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【「南方週末」だけじゃない…中国の映画検閲、007が滅茶苦茶に!】
中国では年明け早々、広東省の週刊紙「南方週末」の新年号の記事が、当局によって共産党を美化する内容に勝手に改竄(かいざん)されたことが明らかになり、大騒ぎとなりました。急速な経済発展を遂げ、大国の仲間入りしたつもりなのでしょうが、いまだに言論の自由もへったくれもない“三等国”であることを自ら証明するような出来事ですが、これよりもっとトホホな改竄が先ごろ明らかになり、世界を呆(あき)れさせています。 改竄の被害にあったのは、中国で1月21日から公開中の人気スパイ映画「007」のシリーズ23作目となる最新作「007 スカイフォール」(サム・メンデス監督)です。一部の場面が丸ごとカットされたり、中国語の字幕が本来の意味と異なる内容になっていたりと、物語の流れをズタズタにする暴挙です。 違法動画を後押し?「重要な場面」バッサリ削除 「スカイフォール」は英国で昨年10月26日、米国では11月9日に公開され、いずれもシリーズ過去最高の滑り出しを記録。批評家受けも良く、映画の興行収入を集計する米情報サイト「ボックスオフィスモジョ」によると、1月24日現在、全世界の興行収入は10億707万ドル(約960億円)で、英国では昨年、最も興収を稼いだ作品に。英女性シンガーソングライター、アデル(24)の歌う主題歌「スカイフォール」は今年度のアカデミー賞の主題歌賞の候補となりました。 ところが、1月16日付米業界誌ハリウッド・リポーター(電子版)が、中国で上映されるこの作品が中国当局の事前検閲によってあちこち改竄されていることをいち早く報道。これを受け、英BBC放送やフランス通信(AFP)など欧米メディアが一斉に報じ、この愚挙が世界中に知られることになりました。 内容については以前、当コラムでもご紹介しましたが、もう一度ごく簡単に。英男優ダニエル・クレイグ(44)演じる英情報局秘密情報部(MI6)所属の諜報員、ジェームズ・ボンドが、ロンドンのMI6本部を爆破した凶悪なサイバーテロと対決するのですが、このサイバーテロ、実はかつてのボンドの同僚だったMI6の敏腕諜報員だった…という物語です。 そして物語の展開上、中国の上海やマカオが重要な舞台となっているのですが、中国当局はどうやらそれが気に入らなかったようです。 ハリウッド・リポーター誌によると、ボンドが追う仏人ヒットマンが上海の高層ビルに忍び込む際、エレベーターのロビーで中国人ガードマンを撃つ場面や、マカオで売春を描いた場面が丸ごとカット。 「腐敗した中国…」台詞もタブー さらにスペイン人男優ハビエル・バルデム(43)演じるシルヴァがMI6に復讐(ふくしゅう)をたくらむ理由として、香港支局勤務時代、中国政府に捕らわれ激しい拷問を受けたからだと告白する場面では、中国語の字幕が本来の台詞(せりふ)と違っており、登場人物が中国の腐敗などに触れた台詞も字幕がいいかげんだといいます。 この作品をご覧になった方ならお分かりだと思いますが、これらの改竄部分は物語の進行上、非常に重要な役割を担っており、これらが丸ごとカットされたり改竄されたりすると、物語そのものがほとんど破綻してしまいます…。 そのため、中国のネット上には「本当に迷惑だ!。いつも同じことしやがって。楽しみに待っていたのに、見たら改竄だらけだ」「場面をカットするなら最初から上映しない方がましだ!」「これなら(改竄されていない)海賊盤を買って見るよ」といった映画ファンの怒りの声があふれています。 また、中国版のツイッター、微博(ウェイボ)には、拷問の告白場面の字幕改竄などについて「どうして『中国』を『北朝鮮』と改竄しないんだ?。『北朝鮮』だったら誰も(拷問があろうが)気にしないのに」といった冗談とも本気ともつかない書き込みも…。 ちなみに中国では、検閲以前に、国産映画育成のため、当局が海外映画の上映数を制限しています。フランス通信によると昨年作られた中国産映画は893本でしたが、当局が上映を許可した海外映画は前年より14本増えたものの、わずか34本でした。 そして、海外の映画には事前検閲を実施し、当局に批判的だったり中国をネガティブにとらえた作品は上映させません。実際、昨年公開された「メン・イン・ブラック3」(バリー・ソネンフェルド監督)では、中国だけ、エイリアンがニューヨークの中華料理店の店員に化ける場面がしっかりカットされていました。 欧米では、こうした海外映画の事前検閲について「基準が不透明で、上映禁止の理由も明かされない。そのうえ検閲を逃れたごく少数の作品は、中国を過剰に美化するような描写が成されている」(AFP)と疑問視しています。 米国もソニーも、なぜ黙る? とはいえ、ここまで読んでみなさん、不思議に思ったのではないでしょうか?。なぜハリウッドは中国側の暴挙に見て見ぬふりなのでしょう。普通、こんなことをされるなら最初から中国でなど上映しなければいいと思いませんか? 実際、中国メディアが今回の一件を全く報じないのは当然として、この映画の配給元ソニー・ピクチャーズ中国もコメントを拒否しているのが解せません。 ところがこれには大きな事情があるのです。いまや中国の映画市場は日本を追い抜き、米国に次ぐ世界第2位の規模を誇る巨大市場に成長しました。そのため中国市場を無視するわけにはいかないのです。 例えば、昨年4月、全世界で公開された「タイタニック3D」。ジェームズ・キャメロン監督による97年の米映画で、翌年のアカデミー賞では11部門で受賞したハリウッド史に残る傑作の3D版なのですが、この作品、米国での興行収入は5788万ドル(約52億円)、英国1697万ドル(約15億円)、1336万ドル(約12億円)なのですが、中国(香港は除く)は何とケタが違って1億4500万ドル(約130億円)!。この作品の海外の総興行収入の約5割は中国(香港除く)が稼ぎ出していたのです。 ところが中国では、この作品も事前検閲でケイト・ウィンスレット(37)演じるローズのヌードシーンがしっかりカットされていました…。 2013.2.3 12:00 MSN産経ニュース(岡田敏一) もう、恥ずかしいことこの上ないですね。 自国民にとって健全でないと思う内容の作品と判断したなら、いっその事公開しなければいいでしょう。(映画会社にとっては、美味しい市場なのでしょうが) 下手なカットや字幕ミスなど、恥の上塗りだと思わないのでしょうか? 公然と言論統制が行われているという事は、世界中で周知の事なのに…。 いくら巨大マーケットだといっても、所詮は文化的に二流国だなと烙印を押されるだけなのにねぇ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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