名護市辺野古の西川征夫さん(65)らが2日、糸満市の県平和祈念資料館(大川芳子館長)
を訪ね、日中戦争時などで戦意高揚のため戦地の兵隊あてに日本本土から送られた手紙(慰問文)87通などを寄贈した。慰問文は戦中の国民学校などで書かされたもので、今回寄贈した慰問文には本土、県内のほか、日本の植民地だった当時の朝鮮から朝鮮出身者が書いた2通も含まれている。同館は「これほど大量に見つかったのは珍しい。戦時体制下の情報統制と軍国主義教育の実態を証言する貴重な資料」としている。 同資料館が保管する慰問文は数点しかないという。 寄贈された慰問文は、征夫さんの父、故・安夫さん=旧名・嘉陽安吉=が所持していた。安夫さんは1916年生まれで、39年に旧日本海軍の二等水兵として巡洋艦磐手に所属し、遠洋航海でハワイ・南洋諸島を訪問した。 安夫さんに送られた慰問文の日付は39年~41年で、日中戦争に関する内容が書かれていた。「暴虐なる支那軍」「聖戦」などの記載があり、日中戦争を正義の戦いととらえ、旧日本軍がアジアの平和のために中国人を懲らしめていると信じられていたことが文中から読み取れる。 安夫さんが98年に82歳で亡くなった後、4女の山内里子さん(51)=名護市=が保存。ことし6月ごろに寄贈の話が持ち上がり、長男の征夫さんと次女の照屋須磨子さん(58)=糸満市=が資料館を訪ねて実現した。 征夫さんは「当時の軍事下のマインドコントロールがどんなものだったかの参考にし、後世のために戦争の惨禍をなくしてほしい」と話した。 大川館長は「沖縄戦で多くが焼失した中、今回の資料は大変貴重。軍事下と現在を比較し、今の教育がどれだけ大切かを感じとってほしい」と語った。http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-150672-storytopic-1.html