『旧東海道を歩く』ブログ 目次
そして、『掛川城ステンドグラス美術館』を一人で訪ねた。
平成27年6月、掛川城公園二の丸美術館の隣に、この掛川市ステンドグラス美術館がオープン。
当美術館は市内横須賀在住の開業医、鈴木政昭さんから19世紀イギリス、ヴィクトリア時代の
ステンドグラス約70点やアンティークシャンデリアなどと、建物を美術館として寄贈して
もらったのだと。
展示されるステンドグラス約70点の多くは、19世紀にイギリスの工房で制作された
円熟期の作品であるとのこと。
門に掲げれていたステンドグラスのパネルであったが、鏡のごとくに私の姿が。
美術館のエントランス正面に展示された『聖女マグダラのマリア』。
象徴的な香油壺を手に優しい表情で描かれている。
「19世紀後半にイギリスの三大工房として知られたジェームズ・パウエル&サンズ工房で
制作されたこのステンドグラスは、1900年頃ヴィクトリア朝の最盛期に作られたものです。
聖女の顔や服装だけでなく、背後に描かれるゴシック様式の建築装飾、植物を図案化した
ボーダー、ダイヤ型に組まれた背景の文字装飾など、全てが最高の技術で制作されています。
聖女マグダラのマリアは新約聖書の大切な場面に何度も登場するため、当コレクションの他の
作品にもその姿を見る事が出来ます。」
『エッサイの樹』より3作品 1900年~1910年頃 イギリス
「ダビデ王」
「幼子イエスを抱く聖母マリア」
手に純潔の象徴である白ユリを持ち、幼子イエスを抱いた、典型的な聖母子像として
知られる図像である。
「ソロモン王」。
『ヤイロの娘を蘇生させる』1880年~1900年頃 イギリス。
キリストがユダヤ神殿会堂長ヤイロの娘を蘇生させる軌跡の場面。
『ヤイロの娘を蘇生させる』
「弟子を伴ってヤイロの家に入ったキリストは、娘の手を取って「娘よ、起きなさい」と言った。
すると死んだはずの娘が静かに目を開けて蘇生した。」
「受胎告知」
「寝室でイザヤ書のページを開いているマリアのもとに、お告げの大天使聖ガブリエルが
現れて「おめでとう。恵まれた方、主があなたと共におられる」と言った。
精霊によって救世主となるイエスを身ごもった事を知らせる場面である。」
「神殿への奉献」
「イエスを産んだ後、清めの時期を過ぎたマリアとヨセフは、神殿への捧げものとして
鳩のつがいを持って神殿にあがった。ルカによる福音書に書かれている内容に沿って
作られている。」
『パウロの回心』1890年~1910年頃 イギリス (写真 左)
「聖パウロの生涯を描いた図像の中で、最も重要な印象的な場面が「パウロの回心」である。
それまでキリスト教徒を迫害する側の兵士であったサウロ(後のパウロ)は、天からの強い
光に打たれて盲目となる。その時、神の声を聞いたサウロはパウロと名乗り、キリストの
使徒となった。ローマ市民権を持っているパウロは、その後他国に福音を伝えるための
旅にであた。
『マケドニア人の幻』1890年~1910年頃 イギリス (写真 右)
「回心後、布教を始めたパウロのもとに、マケドニア(現在のギリシャ)人の幻想が現れて
「わたしたちを助けてください」と言った。
これをギリシャに福音を伝える使命だと理解したパウロは、すぐに旅立った。」
館内を振り返る。
『アテネでの説教』1890年~1910年頃 イギリス (写真 左)
『パウロの逮捕』 1890年~1910年頃 イギリス (写真 右)
「作風など 6枚並ぶ大きな聖人パネル。
イギリスのキリスト教にとって大変重要な役割を果たした6世紀のカンタベリー初代大司教。
イギリスの都市、レスターのセント・マシュー教会に設置されていた聖アウグスティヌスの
ステンドグラス。597年にイギリスへ正式にキリスト教を伝えたとされる聖人で、
その手には「世の救済」を意味するキリストの装飾板を持っています。
カンタベリー大聖堂の初代大司教となったアウグスティヌスは、その後もイギリスで
尊敬を集めていて、16世紀にローマカトリックから決別して英国国教会になった後でも、
その図像は作られ続けました。
背後に描かれたSAの装飾文字は、SAINT AUGUSTINEの頭文字を
図案化したものです。」
『カンタベリーの聖アウグスチヌス』1908年頃 イギリス(左)
『聖マタイ』1880年~1890年頃 イギリス (中央)
『聖フィリボ』1908年 イギリス (右)
『聖マタイ』1890年~1910年頃 イギリス
ズームで。
『洗礼者聖ヨハネ』1880年~1890年頃 イギリス (左)
『聖ペトロ』1890年~1910年頃 イギリス (中央)
『聖パウロ』1890年~1910年頃 イギリス (右)
こちら、いずれもイギリス中部の町レスターのセント・マーシュ教会の窓。
床に設置されたステンドグラス。
『善き羊飼い』1880年~1900年頃 イギリス。
ズームで。
『善き羊飼い』1880年~1900年頃 イギリス。
ズームで。
客の数は少なく、独り占めの「美の空間」。
この4枚の作品は、イギリスの町、レスターのセント・マーシュ教会祭壇を飾っていた
『イエス・キリストの受難』を描いた連作である。
教会に有った時と同じ配置に並べられているが、4点の作品の中央には
「礫刑(十字架上でのイエス)」の場面が存在したが、残念ながら今日では失われています。
当美術館の所蔵作品の中で、実際にステンドグラスが制作された工房名、正確な年代、
おさめられていた教会の名や窓の配置など、詳細な情報が得られたパネルが数枚あります。
この「キリストの受難」を表した4点の作品は、セント・マシュー教会の祭壇面の窓に
設置されていた事が当時の写真や記録によってわかっています。
大変細密な絵付けがなされていますが、この高窓は教会内に設置されていた時には、手前に
祭壇があって一般人は近くで見る事の出来ない位置にあります。
しかし、美術館では目の前で鑑賞できる位置に設置してあるため、作者の筆使いまで
見て取る事が出来ます。
『ゲツセマネのそのでの祈り』1870年 イギリス。
『十字架を負う』1870年 イギリス。
『十字架降下』1870年 イギリス。
『復活』1870年 イギリス。
再び館内を。
『バンドロールを持つ天使』1880年~1900年 イギリス(上)
『復活』1890年~1910年 イギリス。(左)
『幼子よ我に来れ』1890年~1910年 イギリス。
『エジプトへの避難』19世紀末 イギリス。
『キリストの洗礼』1890年~1910年
『イギリスの町、セントマーシュ教会西壁窓を飾っていた作品。』
『善き羊飼い』1901年 イギリス (左)
『我は我が羊を知る』1901年 イギリス(中央左)
『軍人隊長コルネリウスの洗礼』1888年 イギリス(中央右)
『キリストの洗礼』1908年 イギリス
いずれもレスターのセント・マシュー教会。
『祝福の天使』1880年~1900年頃 イギリス
『聖レオ』1900年~1910年頃 イギリス。
その11 に戻る。
・・・
つづく・・・