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今の時期亜高山地帯を歩くと、林縁の灌木に絡みついた蔓草に多数の毬形果が着いているのを見ることがある。 一見すると、カナムグラやホップの花に見えなくもない。 そのためホップの花を知っている人は、しばしばホップと勘違いする。 この花の和名は「唐花草」、ビール醸造に欠かせないホップは「西洋唐花草」である。 どちらもかつてはクワ科に分類されていたが、現在はアサ科に分類される蔓性多年草である。 カラハナソウは、ホップの変種として分類されている。 カラハナソウは北海道および本州中部地方以北に自生し、灌木に絡みついて5mほどにも伸びて茂みを形成する。 茎に小さな棘が密生し葉はざらつき、縁に鋸歯を持つ。普通葉は3裂するが、手のひら状に裂けているものもある。 雌雄異株で雄しべ5本萼片5枚からなる雄花は疎らな総状花序で、秋に咲く淡い黄色をした雌花は2個の花が1個の苞に包まれ松毬状の苞が重なり毬状となる。 カラハナソウの松毬状の実にはホップと同様の香りがあるが、苦味成分はホップと比較してはるかに少ない。 卵円形の毬状果穂は、短い柄をもって垂れ下がる。 この花の花穂の形が似ているところから和名の「カラハナソウ」の名前がついたとの説があるが、この花から唐花模様や唐花紋を連想するにはかなりの無理があり、それほど似ているようにも思えない。 ホップには果穂の熟した苞の内側にある黄色の腺が密生してつくが、カラハナソウでは数が少ない 健胃・鎮静・利尿の薬効があり、乾燥させた果穂をお茶のように煎じて用いる。 ホップにも催眠・鎮静・利尿・食欲増進・消化促進などの薬理的作用のあることがよく知られており、またホップ抽出物に含まれるホップフラボノールには、花粉症症状を軽減する効果があることがサッポロビールによって発見された。(2006年6月) 結晶性苦味配糖体フムロンやルプロンが薬効の有効成分であり、フムレン・ミルセンが香り成分である。 現状は、ビール醸造以外の用途にはほとんど使われていない。 明治4年(1871)に北大の前身である開拓学校の教頭の、アメリカ人トーマス・アンチセルが野生のホップを見つけてビールを作ったが、苦味が無くまずいビールしかできなかったという話が残っている。 トーマス・アンチセルがホップだと思った植物は、実はカラハナソウだった。 その後明治9年(1876)頃ホップの苗を輸入して育て、北海道で本格的なビール醸造が始められたという。 ホップやカラハナソウに触れることにより、稀に接触性皮膚炎を起こすことがある。 蔓をよく伸ばすことから、グリーンカーテンとしての利用方もある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年06月15日 08時41分20秒
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