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テーマ:最近観た映画。(39999)
カテゴリ:映画と読書
黒澤明ファンの僕としては、彼の助監督を務めていた森谷司郎監督と 彼のキャメラ助手をしていた木村大作の作品ということで、一度 見たいと思っていた映画をTSUTAYAで偶然見つけたのがきっかけでした。 しかし、こんなに寒い映画は初めてです。 いえ、昨今の「面白くない」とか「笑えない」という意味の「寒い」では なく、文字通り酷寒の冬の八甲田山を雪中行軍する帝国日本陸軍の 話ですから、終始、吹雪に挑む軍隊像が描かれて、まあ凍傷で気が狂う までになる兵士もいたりするシーンもあり、それがセットではなく、 まさに本物の八甲田山の環境で撮影してしまったという今では考えられないような 状況下の「写真の連なり」なので、それを見ているとこちらが凍傷に なったような気分になります・・・。 (見終わったあと外に出たら、真冬なのに暖かく感じた^^;) それだけに雪と軍隊の映像は美しく、力強く、深みのある色彩で いくつかの場面は本当に心を奪われるような映像を楽しめるのですが この監督、あるいは撮影技師の特徴、キャラクターもあると思いますが とにかく、「これみよがし」の写真が多すぎる。 苦労して撮ったんだから見てよ! という感じがアリアリと出てる。 それがかなり大きな比重でこの映画をつまらないものにしているという 感想を持ちました。 また、魅力的な女優陣(栗原小巻、加賀まりこ、秋吉久美子)があまり 活かされていない。 また史実を大きく曲げて、敢えて描いた男の友情の部分が、実際に僕は 泣けてしまいましたけど、ちょっとセンチメンタルすぎるとも思いました。 おそらく、軍隊の男たちの心意気や友情などが前面に出て演出されて いますが、小説ではなく史実に忠実に描けば、(おそらく今だからこそ 言えることなのかもしれませんが)、もっともっと重厚で深みのある 人間像が描けたのでは、と残念な気がします。 つまり、道先案内人をぞんざいに扱ったり、現地住民に対しても 高飛車な態度をとったという事実を描いていたら、それでも機能する 社会が見えて、明治という時代も描けていたのではないか。 ならば、今リメークしたらどうなるか。いや、今この映画をCGなしでは 撮れんでしょ。ほとんど人権無視になるような気がします(^^;) 映画とは別の話ですが、リーダーの資質が大きな教訓になったであろう この八甲田山事件は日清戦争と日露戦争のあいだで起こっています。 第二次大戦時のガダルカナルでの悲惨極まりない戦闘は、これを教訓に できなかったこと原因になったのかとも思います。 ヒーローを扱うような視点ではなく、時代背景に依存し、ひたすらに 極限状態に挑むしかなかった状況を物語としてうまく映画化した 作品だと思いますが、少々「映像のおしつけ」が鼻についた作品に なってしまいました。 しかし、オールスターキャスト!70年代後半のスターを網羅している 感があり、東宝の肩に力の入った感じが非常によく出てます! 力強すぎた作品なのかも。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013/02/27 10:42:52 AM
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