岩本さん、いってらっしゃい!
今頃の更新になってしまいましたが、今年1月、法テラスのスタッフ弁護士として養成していた岩本輝尚弁護士が、法テラス雲仙法律事務所に巣立っていきました。静岡から雲仙は、一体どうやって行くのだろう?!と思う程に、遠い場所ですが、定期的にZOOMでお話しているので、距離はそんなには感じません。でも、いつも誰よりも早く出勤し、誰よりも遅くまで仕事をしていた岩本さんの、しっかり目を見て言ってくれる、気持ちの良い「おはようございます」「お疲れ様でした」がこの1月から聞けなくなったことを、ふとした時にしみじみ淋しく、また、懐かしく感じます。そう、岩本さんは、とおっ~~~~ても頑張り屋さんでした。事案の本質や解決策に一直線に迷いなくさっと到達するといういわゆる器用なタイプではなかったのですが、そこを努力の量で補おうとするガッツが彼の仕事に対する向き合い方の最大の特徴だったと思います。昼も夜も週末もない働き方には、何度も私たちから心配のブレーキをかけたくらいでした。私と間さんは、彼の努力は心から称えつつも、いやいや、もっと事件を俯瞰して見てごらん、この事件の骨子は何なの、そうするとここは完全に余事記載になるでしょ、論点を沢山拾っても実務では褒めてもらえないんだよ、よく考えて必要なことを見極めて勝負所から逃げずに厚く説得的に焦点絞って論じていかないとね、という趣旨のことを、様々な表現で、口を酸っぱくして指導し続けてきました。ひたすら努力量で押すスタイルは、長く趣旨がはっきりしない、伝わらない起案になってしまうという実務的な問題もありますが、マルチタスクを同時にこなさなければならない弁護士業務においては心身が持たず、持続可能性がない方式だということも危惧していたからです。岩本さんは、私たちの指導に本当に真摯に耳を傾けて吸収しようとしていました。でも、上記の通り、努力量で様々なことを乗り越えるのは、良くも悪くも、彼の人生の一部であり、アイデンティティでもだったので、一朝一夕に変えられることではありませんでした。そのため、私たちも、繰り返し同じようなことを言い続けてきた一年間となりました。岩本さんの立場からすれば、私たちの指導がいやになって腐っても決しておかしくないと思うのですが、岩本さんは、落ち込みながらも、腐りませんでしたし、絶対に諦めませんでした。どうやったら、より成長できるのか、どうすれば、自分がなりたい弁護士に近づけるのか、その問いに自分で背を向けることが決してありませんでした。すぐに解決できなくても、努力をやめない。それは、誰にでもできることではありません。岩本さんだからこそできたことです。その岩本さんのガッツが分かっていたから、私たちも、言い続けられたのだと思います。私たちができることを最大限与えてあげたい、といった、指導する人を本気にさせる姿勢が岩本さんにはゆるぎなくありました。本当によく頑張りました。ご縁あって当事務所に来てくれて本当にありがとう。これからも、あなたの誠実で優しい人柄を生かして、また、ぶれない向上心というあなたの最大の宝を大切にして、これまで通り、ひたすら進み続けてください。最後に、赴任に際して、岩本さんにお贈りしたお手紙を、貼り付けておきます。この1年間本当にお疲れ様でした。あっという間でしたが、濃密な、ジェットコースターに乗っているような期間だったのではないでしょうか。沢山の壁にぶつかったと思いますが、壁にぶつかり負った数々の傷はあなたの勲章です。壁から逃げることなく悩み苦しんだことを誇りに思って下さい。私が以前読んで感銘を受けたヒラリークリントンさんの自伝に、こんな一節が出てきました。 「傷のあるエメラルドは傷のないものより良いとされることがあります。傷が、本物であることの証拠だからです」“Flawed emeralds are sometimes even better than flawless ones,” Tala went on, “because the flaws show authenticity and character.” 今の岩本さんに、万感の想いを込めて、この言葉を贈りますね。養成事務所は実家です。辛い時、苦しい時は勿論、嬉しい時、達成感を感じた時、お気軽にご連絡ください。私たちは、いつでも岩本さんを信じて応援しています。GOOD LUCK! 元気でね!