ハワイ体験レポート:美食の祭典-ハワイ・フード&ワイン・フェスティバル
ハワイ・フード&ワイン・フェスティバル、本当に美味しいものばかりで、満足です。ハワイ・フード&ワイン・フェスティバルは、2011年にオアフ島で誕生した美食イベント。ロイ・ヤマグチ氏、アラン・ウォン氏というハワイを代表する人気シェフのプロデュースによるイベントで、世界各地から著名シェフが参加し、ハワイの食材を用いてその腕をふるう。2年目となる今年は60名以上の著名シェフが参加。ハワイの各島で開かれるグルメイベントの中でも最大規模のもので、日本人シェフ4名も参加している。今年は9月6日からの期間中、ワイキキやコオリナを中心にさまざまなイベントが開催。今回は3日目にヒルトン・ハワイアン・ビレッジ・ワイキキ・ビーチ・リゾートで開催されたイベントを中心にレポートする。農場から食卓へ、ハワイの地産地消を意識した「ファーム・トゥ・ザ・テーブル」イベント開催前の会場。これらの席が満席になるほど盛況だった 9月のハワイは少し蒸し暑さが戻る。日差しはまだ強く、風が微力になることもある、そんな日の夕方5時ごろから、3日目のイベント「ファーム・トゥ・ザ・テーブル」は始まった。ヒルトン・ハワイアン・ビレッジのホテルとタイムシェア専用タワーの間の敷地が、イベント開催場所。バニヤンツリーと高いパームツリーがそびえ、ハワイを象徴するかのような雰囲気が広がるアウトドアの空間だ。用意された来場者用の席は約1100席で、ほぼ満席だ。日本から参加したパティシェ、鎧塚俊彦氏 イベント名の「ファーム・トゥ・テーブル」は「農家から食卓へ」のこと。ハワイでは現在、地産地消の動きが盛んで、このイベントでは人気シェフがハワイ産の食材を用いて一流の料理に仕上げるのが見どころ。ハワイ特有の食文化や伝統料理からインスピレーションを得て、独自の個性を加えた創造性豊かな料理としている。参加シェフがブースでデモンストレーションを行ない、参加者がブースをまわって気に入った料理をいただく。シェフに料理の質問をするなど、コミュニケーションをとることも可能だ。鎧塚氏の披露したデザート、ココナッツ・パウンド・ケーキ 今夜のシェフはハワイ出身者だけでなく、カリフォルニアやニューヨーク、ボストンのほか、日本からもスイーツのパティエとして有名な鎧塚俊彦氏など2名が参加していた。鎧塚氏は「ココナッツ・パウンド・ケーキ」を作り、披露。ココナッツ、パイナップル、マカデミアナッツ、ハワイアンソルトとアイスを使ったデザートは人気を集めた。もちろん、すべてハワイの素材を使用。各国からのいろいろなシェフと話をしたり、その料理をする様をみて大変刺激になった」と鎧塚氏がいうように、シェフ自体もこのイベントを楽しんでいるようだ。ホノルルで人気の「タウン」のシェフ、ケニー氏のブース。よい香りがするキアヴェの木で豚の料理を調理 また、ニューヨークから参加したリー・アン・ウォン氏は、オパと呼ばれる魚にシーアスパラガスと、ココナッツから作られたハウピアクリームを使い「クリスピー・パイアイ」を提供。またアラン・ウォン氏の弟子でもあるミッシェル・カー・ウエオカ氏の作るシェイブアイスも実に美味しかった。「ハワイの人が小さい頃から食べて育ったシェイブアイスに少し工夫をした」というだけあり、良質のパイナップルにバニラとジンジャーをフリーズしたものを、チーズおろしのようにしてトッピングしていた。シェイブアイスの中にはタピオカやリリコイソースも入っていて、まさに“ハワイ”らしいデザートだ。 イベントは午後9時まで続き、参加者はこのイベントならではの料理に満足の様子。参加者の席は料金によって立見席、テーブル席、VIP席とカテゴリーが分かれる。200米ドルからという料金のため、30代後半からシニア層の参加が多かったようだ。ハワイ料理の2巨匠がプロデュースする美食の祭典ミシェル・カー・ウエオカ氏のパイナップルのシェイブアイス 今年のハワイ・フード&ワイン・フェスティバルは、9月6日から9日までの4日間にかけて行なわれた。