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標準原色図鑑全集 沖縄渡嘉敷島に初めて渡った10年前、ビーチの砂浜に開いたスナガニの巣穴を初めて見た。 素手で掘り返したが、30cmほど掘っても出てこないので、捕まえることを諦めた。 スナガニは日本に、3種類が分布する。 渡嘉敷島に生息するスナガニの甲幅は3cmほどだが、横になって入るため巣穴の径はせいぜい2cmほどしかない。甲は長方形で、背中側にやや膨らんだ形をしている。 鋏の大きさは左右不対象で、大きな方の鋏の内側には顆粒列が並んでいる。歩く脚は体型に比較して、長くてがっしりしている。 眼柄の先に大きな極めて視力の良い複眼を持ち、巣穴に入るときは眼柄を目の横の窪みに畳んで収納する。 このカニは保護色で、体色を変化させることが知られている。落ち着いている時は複眼以外が薄い赤一色だが、興奮・緊張すると黄褐色から黒褐色に変化する。 捕獲すると、殆どの場合灰色をしている。 また若い個体は白黒のまだら模様でコメツキガニにも似ているが、スナガニは俊敏なことで区別がつく。 砂浜の満潮線付近に、1mほどもある深い巣穴を掘る。潮が届かない位置に直径が2~3cmの円形の穴があれば、スナガニの巣穴と考えて間違いない。 コメツキガニも巣穴をほるがスナガニは、波打ち際から離れた満潮になっても波が届かない高い位置に比較的大きな巣穴を掘るのが特徴である。 食性は雑食で夜巣穴から出て動物の死体や藻類などを探して食べる他、砂浜にいる生きた小動物も捕食する。 日昼は非常に警戒心が強く、大きな動くものが近付くと素早く巣穴に逃げこむ。 人が接近すると数10m以上離れていても地上を飛ぶように走って巣穴に逃げこみ、一旦巣穴に逃げこむと物音がする間は出てこない。 巣穴まで遠い場合は時速16kmほどの早さで海に向かって走り、そのスピードはカニ類中最も早いと言われる。 直線的に走るばかりでなく急な方向転換も得意で走る方向に人や障害物があると、それを避けるためその速さで方向転換をする。 動きが速く巣穴も深いため、巣穴を掘る以外捕獲することは難しい。 英語でスナガニは、Ghost crab(幽霊ガニ)と言われる。 「すばしっこく影のように走り去る」「素早く巣穴に隠れることから、見えていたものが急に見えなくなる。」「保護色のため、夜の砂浜では、影だけが動いているように見える」などが、名前の付いた由来とされる。 夜、波打ち際を懐中電灯で照らしながら歩くと幾つもの白い個体が、猛烈な速さでひらひらとまるで飛ぶように海の方へ走っていくのを見ることができる。 早朝も比較的多くの個体が巣穴から出ているので、夜間と同じように見られる。 その様子は将に、Ghost crabの形容がぴったりである。 よたよた横歩きをするカニしか見たことが無い人には、飛びまわるように走るのを見てこれをカニだと認識することが難しい。 波打ち際まで走って来ると素早く海中の砂の中に潜ってしまうので、捕まえることは至難の業である。 今ではすっかり歳をとって30mほど先の海までさえも行かなくなってしまったが、娘が飼っていたトイプードルの「クロ」はスナガニを掘るのが得意であった。 数年前渡嘉敷島に来た「まさはる君が行く!ポチたまぺットの旅」撮影では、娘のホテルにテレビクルーが宿泊しクロは主役となって得意のカニ掘りを披露していた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年08月08日 12時46分11秒
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