黄昏ゆく街で
二つの写真展を見ようと、梅田に行った。 世界自然遺産の森のフォトコンテスト展を見てから次に、 世界七大陸最高峰を制覇されている石川直樹さんの写真展へ向かう。 夕暮れのやわらかい色につつまれた梅田の街を、久しぶりに歩いた。 この街の黄昏って、どうしてこうも俺をウキウキとさせるんだろう。 濃紺とオレンジの溶け合う黄昏のなかで、 真新しいショーウィンドウの明かりや複数の車線を行き交う車のヘッドライトが、 徐々に存在感を見せてゆく。 肌寒くなった秋の空気も黙々と歩く人々も、街のすべてが愛おしかった。 まだこの世界を離れたくない、もっとこの世界を味わいたい。 写真展ではこの日、石川さん本人がお見えになるというので伺ったが、 その時刻までにはいくぶん時間があったので、途中のカフェに入った。 先日、本を借りたお礼にと友人がチーズケーキをくれ、 その美味しさに触発をうけ最近はチーズケーキばかり食べている。 ここでもホットコーヒーとチーズケーキをオーダーし、 石川さんの著書を鞄から出して、もう一度読むことにした。 黄昏ゆく街には、穏やかな時間が過ぎてゆく。