11人で戦っているんじゃない
アジアカップで、日本代表が優勝。やはり優勝するのと、しないのでは大違い。2位じゃダメなんですか。ダメなんです。試合が始まる前は、実は優勝しなくてもいいやと考えていた。もちろん、勝つことは大事だし、取れるタイトルは取った方がいいし。コンフェデレーションズカップにも出た方がいい。でも、この試合に勝つよりも大事なことがある。それは、チームとしての成長。チームとして成長するのなら、優勝できなくてもいいかなと考えていたけれど。 やはり、優勝するのと優勝しないとでは大違い。優勝したからこそ、テレビでも大きく扱ってくれる。優勝したからこそ、何度も李忠成のゴールシーンが放映される。それまでサッカーに興味のなかった人も、アジアカップ優勝は喜んでくれたんじゃないかな。 それにしても何度見ても、見飽きることはない。李のすばらしいゴール。ただでさえ難しいボレーシュート。ついついふかしてしまいがちだけれど。李は、よく抑えてシュートを打った。まさにボレーシュートのお手本と言ってもいい。美しい、芸術的なゴール。 そして、李のボレーシュートの前の、長友のクロス。長友は、このアジアカップでどれだけ走ったのだろうか。左サイドを駆け抜けて。相手ディフェンダーを抜いて、最後はクロス。このアジアカップで何回も見たシーンだけれど。90分走っても、120分走っても衰えない走り、スタミナ、正確なクロス。 ザッケローニ監督は、短い時間内でよくチームをここまで鍛えあげたものだと思う。一番準備のできていなかったチームなのに。一戦ごとに、選手のコンディションが、チームのコンビネーションが上がっていく。そこには、ザッケローニ監督の選手に対する信頼と、選手のザッケローニ監督への信頼があったからだと思う。 怪我や出場停止以外は、メンバーは変えない。控えのメンバーとも積極的にコミュニケーションを取る。だからこそ采配がピタリと当たり、途中出場の選手が活躍する。優勝の喜びをわかち合う監督や選手、スタッフたちを見ると、本当にチーム一丸となって戦っていたことが感じられる。 「自分たちは、ピッチにいる11人で戦っているわけではない」。ザッケローニ監督の言葉通り、この勝利はみんなが一丸となったものだ。そういうチームを作りあげた監督の手腕。とはいえ、まだまだアジアでトップに立っただけ。 長谷部キャプテンも言っていたけど。「たかがアジア」。日本代表の目指しているものは、こんなもんじゃないし。このチームは、まだまだ強くなれる。そんな可能性を感じたアジアカップだった。-----------------sent from W-ZERO3