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書評日記  パペッティア通信

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May 15, 2005
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カテゴリ:政治


「国際関係論」は、学問として成立しているのか。
なんとなく、一読後、そんな疑念がぬぐえませんでした。

専門家。評論家。チンピラ・ジャーナリスト。市井の民。
外交を語る人は、いたって多い。たいてい、メディアで報道された事実から議論を披露します。

交渉事のシグナルは、たとえメディアに躍ろうと、関係者からのリークであろうと、自分に少しでも有利になるように、相手をコントロールするために発するものでしょう。発さないことも、そのコントロール方法のひとつ。外交史料館にいって、史料を読んで、文書とシグナルの違いを確認してみればいい。コメントを求められたならともかく、シグナルにわざわざ私見を披露する輩の神経を疑います。自分は、外交を知りません、とわざわざ言っているようにしかみえない。

この書は、さすがにそんなレベルからは一線を画しています。

ミドルパワー外交として、日本外交の選択を整理・合理化。これからも日本外交は、その先に展開されるべきではないか、という意欲的な提言がおこなわれます。日本は、グレートパワー(大国)を指向する戦前の外交観と、9条にみられる平和主義外交観、2つの政治勢力とそのアイデンティティーによって、引き裂かれ続けてきました。2つの分裂する自画像は、国内のみならず、国外に誤解させ、日本外交の足枷になりつづけたという。

ニクソン「米中和解」のような、大国間勢力均衡外交という伝統的権力政治の枠内に中ソをとらえ、戦略的なスイング・ポジションを取ろうとする試みなど、日本外交の選択肢にはない。左右のナショナリズムは、「9条と安保」という捩れを「従属」として攻撃したものの、そのたびに伝統的防衛観と単独外交を放棄する、吉田ドクトリンに回帰せざるをえなかった。岸の安保条約改定、佐藤の核武装構想しかり。村山内閣しかり。

現在も、その延長にあるのだと、筆者はいう。中曽根外交は、吉田ドクトリンの先に「対等な日米関係」をおくにすぎない。ガイドラインも防衛大綱も、吉田路線の捩れに由来する「日米安保の脆弱さ」への危機意識からきた、日米双方の再定義であるという。その隙間において、池田内閣の頃から展開された、大国間外交とは違った、経済協力を柱とする多彩な国際協調外交の数々。福田ドクトリン、人間の安全保障、国連PKO。これをミドルパワー外交として押し出す筆者。さらに、「自由と民主主義」に立脚した日・韓・ASEAN・オーストラリア「ミドルパワー」諸国との提携をおこない、等身大の実像を世界につたえ、「東アジア共同体」論にものぞむべきだ、とむすばれています。総じて、重厚なまとめとなっていて、適切そのものといえるでしょう。

ただ、「ミドルパワー」と「大国」の違いが、最後までさっぱり分かりません。

それは、「核兵器」「国家意思」と密接に絡むらしい。
国連常任理事国入りは、仏英をめざす姿勢としています。
たぶん、仏英はミドルパワーなのでしょう。ロシアと中国は大国みたい。
インドとブラジルは大国か?否か? 

たとえ、ミドルと大国の区別はつけたとしても、そもそも「国際協力=ミドルパワー」外交と「単独=大国外交」の区別はつくのでしょうか。現在中国の多国間協調外交も、大国外交なの? あまり意味がある概念とはおもえません。ミドルパワー外交も大国外交も、それぞれ「連続」してはいても、「対立」する概念ではないのではないか。意義の一つは、大国外交への欲望からくる、保守の「逆噴射改憲」をふせぐことにあるらしい。こんな定義で、欲望を断念する人はいるのでしょうか。おまけに、国防や安全保障に特化しない外交は、戦後60年、とくに経済の分野で盛んにやられているのに、何ひとつ触れられていない。これほど、ミドルパワー外交の現場に立たない、「ミドルパワー外交」論というのも、珍しいのではないか。

冒頭の深刻な疑念がよぎるとはいえ、一読に値する内容でしょう。とくに戦後平和主義勢力を自任される方々にはお奨めしたい。「非武装中立」という自主も、「世界民生大国」という護憲理念も、この先に再建するしかないのだから。


評価 ★★☆
価格: ¥756 (税込)

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Last updated  Oct 12, 2005 06:35:21 PM
コメント(10) | コメントを書く