開催日ごとにメインイベントが用意されており、その開催場所はヒルトン・ハワイアン・ビレッジ・リゾート&スパのほか、ワイキキのザ・モダン・ホノルル、ハレクラニ、そしてコオリナのアウラニ・ディズニー・リゾート&スパ、JWマリオット・イヒラニ・リゾート&スパと、多岐にわたる。シソの葉のパンケーキと和牛のビーフステーキといったフュージョン料理も 1日目のメインイベントは、ハワイアン航空(HA)提供による「エンター・ザ・モダン・ドラゴン:モリモトとその仲間たち」。ザ・モダン・ホノルルにあるレストラン「モリモト・ワイキキ」のシェフとアジア太平洋諸国から集まった13人のトップシェフが、目にも美しい料理の数々を提供。ヒルトンのイベントでは立見席の設定も また、2日目の「ハレクラニ・マスターシェフ・ガラ・シリーズ」は、世界の大統領・王族をもてなした料理人たちという高級感たっぷりのイベント。かつての大統領をはじめ世界の要人や王族の晩餐を指揮したマスターシェフによる贅沢でエレガントな7コースディナーを、トップソムリエ選りすぐりのワインペアリングとともに提供する。参加したシェフは、ハレクラニホテルのヴィクラム・ガーグ氏、アラン•ウォン氏、ノブ•ワイキキの松久信幸氏、シドニーの和久田哲也氏など7名だ。会場は音楽ステージでハワイアンの雰囲気いっぱいに それぞれのイベントごとに料金が設定されており、エンター・ザ・モダン・ドラゴンは200米ドルから。ハレクラニ・マスターシェフ・ガラ・シリーズの場合は1000米ドルからだが、席は数時間で完売したと担当者。その多くは企業が席を買い取ったというから、MICEでの利用も考えられるだろう。 このほか、150米ドル程度のデイリーイベントや、各イベントをパッケージにしたセット料金の用意もあり、いずれもハワイ・フード&ワイン・フェスティバルのホームページでその内容を案内。参加希望者はホームページを見てオンラインでチケットの購入が可能だ。 現在のところ、日本人観光客の参加者は少ないというが、イベント主催者側は来年以降、日本人観光客の取り込みたい考え。旅行会社にアプローチをかけ、オアフ島で9月に開催されるイベントとしてアピールしていくという。ただし、イベントは英語で進行されるため、送客する際は日本語で書かれた案内を用意する必要がある。また、イベント主催者側もある程度の日本語のサポートの用意を望みたい。設立者の一人、アラン・ウォン氏によると、ハワイ・フード&ワイン・フェスティバルは、物物交換をしていた古代ハワイの自給自足・相互依存システム「アフプアア」に啓発されて企画したもの。イベントの目的は、ハワイの地産地消とサスティナビリティの推進で、ハワイの食材で世界に誇れるすばらしい美食が作られることを紹介する。また、ハワイの農畜産業や環境、経済の持続可能なエコシステムへの回帰にも重点を置いているという。ロイ・ヤマグチ氏 ハワイでは現在、農業改革が進み、農作物や海産物などの地元生産が推進され、現地の人々もその動きを推奨する機運が高まっている。地産地消のブームは地元のスーパーやレストランでも強まっており、最近ではハイアットリージェンシーワイキキリゾート&スパのレストラン「ショア」でも、オーガニックとハワイの素材だけを使った子ども向けメニューを紹介。地元の人々のみならず、ハワイの食文化に関心を持つ観光客も増えてきており、日本のメディアでも女性誌を中心に露出が増えている。人気のシェフが勢ぞろい 今回のフェスティバルのもう一人のプロデューサーでもあるロイ・ヤマグチ氏は、日本でも今、地産地消が活発に進んでいると認識。「ハワイでも、もっと地産地消を推進していきたい」と話す。今後は「イベントの期間を4日以上にすることは難しいかもしれないが、世界からより多くのシェフを呼びたい」と、確かな成功を感じ取っていたようだ。 なお、イベントの収益金は、主に5つの団体に寄付する。たとえばKCCファーマーズマーケットなどをはじめ、日本人観光客にも人気の朝市を運営しているファームビューローも対象で、農地が商業施設に売却されないよう、農家を支援するための寄付金を提供している。