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2012年10月03日
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- 映像コラム -
揺れる瞳の映画鑑賞
フィルム映画はなぜ 画面が揺れる?



さて、
9月12日に 映画フィルム生産の大手 『富士フィルム』 が事実上
映画フィルムの生産を終了しました

これによって 映画フィルムによる 映画上映の歴史は幕を閉じる事になります


デジタルで撮影した動画を データとして映写する方式にシフトする動きは
2000年の 『スター・ウォーズ』 から始まったと言われていますので

大体10年くらい掛けて 実現した事になります。


大手シネコンの ワーナー・マイカル では 全スクリーンがデジタル化
映画上映はもちろん、
コンサートの生中継をスクリーンに上映するイベントも行われる様になり

既に、スクリーン上映を 映画だけにこだわらない
アトラクションとしての映画館のあり方を
利用者に提案する時代が来た事を感じさせます。


..........................................................................................................

所で、
昭和の時代から映画館で映画を観てきた方にとっては
フィルム上映が基本の映画鑑賞ですが

映画スクリーンに投影された画面が 細かく揺れる現象
毎回不思議に思いながら鑑賞してきた方も少なくないと思います。


静止画が静止しておらず 上下左右に細かく揺れているのが
分かりますでしょうか
(当然、演出でカメラを揺らせているのは別ですよ)

これはフィルム上映ならではの 仕様 として見られる現象です。


現在のデジタル上映では 静止画が揺れずに静止しているのが分かります。
(当然、演出で画面を揺らせているのは別ですよ)

では、なぜこんな事が起こるのでしょうか。
これには フィルム撮影と上映に纏わる 2つの理由があるのです

..........................................................................................................
【フィルムのコマ送りの副産物として発生するブレ】

まず映画のフィルムは下の様な構造になっております







メインの画像の左右に フィルムを歯車を使って一コマづつ送って行く
穿孔穴 (パーフォレーション穴) という四角い穴が 4つづつが開いています


このフィルムを映写機にかけ歯車にかかったパーフォレーション穴を使って
一コマを送り 停止し シャッターを開け
画像をスクリーンに投影し シャッターを閉じます

再び歯車で一コマを送り 停止し シャッターを開け
画像をスクリーンに投影し・・・
という精密作業を

一秒間に24回 高速で繰り返す為に付けられた穴が
パーフォレーション穴というわけです。


パーフォレーション穴で一コマ一コマ精密に送り出されて
投射されたフィルムの映像は
人間の目には残像現象によって動いて見えます

つまり映画とは
フィルムに写った画像を一秒間に24回 投射された動画映像であり

動画映像は、シャッターが開いた瞬間だけ
送り出されたフィルムを停止させて投影する仕組みでスクリーン投影された
連続した画像であり

連続した画像に見えるのは 一秒間に静止画を24回 投射する事で
残像現象により動いて見える人間の目の仕様であり、

という訳で

フィルムに写った静止画を
残像現象を利用して あたかも 動いているように見せていたのが

映画の正体だったわけです。


Meo 5 Movie projector mechanismus
Meo 5 Movie projector ​(画像参照:wikimedia)​


これが成り立つ為には ヒトコマが毎回 確実に所定の位置に来る必要があり
これには非常に精密な技術が必要となります

しかし、どれ程精密にフィルムや映像機器を設計しても
フィルムのコマが所定の位置に静止する際に
微細な ズレ が生じるのは致し方ない事です


これは当然 撮影の時も同様で

この、コマ送りの時に生じる
フィルムの静止ポジション に対しての微細な ズレ が
撮影時と 映写時の ズレ と複合的に相まって

投影された画面のせわしない 揺れ となって現れていたのです



因みに フィルム左右に見える 砂地 の様な模様は 音声のデータトラック
携帯のQRコードの様な模様になっています

外側両端の模様が
SDDS (ソニーダイナミックデジタルサウンド) 用サウンドトラックで
SDDS 導入劇場の場合は このデータートラックを読み込み
音声を再生します

