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2006.01.25
カテゴリ：昭和
 お気に召したら 人気blogランキングへ 昨年、江國香織の小説を映画化「東京タワー」は、黒木瞳が出演した 豪奢なラブロマンスで有名ですが、東京タワーそのものは昭和３３年 （1958）に建設されて半世紀弱の長い間、東京自慢の塔として大勢の 人々に親しまれてきました。 東京タワーはラジオとテレビの放送の発信基地として建設されたので、 正式名称は「日本電波塔」と言いますが、世界一の高い塔であること、 パリのエッフェル塔に似せて形態が流麗であること、一年余りという 短期間に完成させて日本の技術力を示したこと、などで日本人の誇り の対象です。 しかし、私は大方の評価に逆らって、「東京タワーは美しいか」と問う てみたいのです。 パリのエッフェル塔は、建設当初はパリ市民には不人気でして、当時 （1889年ころ）フランスの小説家や芸術家は、美的観点からエッフェル 塔がパリ市街の景観に馴染まないと激しく批判しました。 その後、幾多の設計変更が加えられて今日のエッフェル塔が生まれました。 その結果、今ではエッフェル塔はフランスのみならず世界的にも鉄鋼 建築の記念塔になっています。 東京タワーの場合、市民の間でも専門家の中からも、美的観点から 東京タワーを批判したという記録を寡聞にして知りません。グランド デザインがない東京市街の発展が予測できないのに、東京タワーだけ で美的景観を構想せよと言われても、どうにもならなかったのでしょう。 東京タワーはラジオとテレビの電波塔として実用面への配慮が強く働き、 形態についてはエッフェル塔の真似をしただけでした。 確かに、東京タワーはエッフェル塔より繊細な姿態をしていますが、 これはエッフェル塔より約７０年遅れて建設したため、鉄鋼建築の技術 進歩のお陰で鉄鋼の使用量を少なくできたに過ぎません。 また、東京タワーの欠点はその敷地が狭隘で平板でないことにもあります。 芝増上寺の裏山の墓地を一部割譲して貰った狭い土地に、世界一高い塔 を建てたのですから、縦横のバランスが極めて悪いのです。その狭い空 間に水族館やみやげ物屋やレストランなどが所狭しと入居していて、 とても東京のランドマークらしい雰囲気はありません。 今、この東京タワーは電波発信基地としての能力に不足をきたし、新た に第二の電波塔を建設する案が検討されていると聞きます。新しい時代 の電波がカバーすべき領域に対して電波塔建設の適地は何処か分かりま せんが、電波塔は長大な建造物ですから、次に造るときは広域な東京 景観と調和する電波塔が生まれることを祈っています。 照明デザイナー石井幹子がアップライトした東京タワーは、邪魔物が 見えない夜空に美しく立っています。その写真を一枚ご覧にいれます。 （以上） お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
Last updated
2006.06.20 21:36:51
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