ルドルフ・ジョセフ・ローレンツ・シュタイナー
「四次元/Die Vierte Dimension」数学と現実第4講:1905年5月24日、ベルリン 1-1 図25 - 図26 最近の講義のなかで、私は四次元空間についての図式的な観念を発展させようと試みてきましたが、それは何らかの類比を用いて行うのでなければ非常に難しいことです。私たちは、私たちがさしあたりアクセスすることが可能なタイプの唯一の空間である三次元空間において、いかにして四次元の図形を表現するかという問題に直面することになります。馴染みのない四次元空間の要素を何か私たちが知っているものに結びつけるためには、ちょうど三次元の物体を二次元のなかにもち込むように、四次元の物体を三次元のなかにもち込むための方法を見いださなければなりません。ここでは、四次元空間をいかにして三次元のなかで表現するかという問題に対する答を示すために、チャールズ・ヒントン氏によって広められた方法を用いたいと思います。どうすれば三次元空間を二次元のなかで記述することができるかということについて示すことから始めましょう。この黒板は二次元平面です。幅と高さというその二つの次元に奥行きを加えれば三次元空間が得られます。では、この黒板の上に三次元の図形を描いてみましょう。立方体は、高さ、幅、奥行きを持っていますから、三次元の物体です。立方体を二次元に、つまり平面にしてみましょう。ひとつの立方体を取り上げ、その六つの正方形の面を平面上に広げます(図25)。そのとき、二次元においては、立方体を規定する面はひとつの十字を形成するものとして想像することができます。図25:これら六つの正方形を、正方形1と3が互いに反対側にくるように折りますと再び立方体にすることができます。正方形2と4、そして5と6もまた反対側にきます。これは三次元立体を平面に移し替える簡単な方法です。四次元を三次元空間のなかに描こうとしても、この方法を直接用いることはできません。そのためには別の類比が必要です。色を使うことが必要になるでしょう。反対側にくる正方形の色がどの組も同じになるように、六つの正方形の辺を異なった色で塗り分けることにします。正方形1と3については、一組の辺を赤で点線、もう一組の辺を青に実線にします。他の正方形のすべての水平の辺にも青の、そのすべての垂直な辺にも赤の色をつけることになりますね(図26)。図26:これら二つの正方形1と3を見て下さい。それらの二つの次元が二つの色、赤と青によって表現されています。そのとき、私たちにとっては、正方形2が黒板に対してフラットになっている垂直の板面上で、赤は高さを、青は奥行きを意味します。高さには必ず赤を、奥行きには青を使いましたから、第三の次元、つまり幅のために緑の破線を加えて私たちの展開した立方体を完成させましょう。正方形5は青と緑の辺をもっていますから、正方形6も同じように見えなければなりませんね。さて、正方形2と4だけが残りました。それらが展開されたと考えますと、それらの辺が赤と緑になるのが分かります。これらの色がついた辺を視覚化してきたことからお分かりのように、私たちは三つの次元を三つの色に変換しました。高さ、幅、奥行きの代わりに、私たちは今、それらを赤(点線)、緑(破線)、そして青(実線)と呼ぶことができます。これら三つの色は空間の三つの次元に置きかわり、それらを表現しているのです。さて、その立方体が再びすっかり組み立てられると想像して下さい。第三の次元がつけ加えられるということは、赤と青の正方形が緑を通って動いた、つまり、それが図26において左から右に動いたと言うことによって説明することができます。緑を通って動くということ、あるいは、第三の色の次元のなかに消えるということは第三の次元への移行を表現しているのです。緑の霧が赤-青正方形に色をつけると想像して下さい。そのために両方の辺(赤と青)に色がついて見えます。青の辺は青緑に、赤は暗い色合いになります。緑が止むところにきて初めて、再び両方の辺がそれ自体の色で現れます。正方形2と4についても同様に、赤-緑正方形を青の空間を通って移動させることができるでしょう。二つの青-緑正方形5と6の内のひとつを赤を通って動かすのも同じです。いずれの場合にも、正方形は一方の側で消失し、別の色のなかに潜り込むと、反対側から元の色で現れるまで、その色に染まります。このように、お互いに直角の位置関係にある三つの色は私たちの立方体を象徴的に表現しています。私たちはその三つの方向のために色を用いただけです。立方体の三組の表面が被る変化を視覚化するために、私たちはそれらが、それぞれ緑、赤、そして青を通過するものと想像します。哲学・思想ランキング