カテゴリ:うわぁ!
夕方、近所を歩いたときの澄んだ空気は、さすがに八王子だなと思わせる見事さだった。
とっさに思い浮かべたのは映画で見るアメリカの田舎だ。 行ったこともない処だが、たとえばメイン州など東部アメリカの森や湖のある景色。 要するにそういった映像に見るような澄みわたり方だったということなのだが、目を奪われた。 雲は多いのに、建物や木々や、ときには高圧線の鉄塔までもが、淡い光の中でくっきりと映えている。 あたりをぐるりと歩いて、帰ってくるときには正面が西の方角になった。 東海大病院の手前に黒々とした林があり、その木立の合間に夕陽の黄金色が、何というか舞台のホリゾントのように背景一面を充たしてこんもりした林全体を浮き立たせている。 きれいだなぁと思った。 1981年に制作され、日本では翌82年4月に公開された『黄昏(ON GOLDEN POND)』という映画を連想するようだったといえば通じるだろうか。 都心にいたらまず見ることができない風景だ。 帰宅後シャワーを浴び、居間の椅子に座ってぼんやりしていると、カミさんの立つ台所の窓の向こうに、空が、まさに印象派の絵画を思わせる色彩豊かな夕焼けに染まっているではないか。 席を立たず、わずかに開いた窓から見えるだけの空を見ていた。 初めてフィンランドに行ったとき、数え切れないほどのの島々から成り立つ国は海の向こうに真紅の夕焼けを登場させ、長い時間、忘我のときをもたらしてくれたものだった。 座った位置から見る八王子の夕陽は、その夕陽に似た色をしていた。 きょうは一日中、雲の低い日だったと思っていたのにこの夕焼けは何だ? そう思いながら景色に引き込まれていくばかり。 写真を撮ろうかとも思ったが、こういう景色は眺めているだけで十分なのだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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