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カテゴリ:ミュージカル、観劇
この作品は、音楽があって映像(映画)が存在しています。
映画に至っては、サイケデリックで近未来的で、ちょっと残酷な感があります。 待ちに待った、いのうえひでのり演出の『TOMMY』が開幕しました。 “OVERTURE”の生で聴こえてくるメロディは、コンサートをCDを聴きながら心待ちにしていた感動そのままに味わいました。 これから起こる様々な出来事が、期待とともにいっぱい詰まった感じです。 (昨年の来日公演『TOMMY』観劇録にストーリーを掲載しています) いのうえ演出では、見えない、聴こえない、話せないトミー自身の内面にスポットが当てられているようでした。 真っ白な衣装でたたずむ少年トミーと青年トミー(中川晃教)。 彼らの精神だけが宇宙という別世界に存在している、そんな印象を受けました。 外見を映す鏡に、トミーは心の内面をいつも映して、互いに語りかけています。 一方が、どちらかの影ということではなく、いつも向き合って。 ‘See me, Feel me, 触って、癒して’ ‘See me, Feel me, Touch me, Heal me’ その声を聞き取れる者は、トミー自身の他には存在しません。 いのうえ演出では、精神の中で解放されたトミーの姿に救われました。 時にはその姿が、物語を追う上で混乱しそうになるのですが、私には、外見上の自由よりも精神の自由の方が人には幸せだということを、トミーを通して語られたような気がします。 その幸せは、人から与えられるものではないということも。 全てが音楽で展開するステージは、抽象的で、観る者の主観が作品を観る目となるのです。 心に響く歌と音楽。 奇跡の象徴として人々の頂点で歌うトミーをはじめ、トミーに刺激を与えようとする個性豊かな登場人物たち。 観客としては、一緒に刺激を楽しみたかったのですが、本日は初日。正直言って、観る側も緊張していました。 ちょっと意地悪な見方をすると、この作品はオリジナルではないので、もしかすると舞台上演の際の決め事が多くあるのかもしれません。それでも、ここでの見せ場がもっともっと盛り上がることを期待しています。 その後の喪失感を、もう少し味わいたい・・・観客の気楽な言い分でしょうか。 そして、もう少し欲しかったライブ感覚。カーテンコールで期待するのは・・・作品の枠を超えたルール違反になるでしょうか? 改めて、肩の力を抜いて、音楽の世界にどっぷりとつかりたい作品です。 ※文章中の表記を「見えない、聴こえない、話せない」に書き換えました。(3/13) 作・ピート・タウンゼント/デス・マカナフ、音楽・THE WHO、 演出・いのうえひでのり、振付・川崎悦子、訳詞・湯川れい子/右近健一、翻訳・薛珠麗、 美術・堀尾幸男、照明・原田保、音楽監督・岡崎司、衣裳・竹田団吾、映像・上田大樹 (日生劇場にて) ※4月は大阪公演があります(4/20-26)。 ☆映画『TOMMY』DVD オリジナル・サウンドトラック コレクターズ・エディション ☆The Who『TOMMY』CD ロック・オペラ「トミー」+17(デラックス・エディション) ☆ブロードウェイ・キャスト盤『TOMMY』CD お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.03.13 20:10:21
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