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テーマ:最近観た映画。(40126)
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僕よりも少し世代的には上か同じぐらいのアメリカの独身 ビジネスマンの生活を軽快にまたほんのちょっぴりの憐憫と 哀愁を込めて描かれた秀作だと思いました。 独身貴族と言うのは死語と化したのかもしれませんが アメリカ中の企業を飛行機で巡って、解雇宣言をトラブルを 起こすことなく一人一人に告げていく仕事をしているのが ジョージ・クルーニーの役どころ。 ある意味、今一番業績の良い業界(?)ともいえる仕事を しながら、結婚に興味を示すわけでもなく、家族とも距離を 保って、出張各地での軽い女性関係を楽しんでる。 その彼の夢は、マイレージを貯めて飛行機の中で機長から 表彰を受けて、航空会社のVIPとなること・・・という さもしくも超現実的なもの(^^;) この映画で感心したのは、そういうクルーニー的な人生を 批判するでもなく、制裁を加えるでもなく、全体の ストーリーを経て 「なんやかんや言っても、この生き方を続けて いくしかないやん」 という「元の鞘」に収まって、チャンチャンと終わっていく ところです。 おそらくはアメリカでも日本でもそういうレベルの ビジネスマンっていると思うんです。で、僕のような地味な 人生を送っている一般人は、ある意味羨望と妬みの相混じった 感情を持ってしまうので、何やら批判めいた、ある意味 教条的、原則的、説教的なニュアンスのセリフなり、エッセンスを 組み入れてもらいたいと思ってしまうのですが、この映画は 一度だけクルーニーが友人(セックス)に対して結婚願望を持つ、 いわば現在のイケイケ独身人生を見直すような行動を起こすのですが あっけなくポシャッてしまって、 「やっぱこっちが俺の人生だよな」 という所に収まっていくんですね。 映画はこういう感じがいいんです。 「そうじゃないやん!人間の喜びって結婚して子供持って・・・」 なんて説教臭いことは言いっこなし! どこの航空会社が一番得なマイレージ制度を持っているとか、 どこの都市のどの飛行場のサービスが良いとか、どのホテルで 泊ると一番得かとか、そういう情報に敏感に反応するような 人間達をにやにやと見つめながら描写していると言いましょうか。 そういう作家の視線が感じられて楽しかった。 クルーニーはもちろんセクシーだし、カッコ良いし、存在感 だけでもいい感じ。 それでその相手役のヴェラ・ファーミガという女優が貫録あって 良いですね。アメリカ女のある種理想像なんでしょうか。 白人、金髪、凛々しくてセクシーで、いくつもの自分をしっかり 演じきってる。 それにしても、男のキャラクターと言うのはちょっとさもしいし カッコ悪いし、情けない感じがします。これがクルーニー以外の 役者だと映画にならんのちゃうかな、と思ってしまう(^^;) 「智(ち)に働けば角(かど)が立つ。 情(じょう)に棹(さお)させば流される。 意地を通(とお)せば窮屈(きゅうくつ)だ。 とかくに人の世は住みにくい。」 夏目漱石「草枕」 なんで、漱石やねん!という感じですが、このフレーズが 頭をよぎりました。 人間社会を泳ぎきるためのバランス感覚って、難しいですよね。 この映画は、アメリカのビジネスライフの中でのそんな風情を 描写しているのだと思いました。
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Last updated
2010/12/15 02:59:05 PM
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