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関東・甲信では今年の9~10月の日射量が、記録的に少なかった。 10月も相次いで発生した台風の影響もあって、秋も深まったのに澄んだ青空を見ることは殆どなかった。 10月に入って秋雨前線が優勢な太平洋高気圧に押し上げられて、10月としては観測史上初めてという真夏日が3日も続いた。 この強力な高気圧が衰えそれに伴って秋雨前線が南下した7日を境にして、真夏と秋の冷涼な空気とが入れ替わり嘘のようにすっかり秋めいてしまった。 秋の空気になると青空に夏の積乱雲に代わって、空の高いところに真綿を引き延ばしたような白色で筋状の薄い雲が現れるようになる。 この雲は気象用語では巻雲と呼ばれる国際分類十種雲形の1つで絹雲と書いたり、すじ雲・はね雲・しらす雲とも呼ばれることがある。-40℃以下のところに現れる、雲である。 細い雲片一つ一つは輪郭がはっきりしていて、絹のような光沢があって陰影がない。巻雲の多くは太陽光を遮ることがないほど薄く、巻雲を通して見る太陽は眩しく太陽に懸っても光が地上まで届くので影が出来る。 巻雲のスジが真っ直ぐな時は間もなく雨が降るサインで、曲がったり乱れていたりする時は翌日も晴れることが多い。 学術名Cirrusというがこれはラテン語の巻き毛を意味するところから、「巻雲」と訳され表記されていた。 しかし巻には「ケン」という読みが常用漢字に無いとの指摘を受け、1980年代に巻に代えて「絹」の字が当てられた。 8年後の1988年に再び「巻雲」表記に戻ったが、現在もその名残が残っている。そのためその時代に学んだ人は、今でも絹の文字を使用していることが多い。 青空をバックに浮かぶ白で縮れ毛のような・筋のような・引き伸ばした真綿のような薄い雲の巻雲は、夕暮れの時は太陽が沈んでも赤やオレンジに染まった夕焼け雲となり美しい。 10月9日は前線が列島を通過したので大気が不安定となり、明け方から各地で前が見えないほどの豪雨となった。 しかし甲信地方の雨は、昼前にすっかり上り午後3時過ぎるころには雲の切れ目から時折薄日が射すようになった。 9日一日で夏と秋の空気が入れ替わったことが、肌にも感じられるほど劇的に変わった。 10月9日は、月齢8で上弦であった。 午後5時半を過ぎる頃には雨雲がすっかり取り払われ、半月の月が午後5時50分に南中した。 午後5時19分の日の入りとともに影の南アルプスと次第に赤く染まった絹雲、上弦の月の共演が見られた。 上弦の月とは新月から満月にかけての間の月で、下弦の月は満月から新月にかけての間の月の事を指す。新月から数えて9日目が上弦、満月から8日目が下弦である。 上弦と下弦は同じ半月だが、これを見分ける簡単な方法がある。上弦の月と下弦の月では、見える時間がまったく異なる。 上弦の月は昼間出て深夜に沈み、下弦の月は深夜に出て昼間に沈むことを覚えておけばよい。 夕方南から西の空に見える半月は「上弦の月」で、朝見える白い半月は下弦の月ある。 山と夕焼け半月の共演は、夕焼け雲が急速に色褪せるまで15分ほども続いた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年10月12日 10時13分33秒
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