テーマ:演劇を観て(3)
カテゴリ:演劇
教師の劇団「創芸」。現役とOBの教師の劇団なので、いつも夏休みに公演します。 「創芸」の脚本家であり、演出も手掛けるOさんは元同僚。在職時代は学校演劇の脚本をたくさん書いていましたが、退職後は、大人向きの演劇を手掛けています。もっとも在職中から、「創芸」には脚本を書いていましたが・・・。 元同僚の仲の良い友達5人で出かけました。紀伊国屋ホールです。TVドラマでなく生のお芝居を見るのってやはりいいですね。感情が直に伝わってきます。ですから1年に1度、友達と一緒に見るのをとても楽しみにしています。 テーマは主に、去年の大震災が取り上げられていました。私も詩を書く時、心に一番残っているのが震災なので、ああ、やはり同じなのだな、と思いました。 場面はシェアハウスで、そこから物語が展開していきます。独身の高齢期を迎えた女性たちが、シェアハウスで生活しています。イベントをやろうと、町内に呼びかけたり、なかなか意欲的な女性たちです。 そこの住人で小説家の女性が主人公です。そこへ30年前に別れた元夫が飛び込んで来てます。元夫が彼女から奪っていった娘が震災の時津波に飲まれて亡くなったのですが、その子の萌が幸運にも助かって、今仮設住宅に一緒に住んでいます。ところが元夫が重病になり入院するので孫の萌を預かってほしいと懇願するのです。 元夫への憎しみと、自分が我が子を捨てたのではないかという懺悔の念が葛藤し悩みますが、友人たちの励ましもあって孫の萌を引き取ることを決心します。 最初はなつかなかった萌がある時、なつき始めます。遠足のお弁当を作ってあげた時でした。お母さんと同じお弁当の匂いがすると言って萌えが泣いたのです。彼女も一緒に泣き、心を通わせます。こちらも一緒にもらい泣きです。 夏休みになってどこかへ連れて行ってあげようと言うと、萌は今一番行きたい所がある。それは故郷、石巻で、まだお父さんにもお母さんにもさよならを言っていないので、さよならを言いに行きたい、おじいちゃんもお見舞いに行きたいというのです。元夫へ心を閉ざし、娘にも屈折した思いを持っていた彼女も気持ちをほぐされ萌えと一緒に、石巻へ行くといいます。 そして最後彼女が真っ赤なバイクに颯爽とした格好でまたがります。萌を後ろに乗せて・・・。そして石巻へ旅立って行くのでした。 ほんのあらすじを書いただけですが、挿話として、福島に故郷を持つ隣人が震災前福島に土地を買い、家を建て、さてこれからその家に住むかどうか悩む姿や、東電の社員の息子と原発反対を唱える娘がどうやら結ばれそうな気配・・・もあったりして、話を膨らませています。 シェアハウスの住人たちのいろんな個性、シェアハウスの隣人たちの人間模様も描かれていて、賑やかな色どりを添えています。笑いあり、涙ありであっという間の2時間半でした。 今現在の震災復興がはかばかしく進んでいない実情、放射能への恐怖、等も描かれ、みんなが出来ることで、復興への手助けをしていこうではないか、というメッセージが伝わってきました。 この脚本を書くにあたってOさんは実際に石巻に行ったそうです。そして石巻のローカル紙が震災直後も、輪転機が回らない中、模造紙に壁新聞を手書きで作って、仮設住宅やいたるところに貼りだしたことを知りました。その壁新聞がとても参考になったそうです(パンフレットによると・・・) 悲しんでばかりいてはだめだ。明日に向かっていこうという爽やかな作品で、とても後味が良い晴れやかな演出でした。 講演後Oさんと握手して別れました。また来年も楽しみにしていますからね、と。 新宿のとある喫茶店で、それぞれみんなが食べたいものを注文し、おしゃべりタイム。私はパレストレータというパスタ。美味しかった!!あ、また写真を撮るのを忘れました。ごめんなさいね。ただ美味しかったことをご報告しておきます。
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