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カテゴリ:遊女aosmeの「映画とドラマ」
2002年のベネチア映画祭の金の獅子賞をとった作品ですが、非常に衝撃的な作品です。
J21さんのHPでこの映画のことを知り、非常に興味が湧き見てみました。 この「マクダレンの祈り」は、アイルランドに存在した「堕落した女性を更生させる修道院」であるマグダレン修道院内で起こった女性たちへの迫害・虐待の事実を描いた秀作です。 ヨーロッパキリスト教の2000年の歴史の中では、かの有名な魔女裁判などを代表とする、悪名高き女性蔑視がおこなわれていたわけですが、まさにこのような形で、引き継がれていたのだと心底驚きました。1996年で、閉鎖された修道院は、当時アイルランドに10箇所もあり三万人が収容されていたそうです。 現在も、修道院側は迫害の事実をみとめておらず、被害者との和解は成立していないそうです。三万人の女性たちに起こった真実を、きちっと見つめようという趣旨で、映画俳優でもあるピーター・ミュランが映画制作を行いました。 このような施設や収容所から、脱出する映画は、かつて、「ミッドナイトエクスプレス」「ショーシャンクの空」最近では「17歳のカルテ」などが思い浮かばれますが、とにかく、その背景にある宗教的な女性蔑視が非常に胸に刺さってくるのですね。どちらにしても人権侵害の問題となるわけですが、国家や宗教によって、権力、権威を人間が持ってしまったことによる間違った行為が、人々を苦しめてきたという証しであるといえます。 マクダレンシスターズというのが現題です。マグナダのマリアがその象徴となっています。娼婦から、キリストの復活に立ち会った女性としてキリスト教にとってたいへん重要な役割を担う女性ですが、そのマグナダのマリアの名前を取って作られた更生施設の女性たちですね。実際は娼婦というよりは、性に対する尋常ではない抑圧と女性に対しての抑圧から生まれた性の無知から起こった、無実の罪の少女たちでした。 彼女達は修道院に収容され、無償で、洗濯の仕事を朝から晩までさせられ、罪を購わされたのです。娼婦はもちろん、未婚の母、また、男を誘惑するようになるかもしれないと、その性的な魅力がある女性たちも連れてこられました。 未婚の母であっても、娼婦であっても、そのような状態になるには、相手がいるからであって、その相手である男性たちには、一つも罪はないのです。「堕落した女たち」と見られ、家族からは恥さらしとして見捨てられるのです。 これはもう、映画を観ただけで、怒り心頭に達し、怒髪天をさす・・状態です。(笑) この施設は1996年まであったというのですから、世界の中で未だにある様々な誤解に満ちた因習か、まだまだ、人々を苦しめているのだと思います。本当に悲惨です。 まずは事実を知るところから始まるわけですから、映画やTVの番組は、本当に影響力がありますし、良い作品を作っていって欲しいと心から願います。 映画としてはなかなかテンポも速く、見ていて面白いです。しかし、とにかく、やりきれないです。これはキリスト教文化圏の女性たちばかりの問題ではなく、世界のシステムそのものが何か間違っていると思わざるをえないですね。そのことの真実を、一人一人が気が付いていかなければならない時代なのでしょう。 新春そうそうの問題作、ぜひ一度ごらんになってみてください! 監督 ピーター・ミュラン 出演 ノーラ=ジェーン・ヌーン お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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こんにちは。見ていただけて嬉しいです!
