツトラミナー アウスレーゼ (ファインヘルプ) 2011 6 シェーファー・フレーリッヒ Schäfer-Fröhlich (Nahe) 八田 Bockenauer Felsenneck リースリング シュペートレーゼ 2003 7 カール・エルベス Karl Erbes (Mosel) 稲葉 (375ml) Ürziger Würzgarten リースリング アウスレーゼ*** ゴールトカプセル 2001 料理の内容を事前に教えていただき、ある程度相性を考えてワインを決めていきました。とはいえ料理とワインを対で考えるのではなく二種類くらいの料理とワインを想定してどれかにあえばよいかくらいの感覚で、ワインの流れも考慮してワインの種類を選んでいきました。好きなワインを選んでいくとリースリングが多めになるのですが、今回は料理との相性も考えてリースリングではない白品種を3つ入れています。そうしたら産地もばらけたので、辛口から甘口まであるし、ドイツの白ワインを一通り体感できるようなリストとなりました。ベルンハルトとエルベス以外はその産地のトップのグループに分類されている醸造所です。料理のことにもふれながらワインの感想を書いていきます。料理は一流のものなのでおいしくないわけはないです。氷見の寒ブリなど素材はもちろんのこと、真鯛の刺身のポン酢など細かい部分でも感動しました。最初に出したゼクト(スパークリングワイン)はこのブログでも何度も登場している僕の大好きなヴァインガルトのものです。ゼクトのトロッケンはスティルワインのトロッケンよりも甘みはあります(ゼクトでトロッケンに相当するのはBrut)。とはいえ甘いのではなく甘みによる心地よさ、飲みやすさがあるという程度です。この醸造所のハルプトロッケン(ファインヘルプ)の典型的な味わいを想像させました。しかしすっきりした味わいというわけではなくゼクトらしい(炭酸にも起因する)厚みがありました。【MR12】ワインガルト醸造所 [2008] ミッテルライン産 リースリング種 ゼクト 白 中辛口2の旧東ドイツ圏ザクセンのプロシュヴィッツは僕がザクセンのワインぽいと感じている重心が低く暗さをイメージさせる風味と味わいに加えて、ドイツのグラウブルグンダーだとすぐにわかるような典型的な要素もありました。味噌漬けのチーズとよくあいました。少し複雑みのある味わいなので料理もくせがあるもの(複雑なもの)のほうがあうと思いました。ワインだけではすごくよいと推すことはありませんが、料理の用途にあわせるならまた選んで飲みたいと思うワインでした。ボックスボイテルのフランケンワインの象徴のひとつである3は、薄めの味わいでちょっと軽すぎるなーと思ったのですが、料理とあわせるとそのくせのない主張しないフラットの味わいが功を奏す組み合わせもありました。刺身は脂ののった寒ブリもあっさりした鯛も2よりこっちのほうがよかったです。そしてどちらかというと寒ブリとあわせるほうが好みでした。甘鯛の焼き魚ともあいました。4のブールのグローセス・ケヴェックス(辛口の最上級の位置づけ)は参加者にもとても好評でした。こくと深みがありながらピュアな味わいで少し感じる苦みでバランスもとてもよく感じました。もしかしたら寝かせたらもっとよくなるかもしれないけれど今でもおいしいです。ここがこの質のピークなのかまだポテンシャルがあるのかは僕の経験不足のため判断できませんでした。このワインは焼き魚とだとワインに苦みを感じてしまいあまりあわなくて海老芋と雲子の揚げ出しのほうがすんなりと溶け込みました。焼物の次は赤味噌のビーフシチューでした。何人もの方に何故赤ワインは出さなかったのかと質問されたのですが、それはこの料理があったからだと思います。普通のワイン会で白オンリーは珍しいから不思議に感じた人も中にはいるかもしれませんが。事前にメニューをもらった時にビーフシチューということであわせるワインをどうしようか悩んだのですが、和食には全て白でやりたいと思っていたのと赤を入れるとその次のワインの選択肢がせばまるので(しぶみなどによって味覚がニュートラルではなくなってしまう可能性があるのでそれを考えてチョイスしなくてはいけないので)白ワインにすることを決めました。リースリングではワインが負けてしまうと思って複雑みのあるゲヴュルツトラミナーにしました。それで選んだ5はアウスレーゼなのですがラベルには何も書いていませんが残糖は20グラムちょっとだそうなのでファインヘルプに分類されます。濃厚というよりは軽やかで14パーセントもあるアルコール感もあまり感じませんでした。ビーフシチューとは赤ワインのようにからみあって合ういうのではなくお互いを邪魔せずにとけこまないけれどお互いの良さはそのままであっているというかんじでした。最初は不もなく可もなくという印象だったのですが食べすすめていくとなじんでいきフィットしていきました。個性の強いゲヴェルツだとまた印象は変わるのかもしれません(トロッケンだと強めのだと同じような具合になるかも)。6は甘口のシュペートレーゼなのですが、以前も和食の会の時にプリュムのシュペートレーゼをご飯とお椀の時に飲んだのですが相性が良かったので今回も試してみました。若くて甘みが強いものよりは熟成して角がとれた甘みのほうが良さそうだと考えていたのでこのワインにしました。丸みのある甘みでくせのないピュアな味わいのこのシュペートレーゼと湯葉餡かけのご飯との相性が僕のこの日のベストマッチでした。ほどよい甘みが餡とごはんにとけこむのです。ワインはこれ以上甘いとはじくかんじになってしまってあわないと思いました。でもファインヘルプよりはカビネットや5年以上経ったシュペートレーセのほうが合うと思いました。フレーリッヒのフラッグシップ!上級用甘口リースリング!ボッケナウアー・フェルゼンネック・リースリング・シュペートレーゼ[2003]750ml (シェーファー・フレーリッヒ)※8/31出荷可しめの7は熟成して深みのあるエーデルズース(直訳すると高貴な甘み)です。TBAやアイスワインのように全面にくる強い甘みは感じないのですが、トロッとしているしとても長い余韻が心地よいです。いちごと焼きリンゴというそんなに甘くないデザートとの相性も抜群でした。というのが主な感想とレポートです。ベストな組み合わせは他にもあるでしょうが、参加者には満足していただけたしいくつか制約がある中で考えてベストは尽くせたと思っているし今回の提示は良かったのではと感じています。和食とドイツワインをあわせて楽しむのは一番面白いです(選ぶ立場となると非常に悩まさせられもするのですが・)。今回のような高級な料理でなくてもです。繊細な味付けはワインがうまくあわない場合が洋食よりも多いと思うのですが、繊細なドイツワインは和食との相性が良い場合が多くてはまった時の喜びとおいしさが癖になってしまっています甘みや酸などバリエーションも多いので上に書いたようにいろいろな相性の合い方があるのですが、それは他の国のワインよりも楽しめると思うのです。自分自身もっと色々と経験し人にもっとはっきりと明示できるようにして(漠然とは今までも相性の良さは言われているので)、ドイツワインと和食の相性の良さ、すばらしさをもっとアピールできればと強く思っています。