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2007.06.26
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テーマ:生き方上手(688)
カテゴリ:クスリ・自己啓発
「町沢静夫(2000)「『いい人』は,なぜ頑張りすぎてしまうのか」大和出版.



きちんとやらねばならない,できない自分ではだめだ,恥はかきたくない,と生真面目に頑張ってしまうたくさんの「いい人」に贈る。

どんな人間であれ,ストレスが非常に大きければ,さまざまな身体の病気や精神障害を引き起こしやすくなるのは言うまでもありません。
しかし,同じストレスを抱えても,病気につながりやすい性格とそうでない性格とがやはりあるようです。
その傾向を知れば,病気に至る要因の大半を防ぐことができると考え,私はうつ病や神経症といった精神障害者群の人々を心理学的に調べて比較し神経症やうつ病になりやすい人の考え方や性格を論文にして1992年に発表しました。
私が見出した要因の第一番目は,「否定的な自己認知」,つまり自分の事をいつも悪くとらえ,悲観的に自分を眺める傾向のことです。
第二番目は「対人認知」,これは人に過敏であるか,あるいは人に依存的であるか,ともあれ人への認知にとらわれていることをさしています。
第三番目は「強迫的思考」,これは何でも完全でないと気がすまないとする考え方で,完全癖と呼んでもいいものです。

そして最後に自分のペースで生きなさいとアドバイスします。
心の病にかかりやすいこれらの3つの傾向をすべてうまく解決しなくとも,少なくとも総合的に軽減させられるなら,私たちは心の病からいっそう遠のくことになるものと思います。
そのためには,自分を肯定的にみる訓練をすることがまず第一です。
つまり自分を暖かく育てようとする気持ちを持つことです。
過度の自己卑下や「謙譲の美徳」は自分の自然の強さを殺してしまいます。
また,人の目を意識することなく,自分は自分,人は人という当然といえば当然の生き方を確立することが重要です。
自分なりの生きる価値観を見つけ,それに基づき生きることです。
さらにあまりに過度な完全癖は,人間のロボット化につながります。
規則を守ること自体が正しいことなのではなく,人間を生き生きさせる規則にしたがって生きようとすることが本来的な生き方でしょう。
また臨機応変な対応ができることが人間の最高の知性でもあり,健康であることの証明です。

このような3つの要素が私たちにとって心の病を防ぐ大きな働きを示すでしょう。
このことを一つに要約するならば,「自分のペースで生きること」といえます。
自分の目的に従い自分なりの評価をし,修正をし,そして自分の励ましながら生きていくことは,先の3つの要素のような人間の弱さから距離をとることでもあります。
自分の心に素直に従っていけば,他人もまた素直になってくれるものであり,他人の心もよく分かるものです。
他人の立場になって考えてみるという共感性も,自然についてくるものと思われます。
私たちの人生の目標,あるいは心の健康を保つ大きな武器は,この「マイペースで生きる」ということであり,これはまた別の意味で言うならば自分の信念で生きることであり,さらに自分の中の「自然」にしたがって生きることでもあります。

これは私たちの終生の目標ですから,おそらく完成ということはないに違いありません。
しかし少なくともいかなる時代であれ,このマイペースで生きるゆとりが私たちの本来的な生き方であることにいずれ私たち自身が気づき,そして真の自己の発見に近づき,それをいっそう追い求めるに違いないと思われます。
私たちにとっての宝は,おそらく一人一人の心の奥に潜んでいるのでしょう。

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自分のペースで生きることは,誰しもがそれを願っていることだと思います。
ただ,社会の変化のスピードが速すぎて,知らず知らずのうちにペースを乱されるリスクが大きくなっているかもしれません。
また,自分の信じていたペース(自分の目的とそれにあわせた生き方)がそもそも間違っていたら,それに気づき修正するのは大変な苦労がともないそうです。
環境の変化は激しいものなのでそれをどうこう言っても仕方ないかもしれません。
そうした環境の変化にいかに自分を合わせるか,ということより,そうした変化に流されないように自分に相応しいペースを見つけるかといった視点が必要になりそうです。
突っ走りすぎてオーバーペース気味なら,立ち止まってみればいい。
ペースが遅いと感じたら,いつもと違うやり方でペースを取り戻せばいい。
多分何もしないのが一番よくないので,自分の意識を変える心がけから始めたいと思います。

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最終更新日  2007.06.26 11:03:49
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