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カテゴリ:歌舞伎・古典、観劇
今月は、新橋演舞場と歌舞伎座の二ヶ所で歌舞伎が上演されています。
新橋演舞場の昼の部の演目は、『鳴神』『鬼平犯科帳』『釣女』。 『鳴神』は、朝廷に恨みを持つ鳴神上人が、雨を降らせる竜神を魔力で滝壺に閉じ込めました。そこで朝廷は美しい雲の絶間姫を遣わせて、上人を堕落させて竜神を放ち、雨を降らせようとします。 この作品は、雲の絶間姫を何度も演じてきた芝雀に対して、染五郎が初役で鳴神上人に挑みます。 穏やかだった上人が、騙され、堕落させられたと知って変貌するその様は、舞台の上で形相が変わる(化粧が変わる)いかにも歌舞伎らしい演出で、興味深いものでした。 そして池波正太郎原作の『鬼平犯科帳』。 テレビのシリーズを未見なので、長谷川平蔵=鬼平とはどういう人物なのか、そして登場人物との関係など、以下に紹介する「鬼平犯科帳」お愉しみ読本(とくほん)を読んでおいてよかったと思いました。 それはさておき、物語は江戸の人情溢れる痛快なもの。 平蔵(吉右衛門)が風邪で寝込んでいたところに盗みに入ったのが、今は渡し舟の船頭をしている友五郎(歌六)。高齢ながら、盗みが上手くいって喜んでいました。 ある日、お客が平蔵と知らずに乗せたその目の前で、その時盗んだ銀のキセルを使ったことから、平蔵に気づかれてしまいます。 盗賊から足を洗い、今は自分の手足となって働く小房の粂八(歌昇)に、平蔵は友五郎の調査を依頼します。しかし、粂八にとって友五郎はその昔、盗みを教え、面倒をみてくれた恩人だったので、今回は見逃してくれと平蔵に頼み込むのですが・・・。 平蔵の奥方・久栄を福助が演じ、舞台に華やかさを添えています。 友五郎の歌六は、江戸の時代から抜け出てきたような気っ風のいい親父さんで、物語最後の人情溢れる場面が、忘れられない心温まるものになりました。 作・池波正太郎、脚本・岡本さとる、演出・齋藤雅文 『釣女』は、大名(錦之助)と家来の太郎冠者(歌昇)が、願いを込めて結婚相手を釣竿で釣る話。 大名は美しい姫を釣り、仲睦まじくしています。 それを見た太郎冠者も、頑張って釣竿を投げますが・・・醜女がかかり、追い回される始末。せっかく見つけた結婚相手を放してはならないと、愛嬌たっぷりのその醜女を、吉右衛門が演じています。 昼の部のこの華やかなラインナップに、場内は満席でした。 夜の部は「法界坊」の物語もあり、こちらも興味をそそります。 ※演舞場で上演される詳細はこちら。 (新橋演舞場にて) ☆文春文庫「鬼平犯科帳」お愉しみ読本(とくほん) 様々な人が、『鬼平犯科帳』という作品について解説を寄せています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.05.17 12:32:58
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