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『信賞筆罰』 ある在野研究者の記録

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2021.08.01
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カテゴリ:読書日記


決断できない日本(文春新書)
ケビン・メア氏とは、実は、沖縄でお会いしたことがあります。
よく沖縄の領事館の隣のスタバにいらっしゃることが多く、初対面からすると「ぶっきらぼうな印象をもたれるかもしれません。

ただ、あの共同通信の「沖縄を侮辱する発言」が取り上げられた時、なぜ、日本のメディアは、寄ってたかって、この記事を検証もせず、流布したのか?が、日本が「マスゴミ」と呼ばれても仕方がない対応のように思いました。

30年もの国務省の外交官として活躍し、また、彼の奥さんは日本人であり、アメリカきっての知日派です。
だからこそ、日米関係がなさければいけない問題も熟していたスペシャリストだった彼が、共同通信のデマゴーグに、反論もさせてもらえず、自らの意志で外交官の職をやめてまで、共同通信の報道に反論する「侍」精神に似た、気骨のある外交官であるとも言えるのでしょう。
彼を援護できなかった日本のマスコミやメディアがいないというのも大問題であろうと思います。

唯一、文春だけ、『文藝春秋』に彼の反論を設け、このような新書を世に送り出したのは、日本の雑誌ジャーナリズムの雄として、すばらしい対応だったように思います。
朝日新聞など”NY TIMES"を見習って”OP-ED”などの一方的な主張を搭載せず、バランスのとれた報道に従事すると、おおっぴらに宣伝しても、何もしてこなかったのは、要するに「NY TIMESの猿真似さえもできない」ということを意味するわけでして。

本書では、ケビン・メア氏から見た日本の「本当の姿」を、あますことなく書かれていまして、学問から見た日米関係史よりも、実証に基づく説得力のある日米関係のあり方を問う良書だと思いました。
特に、あの東電の原発事故の時の対応において、在留米人の一斉避難勧告における判断が、日本に対するアメリカの態度がよくわかります。
つまり、原発事故による放射能汚染の拡大により、東京が、その脅威にさらされている中、国務省はアメリカの憲法の規定どおり「国民の生命」を守る権利をまもるため、東京への脱出を在留アメリカ人に勧告するかどうか?という大問題がありました。
ただ、アメリカはすぐにその勧告を行いませんでした。
なぜなら、もし、東京にいるアメリカ人が大量脱出すれば、日米同盟は崩壊するから。
この意味を理解できる日本のマスコミや政治家、知識人が、果たしているのかどうか?


もし、一目散に東京からの疎開勧告をすれば、「アメリカは日本を同盟国とは思っていない」と、世界中にしらしめることになる。
なので、ギリギリまで根拠のあるデータを割り出し、それをもとに、一斉避難するかどうか?を判断する。
極めて優秀なプロセスで判断されたようですし、このような提案をしたのが、ケビン・メア氏だったのである。
そして、そのアイデアがアメリカ政府に正式に採用されたという事実です。
実際、根拠のあるデータ(米海軍第7艦隊の空母が、福島県の沖合まで作戦行動をし、放射能データを逐一調査されていたことはあまり知られていない)に、もとづいて、あのアメリカ人の関東地方から疎開・避難勧告が出たという事実もあまりに知られていない。
この時の管直人首相の東日本大震災の「あほ」な対応は、歴史に深く刻みこまれ、末代までの恥をさらすことになるでしょう。


しかし、ケビン・メア氏は、この震災によって、「トモダチ」作戦の調整、日米関係の協力体制の確保など、彼がいなければ、米軍の早期救出作戦は展開されなかっただろうし、自衛隊との連携など、日本国民から賞賛を受けたことを考えれば、彼の役割は、非常に大きな存在であるように思います。
最後に彼は、ズバリ日本の弱点を指摘しています。
それは「日本の政治レベルの低さ」です。
良識ある知日派外交官を失ったのは、日米関係において大損失だったように思います。





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最終更新日  2021.08.01 11:35:27



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