カテゴリ:飲み食い
早番のかみさんは当然ながらいない。 きのう録画しておいたNHKスペシャルを見る。 畑村洋一郎と柳田邦夫がスタジオ出演で何をしゃべるかを見たくて録った。 調査委員としての臨場感ある発言を期待したのだ。 それはまぁ得られたが、番組自体の時間が短く、司会アナウンサーの態度に不満で終わるなり消去した。 シャワーを浴び、息が上がらないようにゆっくりと支度し、予定通り午後1時5分発のバスで出かける。 地下鉄三越前に着いたのは2時40分。 三井タワーのエスカレーターで1階に上がり、室町3丁目の交差点をゆっくり渡る。 現在みずほ銀行となっている建物は、かつて合併前には富士銀行のガラス張りビルだった。 1970年代前半、ヨーロッパ取材の仕事を始めたころ、よくこの通りを歩いて「砂場」に蕎麦を手繰りにいったものだった。 その後、1990年の春だったか、寺崎茂くんの誘いで日刊ゲンダイの書評を書くようになってからは学生時代の友人たちと行く機会が増えた。 やはり寺崎くんと行くことがいちばん多かったかな。 きょうは、その室町砂場で露文の仲間との呑み会がある。 待ち合わせは午後3時。 店の前で時計を見るとその10分前だった。 左から現れた男を見ると北澤淳一くんではないか。 おう、と声をかけ彼を先に店内に入ると、正面奥のテーブルに寺崎くんと平野叔(とし)くんの姿が見える。 早いねぇといいながら平野くんの隣に座った。 さあて、愉快な夜の始まりだ ぼくはCOPDのため酒を呑まないようにしているが、ほかの連中は呑む呑む。 先ず注文したビールがそろうなり日本酒を銚子3本たのみ、これがまたたく間に空いてしまうからさらに3本、つぎから4本づつ、という具合に呑み干すのだった。 平野くんが「いま『壬申の乱』を読んでいて、これがまぁじつにおもしろい」と読書談話の口火を切った。 日本書紀を原点とする思想史といったテーマに興味が尽きないようだ。 ぼくはそのあたりのことはほとんど何も知らず、黙って聞いていた。 壬申の乱そのものについては近江の歴史にかかわるシナリオを書いたときに割合よく勉強した記憶があるが、近江の古代史的イメージのほうが鮮明で、なかなか思想史まではたどりつけない。 彼はさらに島崎藤村の『夜明け前』が今年読んだ本の中では白眉、という。 これには、一同感服。 ぼくは読み始めては挫折していたクチで、なんといっても藤村のあの文章に入り込めなかったのだ。 が、たとえば松岡正剛さんは『夜明け前』について、こんなことばを発している。 「日本人は島崎藤村を褒めるのがヘタなのだ」。 「(島崎藤村は)『夜明け前』全編を通して、日本人のすべてに「或るおおもと」を問うたのである」。 平野くんも松岡さんも、みごとだなと思う。 ぼくは読んでもいないのだから困ったものだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.12.30 00:31:23
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