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再出発日記

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2006年07月30日
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カテゴリ:邦画(05・06)
この作品には注目していた。だからシネコンで初めて前売りで券を買って、初日でもいい席で見る体制を整えていたのである。
どのように注目していたのかは
「ゲド戦記」に対する期待と不安(1)「ゲド戦記」に対する期待と不安(2)に書いている。

ここで、「不安」の部分については「作品の中で、セリフだけでテーマを説明していないか」と書いた。その心配は残念ながら80%ぐらい当たっていたようだ。

父を殺してしまうアレンはつい最近起こったほうか殺人事件に酷似している。情緒不安から自分を見失い、ついには自分の心と身体が分離してしまう。何故そうなったのか、はっきり描いていないことに対する不満はない。なんとなく分かる、それだけでいい。

町の至る所で見かける人身売買や、麻薬に溺れた人々。

人間の欲望にはきりがない。描き方はソフトではあるが、こんな場面を正面から描いた大衆アニメは見たことがない。それは、若いからこそ出来る冒険である。欲望の蔓延から簡単にバランスを失う自然や地球の姿は、私たちが直面している現実そのものだ

どうすればいいのだろう。
その解決こそが映画的カルタシスというものだろう。
ところが不安は的中して、突然ゲドの言葉として、テルーの言葉として、示される。もちろん全て言葉ではない。アランとテルーが最初に分かり合える夕暮れの場面、クモの館でアレンがクモの支配から逃れると同時にテルーと真にわかりあえる場面は感動的である。ただ、一番重要な言葉は何の演出もなく、突然表れるし、あまりにもストレート過ぎる。

宮崎駿は試写を見て、黙って部屋を出て行ったという。吾郎監督のおびえる「影」は頂点に達しただろう。その後1日経って、駿から伝言が届く。「素直な作り方でよかった」。その一日の間に、鈴木プロデューサーからの助言があったかどうかは分からない。でもウソではないだろう。「素直」というのは意味深である。駿ならもっと凝った映画的な演出の後に一言で表しただろう。下手をすると、「ハウルの動く城」の二の舞、自己満足に終わったかもしれない。でも吾郎監督のそれには、荒削りというだけではなく、映画的なカルタシスが不足している。吾郎監督の演出にはよさと悪さが同居している。

ただ、アレンにも、テルーにも共感が出来ない自分がいるのは、決定的なマイナスだ。言葉で説得されても反発してしまうし、テルーの正体がアレだと分かったときには引いてしまったし。

共感できるのはクモの造形だけだった。雑だけど、この描き方は良かったと思う。

(ネタバレ。反転してください。)
だからクモの終わりは、良くない。アレンに止めを刺させてほしかった。

終わり方も良くない。原作ではどうなのかはわからないが、結局この作品で「世界の均衡が崩れた」原因ははっきりしないし、その解決方法も分からないままだ。最後ゲドの一言が欲しかった。そしてアレンが自分の国に帰るというのに、どうしてそんなに楽しそうなのか分からない。王を殺したのだから、当然死を覚悟して帰らないといけないはずだ。テルーにどうしてあんなに嬉しそうに、「またかならすここに帰ってくる」と約束できるのか。


この作品を私は最初から80点に届くかどうかが勝負だと思っていた。100点満点なんかありえない。そこまで日本のアニメは甘くない。けれども、赤字が出ない程度にはむごくない作品、少しは何かをもって帰れる作品であって欲しいと思っていた。ものすごく微妙です。残念ながら、80点はあげれない。70点としたい。★★★☆





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最終更新日  2006年07月30日 09時57分04秒
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