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カテゴリ:漫画・アニメ
★ 『 信長協奏曲 』 石井あゆみ (2009年~) 電子書籍無料版およびレンタルにて、既刊15巻中14巻まで読了。 アニメ (2014年) は視聴済み。 実写ドラマ (2014年)、映画 (2016年) は未見。 一時期、信長関連のアニメが多くて、どれがナンだかワケが分からなかったが、昔から、日本人の間では、最も有名で人気のある歴史的人物でありながら、どっちかっつーと「(戦国期の) 前菜」 的に語られることの多かった信長。 ポッと出てバッと散ったイメージがデカイだけに、各作品、「どれだけ変わったアレンジをするか」 に照準があるように感じる。 このストーリーは、「現代の高校生がタイムスリップして信長に成り代わる」 という、漫画としてはありがちなSFファンタジー。 人物設定や日常描写は現実離れしている部分が多々あるが、一応、歴史的事件を丁寧になぞり、何だかんだで、ほぼ史実通りの結果を辿っている (らしい) ところが、評価されているようだ。 信長の人生をそのまま漫画にするよりも、読者の関心をひくという意味では成功していると思うし、細かいことも記憶に残りやすいのではないだろうか。 私自身、受験生の頃、近世~近代史が苦手 (嫌い) だったが、『竜馬がゆく』 (司馬遼太郎) を読んでから、幕末史の辺りは頭に入りやすくなった。 勿論、歴史小説や漫画にはフィクションがかなり含まれるが、ただ教科書や年表を見るよりも、興味をもつ取っ掛かりや時系列の整理として役に立つ。 実際には、信長やら竜馬やらの超有名人に関して、直接、入試で出題されることは稀だったように記憶しているが、余り出題されないからこそ、小説や漫画で整理できるなら効率的だ。 ただ、まだ連載中なので、あくまでも途中までの評価だが、史実をなぞることに重きをおく余り、結局は、設定の面白さを活かしきれていないように感じる。 三郎 (信長) が、「戦国史をうっすらとしか知らないお馬鹿 (全く知らないわけでもないところが重要)」 かつ 「細かいことにこだわらない強心臓 (悪く言うと鈍感)」 であってこそ成り立つストーリーであるのは分かるのだが、彼のバックボーンの説明や心理描写もあまり無いままに話が運ぶので、イマイチ説得力に欠ける。 元々、根付いている 「信長=常識はずれ」 のイメージを、「何を考えてるか分からない現代っ子」 に当て嵌めたのは良いアイデアだったと思うし、人物描写もギャグが効いていて飽きないが、その初期設定に頼りすぎて、三郎が唐突に何をしても 「史実通りならOK」 みたいな安直な流れになっているように感じる。 結果、無知で計画性皆無な割に、危機的な局面では、根拠もなく、妙に適格な判断力を発揮するところなど、ご都合主義的な展開が目立つ。 三郎同様タイムスリップしてきたキャラや、秀吉や光秀の人物設定の改変など、読者の興味をひく工夫を凝らしている割に、人物的に 今一つ魅力に欠け、その先行きに余り興味が持てないのも難点だ。 これまでのスタンスからして、史実が大きく変わるとも思えず、こうした実在キャラのアレンジが、ストーリーを飛躍的に面白くしているようには今のところ感じられない。 寧ろ、多少、物語に彩りを加えている要素と言えば、史実には存在しない全く 「架空」 のキャラクターだが、それも、あくまで歴史に影響しない範囲でしか動いていない。 結局、三郎がこのまま「信長として」死ぬのか死なないのか、ってだけの話で終わってしまうのだろうか? <関連日記> 2011.9.4. アニメ 『へうげもの』 に見る、歴史の真実 2012.5.19. 篠原千絵 『 天は赤い河のほとり 』…… 功罪相半ばの歴史漫画 2013.8.20. 上田倫子 『 リョウ 』…… 歴史フィクションの限界 2014.1.16. アニメ 『 ノブナガン 』 、 『 ノブナガ・ザ・フール 』…… 信長、ノブナガ、ノブナガン 2014.9.7. 細川智栄子 『 王家の紋章 』…… 「完結しないこと」 にイラつく ファンの皆様の心情をお察しします
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最終更新日
2017年08月21日 00時52分41秒
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