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まえがき より
マネジメントの重要な柱は二つあります。仕事もマネジメントと、人のマネジメントです。言い換えれば、使命→成果→目標→貢献と続く一連の「なすべきこと」、そして、一人ひとりの強みをベースとした「できること」にいかに取り組んでいくかです。なぜなら、成果は、「なすべきこと」と「できること」の重なり合ったところで生まれるからです。 7頁 ドラッカー教授はチームの欠陥についても指摘しています。そのいくつかを、多少要約して挙げてみましょう。 ・明確さや安定性に欠ける ・経済性が悪い、仕事を進めることにエネルギーが費やされる ・内部管理(人間関係、仕事の割り当て、会議、コミュニケーションなど)が不可欠 ・課題は共有できても、全員が自分の責任を理解しているとは限らない ・規模が大きくなると機能しない 裏を返せば、これらがチームを運営する上でのポイントとなるわけです。 22頁 ドラッカー教授は、「マネジャーにできなければならないことは、そのほとんどが教わらなくとも学ぶことができる。しかし、学ぶことができない資質、後天的に獲得することのできない資質、はじめから身につけていなければならない資質が、一つだけある。才能ではない。真摯さである」といい、学ぶことでマネジャーには誰でもなれることを示しました。一方真摯さは後天的に獲得できないとし、真摯さを欠く者をマネジャーにすれば、組織を破壊させると警告をならしています。例えば以下のようなタイプです。 1.強みよりも弱みに目を向ける者 2.なにが正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つ者 3.真摯さよりも頭の良さを重視する者 4.部下に脅威を感じる者 5.自らの仕事に高い基準を設定しない者 6.実践家できなく評論家である者 40頁 「成長は、常に自己啓発によって行われる。企業が人の成長を請け負うなどということは法螺にすぎない。成長は一人ひとりの人間のものであり、その能力と努力に関わるものである。」ドラッカー 『マネジメント(中)』66ページ 41頁 人材育成の基本は、育てるのではなく、育つ環境を提供することにあります。 人材を育てるのは組織の都合ではなく、あくまで一人ひとりの成長のためです。 46頁 ドラッカー教授は、「働く人を雇うということは、人を雇うということである。手だけを雇うことはできない。手の所有者たる人がついてくる」というエルトン・メイヨーの指摘に加え、「そして配偶者もついてくる」といいました。 47頁 「働くことすなわち労働は人の活動である。人の本性でもある。論理できない。力学である。そこには五つの次元がある。」『マネジメント-エッセンシャル版』58ページ 働くことに関わる五つの次元を紹介しましょう。 「生理的な側面」人は機械ではなく、機械のように働きもしない。 「心理的な側面」働くことは人格の延長である。それは自己実現の源である。 「社会的な側面」組織社会では、働くことが人と社会をつなぐ絆である。 「経済的側面」仕事は働く者にとっては生計の資である。存在の経済的な基盤である。 「政治的側面」働く者全員が何らかの権力構造の中にある。 53頁 ドラッカー教授は、「満足とは動機づけとしては間違っている。満足とは受け身の気持ちである」と指摘しています。従業員の満足をはかることに意味はあるとしても、不満と満足の入り交じった結果が出るのみで、人間の根本に根ざす動機づけとはほど遠いものに感じられます。教授が指摘した満足と不満足者の声には、考えさせられるものがあります。 声1.「仕事において○○を達成している」…プラスの満足 声2.「大過なく過ごせる職場環境だ」…マイナスの満足 声3.「会社の方針など全てが気に入らない」…マイナスの不満足 声4.「自分自身や所属するチームの仕事を改善したい」…プラスの不満足 声5.「現状よりもより大きな仕事をよりよく行いたい」…プラスの不満足 「この組織に満足しているか」というような単純な問いかけでは、マイナスの満足、プラスの不満足が混ざってきます。たとえ質問を工夫したとしても、つまるところ、満足度は一指標、しかも一手段にすぎないことを忘れてはなりません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.04.24 23:34:55
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