1332364 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

雪白の月

雪白の月

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

プロフィール

つぐみ@夜空

つぐみ@夜空

カレンダー

カテゴリ

コメント新着

キーワードサーチ

▼キーワード検索

ニューストピックス

フリーページ

2018年07月22日
XML
カテゴリ:漫画・アニメ

   『 ゴールデンカムイ 』 野田サトル(2014年~)

 



電子書籍にて、既刊14巻読了。アニメ1期(2018年)も視聴済み。

 

 

明治末期、日露戦争終結後の北海道で、アイヌの遺した金塊を追い求める男たちの争奪戦を描いた作品。

 

当時の実在の有名人や犯罪者、軍隊が入り乱れて展開される闘争や人間ドラマなど、複雑怪奇なストーリーだけでなく、北海道の狩猟技術やアイヌの風俗をふんだんに紹介されており、かなり内容の濃い作品だ。

 

 

この作品の感想を書くにあたって、作者の野田サトル氏の経歴を調べて驚いた。

 

23歳で上京し10年ほどのアシスタント生活、その間の数えられる程度の読み切り作品、そして、約1年で打ち切られたという連載作品(『スピナラマダ!』201112)という、ハッキリ言ってパッとしない作品実績を経て、この『ゴールデンカムイ』の連載・大ヒットに至ったというのだが、そうと思えない、ベテラン臭に溢れた作風だからだ。

 

 

とにかく、まず、取材力が凄い。

 

特にアイヌの風俗、狩猟技術などの部分は、ちょっと文献をかじった位では、とても描ききれそうにない詳しさで、確実に、物語や登場人物にリアリティを持たせる大きな要因になっている。 性急な読み手の中には退屈に感じる人もいるかもしれないが、もしもその部分がなかったら、歴史的人物をコマに使った荒唐無稽な「冒険アクション」として、そこそこは面白かったかもしれないが、大ヒットまでしたとは到底思えない。

 

 

また、画の迫力が凄い。

 

正直、読み始めて暫くは、「ヘタではないし背景の描き込みも手抜きがないけど、よくある劇画調の絵」という程度の印象だったのだが、この人の作画は、特にアクションになると、人物の動作も構図も非常に工夫とセンスがあり、本当に魅せられる。 勿論、目を背けたくなるような残虐なシーンも多いが、それも含めて、作者が相当、アクションシーンを楽しんで描いているのが伝わってくる。

 

 

風俗紹介の「静」と、壮絶な殺し合いという「動」の、両極端な要素が、これほどまで拮抗した作品はなかなか見ないような気がする。

 

 

そして、ストーリーやアクションの魅力をさらに上回るのが、キャラクターとユーモアだ。

 

 

正直、極論すれば、殆どの男性キャラが、揃って「変態でサイコパス」と言っても過言ではない。 勿論、脱獄囚が相当数登場するので、その連中がおかしいのは仕方ないとしても、それ以外の主要キャラも、かなり偏執狂的で灰汁の強い人物ばかりだ。 主人公の杉元ですら、女性や子供に対しては優しく紳士的だが、敵と対峙すれば、まるで殺人鬼のように慈悲もない。

 

 

普通に描けば「胸糞が悪い」で終わってしまいそうな変質者や悪役ですら、どこかユーモラスで笑える。 そして、彼らが織りなす会話や行動は、常にちょっとしたギャグに溢れている。

 

本筋は かなりシリアスで、敵味方が入り乱れ、誰が本当の味方か、いつ裏切られるのか分からない緊張感がありながら、読むのが辛くならないのは、多分にギャグ描写のお陰だろう。 少なくとも私は、金塊の行方や闘争の勝敗よりも、人物の日常的なやり取りの面白さが読み続ける動機になっている。





<関連日記>

​​花沢健吾 『 アイアムアヒーロー 』…… これでもかと描かれる 人間の醜悪さ


幸村誠 『 ヴィンランド・サガ 』…… 「単純無垢」 が招く 戦争の残酷さ



岡本健太郎 『 山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記 』…… 今どきの 「狩猟男子」 に ギャップ萌え


ヒラマツ・ミノル 『 アサギロ ~浅葱狼~ 』…… 新撰組ファンでもなんでもないが、人物描写に引きつけられる

 

三浦建太郎 『 ベルセルク 』 ・・・ 「バトル漫画」 の一言では片付けられないメッセージ性



大須賀めぐみ 『 VANILLA FICTION 』 ・・・ 「尤もらしい設定」 など無くても良い場合もある





ゴールデンカムイ(1) (ヤングジャンプコミックス) [ 野田サトル ]



ゴールデンカムイ 1【電子書籍】[ 野田サトル ]






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2018年10月04日 23時22分59秒
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.