人生の落とし穴:::35才脳死説・・・寂しく昼食を採る人たち
4月に入社した新人は5月になって元気にやっているでしょうか? 5月病といって少しなれてくると体調を崩す人もおられるようです。ところで、人生にはいくつかの落とし穴があります。原発を引き受けてお恵みをもらい、すっかり働く意欲を失ってその方が没落していくのを見ると、これもまた落とし穴の一つと思います。
4月に希望に満ちて会社に入った若い人も、そろそろなれてきた頃と思います。もし若い人がこのブログを読んでおられたら、私の経験を一つお話ししたいと思います。
この図は「35才脳死説」を説明したグラフです。大学を出て就職した直後は、平社員で上司の命令通り動けば良いのですから、楽なものです。大学で習ったことなどほとんど役に立ちません。常識の範囲で立派に仕事をすることが出来ます。
ところが、永久に平社員であることは希で、30才を少し過ぎた頃に、課長や店長など責任ある立場に立ちます。コンビニエンスストアーなら、それまで「ハイ!」と「笑顔」で良かったのに、「何が売れるか?」を的確に判断しないとダメになります。工場では生産設備を、研究では学力が、そして営業では人付き合い、見通しなどが求められます。
しかし、すでに10年もサボってきたので、急に要求レベルが高くなってもそれに応じることが出来ません。そして、自分の力を見つめてみると「とうてい、求められるレベルに到達できない」と感じるのです。
人間は生物ですから、「ダメだ」と思うとその苦痛から逃れるように全力を尽くします。それが「脳死」なのです。あれほど活発だった彼、いつも昼になるとみんなでわいわいと食事を楽しんでいた彼、その彼がひっそりと椅子を立ち、肩をすぼめながら歩き、黙って一人で昼食を採っているのです!
彼が楽になる方法、それは脳の活動を止めて死んだように生きることなのです。だから食事は一気にまずくなり、友人と話しながら食べるなどは苦痛です。私はそのような若い人をよく見てきましたが、平均的には35才程度のように思います。
「35才脳死」、その後に来る50年の人生は灰色で楽しみはほとんど無くなります。ただ愚痴っぽい老人になっていくのを見て、哀しくなります。もし、やがて来るジャンプ・・・平社員から課長へ・・・の時のために準備を怠っていなければ、彼の人生は生き生きと活気に満ちたものになるでしょう。
人生にとって出世というのは意味が無いように思います。それより自分の人生が充実していること、それこそが自分の人生です。だから、少しずつする努力は出世のためではなく、自分の人生のためなのです。
(平成24年5月15日)
「35yeardeathtdyno.86-(6:16).mp3」をダウンロード
武田邦彦
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最終更新日
2012年05月23日 16時33分10秒
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