スポーツと興行の違い
またしてもTBSさんですか。大晦日に行なわれたK-1 Dynamite!で対戦した秋山成勲と桜庭和志。対戦結果は秋山のTKOでしたが、試合前に体中にスキンクリームを塗っていたことがわかって、試合はノーコンテスト。なんともお粗末な結果です。 試合中、桜庭は「滑る、滑る」と何度もタイムのポーズを取り、レフェリーに秋山のボディーチェックを求めたが認められず。試合後も「秋山の体に油のようなものがついている。チェックしてほしい」と抗議したそうです。一方の秋山は、試合後のインタビュうーで、こう答えています。 「実は多汗症なんです。すぐにボタボタと流れ落ちるほど汗が出るんですよ」と笑う。カッと急に熱くなったり、緊張すると特に汗が流れ落ちるという。「もしかすると、それが原因ですかねぇ」と首をひねっていた。(スポーツナビ) ところが、今日の発表によると、試合前にボディクリームを塗っていたことが判明。それも汗や水分を含むとヌルヌルになるローションだったというんだから、びっくり。 秋山選手が全身に塗っていたのは、米国製の『オーレイ・クエンチ・ボディローション・エキストラ・ドライスキン』というクリームで、乾燥肌の人がつけるものでした。ワセリンやタイオイルといった、格闘技で用いられるオイルではありませんが、成分にはワセリンやグリセリンも含まれる油性のものです。 また桜庭選手が主張するように臭いも強く、塗った直後はスベスベした感じしか残りませんが、水分や汗を含ませると、かなりヌルヌルになることが実験で判明しました。HERO'Sルールでは、あらゆる全ての塗布物を体に塗ることは禁止されているため、何を塗ったかということではなく、異物を塗ったこと自体が反則となります。(GBR) 試合後のインタビューでは、秋山は「リマッチは考えていない。抗議されても、それをネタにまた試合をするのはおかしい」と答えています。桜庭の抗議が、まるでネタみたいな言い方ですね。(GBR) オイルやワセリンを塗ることがルール違反だとわかっていながら、ボディクリームはルール違反と認識していなかったというのは、とてもプロの格等家の発言とは思えませんね。しかも桜庭が抗議しているのに、「多汗症なのでそれが原因かなぁ」なんてとぼけているのも、どうかと思います。ボディクリームに気が付かない審判や抗議しているのに調べようともしない審判もいかがなものかと。さらに言えば、試合前のバンテージやグローブの管理もいい加減。とてもじゃないけど、スポーツと言えるような代物じゃありませんね。 ま、興行であるK-1に正しいジャッジとかスポーツマンシップを求めること自体、間違っているのかもしれないけど。ただ、この試合に賭けてたであろう桜庭の気持ちを考えると複雑。「僕はリングに立つ時は正々堂々とやりたい。ただそれだけです」というコメントには、ちょっぴり目頭が熱くなりました。いくら興行とはいえ、正々堂々とやる。その姿勢がなければ、観客が離れていくのも時間の問題じゃないでしょうか。入場料収入が入ればいい、視聴率が稼げればいいと考えている興行主やメディアは、もっと真剣に考えるべき問題だと思います。