遊女asomeさんなら絶対にこの怒りや痛みを共有していただけると思いました。 映画で見ると、過去の、特定の宗教による特殊な舞台だけの話であるかのように思えてしまいますが、似たような状況は身近にもたくさんあると思うのです。 日本でも今なお、未婚の母への蔑視、婚外子差別は根強いし、性犯罪の被害者に対するセカンドレイプ、被害者に落ち度があったかのような報道のされ方だって珍しくはありません。 そして、ついうっかりすると、自分が権力者の側にまわって誰かを傷つけることだってあり得るのです。 >真実を、一人一人が気が付いていかなければならない 本当にその通りだと思います。 トラバさせていただきますね☆ (2005.01.02 22:25:57)
J12さん
こんばんわ! >こんにちは。見ていただけて嬉しいです! >遊女asomeさんなら絶対にこの怒りや痛みを共有していただけると思いました。 ええ、もうちゃぶ台があったら、ひっくり返しそうでした。(笑) >映画で見ると、過去の、特定の宗教による特殊な舞台だけの話であるかのように思えてしまいますが、似たような状況は身近にもたくさんあると思うのです。 ほんとうにそうですね。 人間の問題として、総合的に考えていかなければならないことでしょうね。 >日本でも今なお、未婚の母への蔑視、婚外子差別は根強いし、性犯罪の被害者に対するセカンドレイプ、被害者に落ち度があったかのような報道のされ方だって珍しくはありません。 >そして、ついうっかりすると、自分が権力者の側にまわって誰かを傷つけることだってあり得るのです。 男性へのセクハラということだって、あるわけですよね。 きっと、異質な存在を理解しあう能力が互いに必要とされているのでしょうね。 究極、コミュニケーションの能力だと思います。 >>真実を、一人一人が気が付いていかなければならない >本当にその通りだと思います。 > >トラバさせていただきますね☆ ありがとうございます! また、面白い映画やテーマをご紹介くださいね! (2005.01.03 01:27:58)
南包さん
そうですか、女性問題で自由ではありませんか(笑) まあ、非常に根が深く、また根本的ですね。 宗教的には女性は、禁欲の対象となりますから。 仏教でもやはり、女性の存在そのものが罪深いということなんですよね。 また、髪の毛が逆立ちそうなので、この辺でやめておきます。(笑) >映画仲間がいて、その人の勧めで、見ました。 >キリスト教でも仏教でもよいが、女性問題は根が深い。 > >ぼくもそれからは自由ではないと思っています。 ----- (2005.01.04 01:52:04)
久しぶりに寄らせていただきました。
そして、いつの間にか私自身が差別をしている人間になっていいたことに気づきました。 あれほど差別を憎み闘ってきたつもりだったのに、自分自身信じられない思いがしました。 私は母が昼はパートに出て夜は水商売を勤めながら育てていただきました。父もいましたが兎に角運のない人でした。未婚の母や非婚家庭の友達もいるのに、私は「あなたたちみたいにはならない」とどこかお高くとまっていたようです。どこかで、女性を蔑視している自分がいることに気がつかせていただきました。私の化粧嫌いおしゃれ嫌いもどこかそれに起因していると思われます。治すことはとても難しいと思いますが、差別が自分の中にあることを常に忘れず、自分を冷静に見ながらやはり差別と闘っていこうと思います。新年にここにきて本当に良かったと思います。ありがとうございました。 (2005.01.04 13:00:38)
アイムハッピーマンさん
人の歴史の中で、長い間女性はずっと、抑圧されていたんですよね(世界的に)これはどうしようもなく長い間ですから、その影響は計り知れないですよね。自分の中にも差別する因子はあるんですよね。社会が、男性中心社会なのですから、それは仕方ないことと思います。 でも、きっと今からは、一人一人、ちゃんとわかっていく時がきているのだと思います。 お互いにちゃんとわかって、どうすればいいのかを考えられるように、いたいですね。 >久しぶりに寄らせていただきました。 >そして、いつの間にか私自身が差別をしている人間になっていいたことに気づきました。 >あれほど差別を憎み闘ってきたつもりだったのに、自分自身信じられない思いがしました。 >私は母が昼はパートに出て夜は水商売を勤めながら育てていただきました。父もいましたが兎に角運のない人でした。未婚の母や非婚家庭の友達もいるのに、私は「あなたたちみたいにはならない」とどこかお高くとまっていたようです。どこかで、女性を蔑視している自分がいることに気がつかせていただきました。私の化粧嫌いおしゃれ嫌いもどこかそれに起因していると思われます。治すことはとても難しいと思いますが、差別が自分の中にあることを常に忘れず、自分を冷静に見ながらやはり差別と闘っていこうと思います。新年にここにきて本当に良かったと思います。ありがとうございました。 ----- (2005.01.04 21:50:47)
はじめまして。 遊女aosmeさんの記事を見てこの映画をぜひ見たいと思いました。
女性差別や人種差別っていまでも世界中にたくさんありますよね。 こういう問題が解決する日はまだまだ遠い未来なんでしょうか? (2005.05.13 21:33:57)
わた0141さん
そうですね。キリスト教、という、教会の歴史がここに加わり、それはもう絶対権力なんですね。ただの女性差別とかではないのです。歴史が長いんですね。 でも随分とよくなっているのだと想います! 希望はあると思えます。 >はじめまして。 遊女aosmeさんの記事を見てこの映画をぜひ見たいと思いました。 >女性差別や人種差別っていまでも世界中にたくさんありますよね。 >こういう問題が解決する日はまだまだ遠い未来なんでしょうか? ----- (2005.05.14 01:14:47) |
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