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Re:21世紀日本外交の指針 添谷芳秀 『日本の「ミドルパワー」外交 戦後日本の選択と構想』 ちくま新書(05/15)   Sanzo- さん
 いやー市井の民としては耳が痛いですね。私は、その辺ニュースやら人のコメントの一部をつまんでは、あーだコーだいっているようです。まあ、多少自覚をしていましたが。
 新聞やテレビから入ってくる情報は、何かしらのメッセージや誘導が入っていると思っていますが、やはり情報はそういうところから入ってきてしまいます。

 アメリカは別枠としても、多分日本も大国なのかなと思います。周りから、アンだけ足を引っ張られるのはそれだけ突出していろいろな所に影響を与えているからかなとも勝手に思います。あとは、客観的に日本以外の国が判断するのでしょう。
 では。 (May 15, 2005 10:40:40 PM)

○今日の読売紙の「地球を読む」。中曽根康弘の「国運決めた分水嶺2つ」   breton005 さん
が、おもしろい。含蓄ある歴史認識。中国に対する畏敬の念。大隈内閣の対支(戦後は中国)21か条の要求~現在までの日本への(連続した)排日。○米国の「脱欧入亜」戦略転換。中国は、中華思想を持ちつつ、重要な部面では、柔軟性と妥協力を持つ。と。そして、世界で最も計画的長期戦略を持つ国でもある。と。○非常に、時宜を得た世界へ発信される「今後も残る、見識」になる。だろう。一読ください。breton. (May 15, 2005 11:25:16 PM)

Re[1]:21世紀日本外交の指針 添谷芳秀 『日本の「ミドルパワー」外交 戦後日本の選択と構想』 ちくま新書(05/15)   春秋子 さん
Sanzo-さん、うわああ。
ごめんなさい。

> 新聞やテレビから入ってくる情報は、何かしらのメッセージや誘導が入っていると思っていますが、やはり情報はそういうところから入ってきてしまいます。

そりゃそうですので。
まあ、なんというか、分かんないと。
だからこそ、そんなことに右往左往しないように、やれゲーム理論だのが生まれて、相手のシグナルを普遍的に解析しようという欲望が生まれるんでしょうね。

> アメリカは別枠としても、多分日本も大国なのかなと思います。周りから、アンだけ足を引っ張られるのはそれだけ突出していろいろな所に影響を与えているからかなとも勝手に思います。あとは、客観的に日本以外の国が判断するのでしょう。

そうですね。
実は、中韓は日本は「大国」だとおもっている。そして大国化しようと考えている。ところが、実際はミドルパワー的なことしかしていないし、できる能力も乏しい。ところが誤解されて、これらの外交さえ圧迫されてしまい、大国外交とみなされて、不利益を蒙っているので、ええかげん、ミドルパワーということで体系化しようや、

とのことなんだそうです。

それなりに説得力があるでしょう。
だからこそ、買ったのですけど、、、
(May 17, 2005 09:44:28 PM)

Re:○今日の読売紙の「地球を読む」。中曽根康弘の「国運決めた分水嶺2つ」(05/15)   春秋子 さん
breton005さん、こんばんわ~♪

>が、おもしろい。含蓄ある歴史認識。中国に対する畏敬の念。大隈内閣の対支(戦後は中国)21か条の要求~現在までの日本への(連続した)排日。○米国の「脱欧入亜」戦略転換。中国は、中華思想を持ちつつ、重要な部面では、柔軟性と妥協力を持つ。と。そして、世界で最も計画的長期戦略を持つ国でもある。と。○非常に、時宜を得た世界へ発信される「今後も残る、見識」になる。だろう。一読ください。breton.
-----
読売のその中曽根のは読みましたよ。
ただ、本人のオリジナルとは思えないなあ、っと(笑)

保守政治家の見識としてはみごとだと思いました。 (May 17, 2005 09:46:25 PM)

Re[1]:○今日の読売紙の「地球を読む」。中曽根康弘の「国運決めた分水嶺2つ」(05/15)   breton005 さん
春秋子さんへ。

○まっ、いいか。
風見鶏。君子豹変す。まあ~。先読みは早いな。
「オリジナル」かって、なるほどね。
しかし、歳も歳だし。焦ってる鴨よ。もうひとつ。って。<白馬の騎士> ですから。○「リオリエント」。いいですね。「藤原書店」には、系譜というか、係累があるから。そこらあたりを、どう考えるか。だ。魅力的な部分を突いてはいるが。ブローデル、A・コルバン、・・・などと。breton.
(May 17, 2005 11:05:18 PM)

