カテゴリ:森博嗣 語録
「理解できないというのは、身を引いて考えることを止めてしまうからです。」
~『笑わない数学者』315頁~ ◇理解することは、そんなに難しいことではないと思っていた。しかし、好きな人ができた時から、自分のことも、相手のことも何も理解できない自分に気がついた。恋は認識の扉を開く。いにしえ人も言ったではないか。「恋は、人を詩人にも、哲学者にもする。」 ◇森博嗣シリーズでは、人間の理解の浅さや、誤った理解の盲点などを鋭く指摘する記述が多い。 「視力があることと、ものが認識できることは別だからね。」 ~『笑わない数学者』33頁~ 「先入観というものは恐ろしい。思考は、最初の印象によって 無意識に限定される。その不自由さが問題を複雑にし、 解決を遠ざけてしまうことが多いのだ。」 ~『今夜はパラシュート博物館へ』(双頭の鷲の旗の下に)93頁~ ◇なかには、小中高校の授業のレベルの低さを皮肉った指摘もあったりする。 「不思議なことって、あまり日常にないでしょう?」 「勉強すれば沢山あることがわかるよ。わかっていないことばっかりなんだ。 ただ、みんな、不思議を見逃しているだけだよ。ブーメランがどうして戻って くるのか、ヘリコプタがどうして前進するのか、工学部の学生だって誰も知らない。」 「あれはジャイロ効果でしょう?」萌絵が言う。「それくらい知っています。」 「コサインカーブを積分するとサインカーブになるね。これが、ブーメランが戻って きたり、自転車が倒れないメカニズムの答えだ。このことにどれだけの人が気が ついている?高校の先生は教えてくれないだろう?」 ~『詩的私的ジャック』より~ ◇私も教員の一人として、痛切にこれは感じている。とりあえず網羅することを第一優先にしてしまい、謎を与えること、目から鱗を落とすこと、ストンと府に落とすこと、本質までたどり着くことをないがしろにしている。それらはとてもおもしろいことだと知りながらもである。 ◇様々な制約から仕方がないのであるが、ならばと奮起して、たまに謎を出す。最近は、そのほとんどが森博嗣著作からの引用であることは、生徒には内緒であるが・・・ 「理系に学ぶ諸君だから、とっくに三角関数を習ったよね。微分積分も 終わっているよね。ところで、コサインカーブを積分すると何になる? そう、サインカーブだよね。実は、これが自転車が倒れないメカニズム だって知ってた?理系の聡明な諸君ならば、ちゃんと証明できるよね。」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.01.05 23:39:55
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