そう言えば、さだまさし「フレディもしくは三教街-ロシア租界にて」の歌詞に、「ヘイゼルウッド」というケーキ屋のおじいさんが何とか、というのが出てくる。「ヘイゼル」は「ヘーゼル」で、セイヨウハシバミ(カバノキ科)のこと。堅い実の皮を剥いて煎って食べるのが一般的だ。ドングリ(ブナ科)とは違ってアクがないからそのまま食べても良いが、現在は専ら、砕いてケーキやクッキーに使われる。イタリアや日本国内(長野県)でも栽培されるが、中央アジアでの生産が特に多く、日本に輸入されるものの95%はトルコ産である。チョコレートとの相性が良く、ジャンドゥーヤ、ヌテラ、プラリネが人気の菓子だ。
日本や中国には、セイヨウハシバミによく似たハシバミ(Asian Hazel)やツノハシバミ(Asian Peaked Hazel)がある。元治元年(1864)11月16日、江戸の国学塾「気吹舎」の平田銕胤(ひらた・かねたね)は、南部領二戸の小保内定三(おぼない・ていぞう、呑香稲荷神社の宮司)に宛てて書簡を送ったが、その中に「…猶又貴兄より御土産之はしはみ二袋御恵被下、珍ら敷御品、家中共打寄賞翫いたし、重畳辱奉存候、…」とあり、ハシバミの実は珍しいので家族で美味しく頂いたと、礼を述べている。
ちなみに、ハシバミの花言葉は「仲直り」(ギリシァ神話)とか、「直感」「真実」「知恵」(ケルト伝承)とかである。