Re[2]:○今日の読売紙の「地球を読む」。中曽根康弘の「国運決めた分水嶺2つ」(05/15)   春秋子 さん
breton005さん、こんばんわ~♪

>「オリジナル」かって、なるほどね。

あ。しまった。「本人のか」でした。間違いです。
あそこまでの人だと、ゴーストライターが書いたりまとめたりするだろうなあ、と。

>しかし、歳も歳だし。焦ってる鴨よ

そうですよね。実に懐の深い政治家だったので、、、個人的には宮沢・野中ファンでした。金丸・田中六助らも、、、寝技師がいなくなりましたね。

> ○「リオリエント」。いいですね。「藤原書店」には、系譜というか、係累があるから。そこらあたりを、どう考えるか。だ。魅力的な部分を突いてはいるが。ブローデル、A・コルバン、・・・などと。breton.

そうですよね。
異様に頑張っておられる。
近年、学術分野であそこまでできる出版社はないですよね、、、だれがお金出しているんでしょうか、、、ブルデューブームも仕掛け人は藤原書店でしたし、、、ってブーム??? (May 17, 2005 11:27:24 PM)

Re[3]:○今日の読売紙の「地球を読む」。中曽根康弘の「国運決めた分水嶺2つ」(05/15)   breton005 さん
春秋子さん
>breton005さん、こんばんわ~♪

○「網野善彦」を、とれは゛良かったんだ。そしたら、<網野善彦を継ぐ>・・赤坂憲雄、中沢新一、・・・ぞろぞろと続いたかも知れない。スポンサー。はて、社長の「藤原」ってヒトじゃあないのかな。そんな感じがする。若いのに威張っているから。(笑い)○話を、変えるけど、「TBの連中」。なんか、梁山泊みたいになってませんか。幕末の攘夷論みたい。(これも、笑い)です。breton. (May 17, 2005 11:36:56 PM)

Re[2]:21世紀日本外交の指針 添谷芳秀 『日本の「ミドルパワー」外交 戦後日本の選択と構想』 ちくま新書(05/15)   Sanzo- さん
日本以外の国が判断するのでしょう。

>そうですね。
>実は、中韓は日本は「大国」だとおもっている。そして大国化しようと考えている。ところが、実際はミドルパワー的なことしかしていないし、できる能力も乏しい。ところが誤解されて、これらの外交さえ圧迫されてしまい、大国外交とみなされて、不利益を蒙っているので、ええかげん、ミドルパワーということで体系化しようや、

-----
こんばんは。上記のようなことが書いてあるのですか。ちょっと読んでみようかな。 (May 18, 2005 01:46:16 AM)

Re[4]:○今日の読売紙の「地球を読む」。中曽根康弘の「国運決めた分水嶺2つ」(05/15)   春秋子 さん
breton005さん、こんばんわ~♪

>○「網野善彦」を、とれは゛良かったんだ。そしたら、<網野善彦を継ぐ>・・赤坂憲雄、中沢新一、・・・ぞろぞろと続いたかも知れない。

うわ。中沢新一ですか。チベットのモーツアルトが藤原書店に並ぶのは堪忍してください。(笑)
いわれてみれば、人脈跋扈ですね。伊藤隆~北岡伸一~五百旗部真のラインで中公とか、分かりやすいですし。。。

> ○話を、変えるけど、「TBの連中」。なんか、梁山泊みたいになってませんか。幕末の攘夷論みたい。(これも、笑い)です。

おもに右の人のブログに、いちゃもんつけるような感じの内容を貼り付けて回ってます、、、

みなさま、すみません。 (May 18, 2005 08:07:55 PM)

Re[3]:21世紀日本外交の指針 添谷芳秀 『日本の「ミドルパワー」外交 戦後日本の選択と構想』 ちくま新書(05/15)   春秋子 さん
>こんばんは。上記のようなことが書いてあるのですか。ちょっと読んでみようかな。
-----
なかなか外交史としては、コンパクトで面白いですよ。
日本は、大国外交と中韓に誤解され、本来おこなってきたミドルパワー外交の足まで、引っ張られるようなことがないようにするべき、という提言自体は、面白いしタメになるなあ、と思いますもん。

んじゃあ、それってなに?
となると良く分からないのですけど、、、(笑)
(May 18, 2005 08:11:26 PM)


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