テーマ:Jazz(1964)
カテゴリ:ジャズ
早すぎたラテン風味はリラックスした好盤
ジャズ・トロンボーンと言えば、まずもってJ・J・ジョンソン(J. J. Johnson、過去記事)やカーティス・フラー(Curtis Fuller、過去記事)の名前が思い浮かぶという人も多いだろう。本盤『サウス・アメリカン・クッキン(South American Cookin’)』は、カーティス・フラーがズート・シムズを含む面々と共に1961年に吹き込んだもの。“南米料理”とは何とも不真面目なネーミングであるが、実際のところ、内容も相応に不真面目(?)で、多分に“遊び”の要素を含んでいる。 一般にジャズ界でボサノバに注目が向き始めたのは、スタン・ゲッツとチャーリー・バードの『ジャズ・サンバ』が吹き込まれた1962年以降とされる。また、同じくボサノバと言えばすぐに思い浮かぶであろう『ゲッツ/ジルベルト』という有名盤があるが、これが制作されたのが1963年(リリースされたのは翌64年)。それよりも早く1961年段階でカーティス・フラーは南米のサウンドに目を向けていた。そのきっかけは、同年7月の南米(サン・パウロ、リオ・デ・ジャネイロ、ブエノス・アイレス)への演奏旅行であったという。フラーは帰国後間もない同年8~9月に本作を吹き込んだのだが、おそらくその時点では、聴き手に大きく訴えかけるものにはならなかったと思われる。残念なことに本盤録音の時点では“早すぎた”ということだろうか。 他の盤では繊細でありながらもしばしばスリリングな演奏を聴かせてくれるフラーだが、この盤ではどちらかといえば軽やかな感じで、遊び心を一杯に発揮して楽しそうに演奏を繰り広げる。全体として、“肩の力が抜けた”という形容がしっくりくる。しかし、そのことは“手抜き”というのとは別物で、演奏の密度は濃くしっかりしている。それは何よりもズート・シムズ(テナー・サックス)、トミー・フラナガン(ピアノ)の活躍に負うところが大きいように思われる。 収録曲のうちでいかにもラテンというのは、2.「ベサメ・ムーチョ」(北米大陸にあるメキシコの曲なので、厳密には“サウス・アメリカン”ではないけれども)と、4.「ワン・ノート・サンバ」(1.や6.もそうなのだが、特にこの曲はいい感じなところでフェイドアウトしてしまうのが残念)である。ドラムのデイブ・ベイリーがボッサ風リズムをうまくリードしている。また、全体を通してのリラックス・ムードがいい。有名曲の6.「枯葉」の演奏はそれを象徴していて、とりわけカーティス・フラーのトロンボーンとズート・シムズのこれまた柔らかなサックスの絡みが非常に心地いい。「枯葉」の好演(参考過去記事:マイルス・デイヴィス,チェット・ベイカー,ウィントン・マルサリス)は数多くあれど、なかなかこれも妙な味わいを出していると思う。 [収録曲] 1. Hello Young Lovers 2. Bésame Mucho 3. Willow Weep For Me 4. One Note Samba 5. Wee Dot 6. Autumn Leaves [パーソネル・録音] Curtis Fuller (tb) Jimmy Merritt (b) Zoot Sims (ts) Dave Bailey (ds) Tommy Flanagan (p) 1961年8~9月録音。 [期間限定][限定盤]サウス・アメリカン・クッキン/カーティス・フラー[CD]【返品種別A】 ソニーミュージックマーケティング カーティス・フラー(tb)/サウス・アメリカン・クッキン 期間生産限定スペシャルプライス盤 【CD】 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021年05月16日 18時11分52秒
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