●那賀地方で30人が水稲の有機栽培に意欲●
今日は有機農法による水稲栽培の学習会。紀ノ川中流域の和歌山県那賀地方で有機農業の普及に取り組んでいる協議会が、「有機農業モデルタウン事業」の一環として開いた。同事業は国会で全会一致採択された有機農業推進法に基づき具体化された5年事業だったが、例の茶番的事業仕分けで廃止判定を受け、2年目の今年度末で消滅する。 机上の空論で頭ごなしに仕分ける方は、パフォーマンスが終われば一丁上がりかもしれないが、どんなアホな理屈でも目がテンになる決定でもお上はお上であって、予算の切れ目はすなわち事業の切れ目で、振り回されるシモジモは後始末が大変だ。今日の学習会はその残った予算で実施したイベントの一つだった。 ともあれ、会場の那賀県事務所には米栽培農家を中心に実に90人が参加。水稲の有機栽培に詳しい(財)自然農法国際研究開発センター京都農場長の松實能文さんから、秋の耕起に始まり播種から土作り、有害動植物防除、水管理、収穫から貯蔵までに至る一連の水稲栽培に関わる、有機農業ならではの作業ポイントについての講義を受けた後、熱心に質疑を交わした。 さらに、いったん学習会を終えてから、実際に来シーズンから米の有機栽培に挑戦する意志を有する人たちの相談会を開き約30人が参加。まず今するべき作業や当地の気候条件に適した品種について話し合い、また有機JAS認定を取得するために今から準備しておくべきことなどを聞いた上、これから農作業の節目節目で集まり、相談する機会を設けることを確認して解散した。 当地では昨年、この有機農業モデルタウン事業の一環として5人の農家で共同で実施した、水稲の裏作でのタマネギ有機栽培についての技術実証が見事に成功している。同じほ場で表の水稲も有機栽培に転換できればJAS認証の取得も視野に入ってくるわけで、もしそれがこの人数で一気に実現できれば地域に大きな有機農業の風を吹かせることができるだろう。 有機農業への転換は大きなリスクを伴う。今回取り組む水稲の有機栽培が成功する保証もないが、それでもその困難にチャレンジしようとする人たちは確実に、そして急速に増えている。それこそがモデルタウン事業2年の成果ではないか。というわけで、今更いうのも面倒くさいのだけれど、東京でパフォーマンスを演じる仕分け人なる連中の近視眼的浅はかさが、あらためてよくわかるのだ、田舎の現場のコジローには。 ←ランキングに参加してます。ワンクリックご協力を。