ドルビーや光学アナログよりも 高音質での音響再生が特徴です


左側パーフォレーション穴の間の模様はドルビーデジタル用サウンドトラック
通常劇場は このトラックを再生しておりました。


内側の波模様が 昔ながらの光学録音のアナログ・サウンドトラックで
近年はドルビー・サラウンド処理されたものになります


▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽



さて、画面の揺れには もう一つ種類がありまして

それを踏まえて、上の画像と
先ほどのフィルムの画像を比べてご覧頂きたいのですが

フィルム画面を良く見ますと 画像が 縦に細長く なっているのが
分かると思います。

これは、
70mmフィルムで撮影した後、横画面を半分に縮めて光学処理し
35mmフィルムに転写した後

スクリーン上に映写する段階で左右を引き伸ばして投写する

フィルムの経費削減措置を目的とした
映画業界では一般的な仕様処理によるものです。


これは、
70mmフィルムはことのほか高額 という理由と
70mmフィルムの耐久性の問題に加えて

70mmフィルムの映写機が設置されている映画館が
少ない事からの措置なのですが

初めから70mmフィルムは使わずに
2.35:1(12:5)のシネマスコープのスクリーン 横縦比を
アナモフィック・レンズ を使用して

左右を
1.37:1 (ほぼ4:3のアナログTVサイズ) の横縦比に圧縮して
35mmフィルム撮影する方法が

映画撮影のスタンダードとなっています。

Scope Aperture
手前から見たアナモルフィックレンズ (画像参照:wikipedia)

ご覧の通り、フィルムを横長に引き伸ばすために
奥が縦長になっているのが特徴のレンズです。



非常に賢いやり方のように思われますが、
この方法で上映された画面は左右の縁が歪む現象が発生します。

更に、近年のデジタル撮影作品では モノによって
左右に画面が移動する度 強烈な 『ブレ』 となって投影され

加えて、画面の横方向『解像度』が半分に落ちる事から


人や 車や 宇宙船 などが画面を横切る度
強烈なブレと画像のボケが発生し

何が写っているのか分からない現象が発生していました


これは、
フルデジタルでフルサイズに撮影されたデジタルデータをそのまま投影する
デジタル映写機が設置された映画館がまだ少なかった事から

デジタル撮影されたものをフィルムに転写する方法が取られた事による
仕様なのですが、

どうも、デジタル映像とフィルムの相性の問題もある様で

カラーシネスコ35mmフィルム、シネマスコープで上映された
『SPACE BATTLESHIP ヤマト』では

縦長映像をアナモフィックレンズを使って横に引き伸ばす
いわゆる一般的な上映方法だったのですが

宇宙船が左右を横切る度
TVのスポットでは全く見られなかった酷くブレる現象が発生して
私の様な視力の弱い人間には 強烈に目が疲労するという

とても鑑賞に耐えない上映となりました


近年苦戦を強いられてきた映画業界でしたが
映画がデジタル撮影になってからのシネスコ35mm上映での

フィルム上映の仕様である『揺れ』に加わるこの様な『ブレ』

私の様な映画好き人間の映画館への足を遠ざける要因の一つとなった事は
皮肉と言わざるを得ません

..........................................................................................................

さて、
現在ほとんどのスクリーンがデジタル化を実地し フィルム上映の映画館は
一部 特別上映用を残し 日本から姿を消そうとしています

少年時代から慣れ親しんだ この フィルム上映独特の
『画面の揺れ』 を体験する事は

眼に慣れただけで無く 身体に刷り込まれた
映画館で映画を観るという 特別な行為の 言わば 『証』 でした

年齢と共に 段々とシネスコ上映が受け入れがたいものになって行った頃に
静止画が綺麗なデジタル上映への以降が行われた事は

フィルム上映が無くなり 淋しさを感じるというよりは
正直 ありがたい事でした


前世紀には アナログ・レコードの終焉に
今世紀には フィルム上映の終焉に

音楽好き、映画好きとしては これら2つに立ち会えた事を感謝し
とても感慨深いものを感じております

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

映像、音楽コンテンツは 時代と共に多種多様化し
ビジネスの兼ね合いから様々な観賞形態が登場した事で
現在は錯綜した状況にあると 言えると思います

TVでTVを 映画館で映画を ステレオで音楽を
観賞の方法に合わせていた生活スタイルから

ライフスタイルに合わせた鑑賞方法が取れる
形に拘らない時代の到来と言えるのでしょうか


『揺れる画面』 からは 映画好き達の 形に拘る様式
今でも見えて来るような気がします

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こちらも アナログからデジタルへの片鱗が見られる
レーベルを越えた 珠玉の名曲揃いの ベスト盤です





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最終更新日  2018年05月27日 14時09分28秒
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