【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

映画・海外ドラマ・本 ひとこと言いた~い

映画・海外ドラマ・本 ひとこと言いた~い

カレンダー

コメント新着

お気に入りブログ

ザ・クリエイター/… New! ジャスティン・ヒーハーフーさん

雲南市吉田(島根雲南… ちーこ♪3510さん

昨日、髪を染めて来… 天野北斗さん

5月☆ fujiうさぎ=^・^=さん

憂きも一時 小烏丸の”てる”さん

プロフィール

hoshiochi

hoshiochi

キーワードサーチ

▼キーワード検索

全て | 料理&お菓子&旅&演劇&その他2 | フランス映画 | 韓国ドラマ・赤と黒(ナップンナムジャ) | その他の地域の映画&ドラマ | アメリカ映画 | 韓国映画 | 真田広之 | 韓国ドラマ | アメリカドラマ | その他のジャンルの日本の小説 | 日本のミステリー小説 | イギリスドラマ | よしながふみ漫画&ドラマ&映画大奥 | 漫画・アニメ | 日本ドラマ | 中国&台湾映画 | 日本の作家が書いた歴史小説 | 海外のノンフィクション・エッセイ・その他のジャンル | 東欧・ロシア映画 | イギリス&アイルランド映画 | オランダ映画&オランダドラマ | 北欧映画 | その他のジャンルの海外小説 | 日本の絵本・童話・児童書・ティーンズ小説 | 日本作家によるノンフィクション&エッセイ・その他のジャンル | 日本映画 | 海外の絵本・童話・児童書・ティーンズ小説 | カナダの映画&ドラマ | ドイツ映画&ドイツドラマ | 日本のファンタジー小説 | 海外のミステリー&ファンタジー小説 | 堺雅人 | 日本ドラマ:歴史ドラマ&時代劇 | 三浦しをん:まほろ駅前シリーズ | 山田風太郎 | 香川照之 | 松山ケンイチ | 海外の作家が書いた歴史小説 | ジェイク・ギレンホール | イギリスドラマ:SHERLOCK | 塩野七生 | 吉田鋼太郎 | イタリア映画&イタリアドラマ | ローズマリー・サトクリフ | 大杉蓮 | ベネディクト・カンバーバッチ | インド映画 | 長谷川博己 | 内野聖陽 | 林遣都 | ムロツヨシ | ジョシュ・オコナ― | 井浦新 | 菅田将暉 | ディーン・フジオカ | 台湾ドラマ&中国ドラマ
December 28, 2012
XML
早いもので明日が仕事納めです。何だか雨が降りそうでいやなのですが、あと一日、みなさんも頑張って参りましょう。

こちらは現在映画が公開されている海外小説の原作です。



『王妃に別れをつげて』 シャンタル トマ,Chantal Thomas,飛幡 祐規 / 白水社
Les Adieux a la Reine

1810年、10月。フランス王妃マリー・アントワネットの元朗読係だったアガート=シドニー・ラボルドは、亡命先のウィーンで、65歳の誕生日を祝ってもらう。故国フランスでは皇帝ナポレオンが、ここウィーンにまで攻め上り、アントワネットの姪マリー=ルイーズを妻にと望んでいた。彼女の脳裏には、王妃と側近達が過ごした、あの激動の4日間が蘇る。

歴史的に大きな出来事が起こる時、決まってこう聞かれる。
「何か予兆があったはずなのに、なぜ事が起こるまで分からなかったのか?」
フランスでも一、二を争う重大事、1789年の革命において言うなら、確かに予兆はあった。しかし、どんなに予兆があったとしても、見ようとしない者には見えない。そして見えない人にとっては、予兆は無いのと同じ事。また、そういう思考だったからこそ、革命が起こってしまったとも言える。
飢えに苦しんだ民衆が、「パンを寄越せ」と民衆が押し寄せたと聞き、「パンがないなら、お菓子を食べればいいではありませんか。」と答えた話が伝播しているマリー・アントワネットもまた、「見えない人」の一員だった。いや、彼女こそが「見えない人」の中心にいたと言って良い。彼女が見ていたのは、ヴェネツィア出身の家族がゴンドラを漕ぎ、農夫が船乗りに仮装して給仕する光景や、離宮プチ・トリアノンの窓から見える、本物そっくりの四阿や水車小屋だ。
貴族達が「この国」と呼んでいたのは、そんなつくりものばかりの世界だった。そして、本当の「この国」の民に対しては、「民衆などというものは存在しない。観念的存在にすぎないのです。(p68)」などという認識しかなかった。

王妃を敬愛するが貴族寄りではなく、寄宿学校からヴェルサイユに行ったので、パリに住む平民の暮らしを知っているわけでもないアガート。どちらからも適度な距離感を保っている彼女は、客観的な観察者にうってつけ。彼女を通じて、偽物の城が内部からも外部からも崩壊してゆく様子、その中心にいる王妃の心情の変化が克明に語られる。

歴史を知る我々から見れば、アントワネットにしたい忠告はいくつもある。曰く、「衣装見本帳」を読むより、もっと有能な為政者・母テレジアの手紙を読むべきだった。曰く、睡眠のためより、知識を得るための読書をすべきだった。そして何よりも、「見える人」であるべきだった。
しかし本書では、ある時を境に彼女が「見える人」になる。そしてまさにその瞬間こそ、偽物ばかりの中で王妃が唯一の「本物」へと変貌する瞬間だった。この箇所はもちろん想像の産物だが、彼女の衝撃、悲しみ、そして再び威厳を取り戻すまでの過程が、「もしかしたら、本当にそうだったのでは?」と思わせるほど真に迫っている。
そしてこの「この苦痛にうちのめされはしません。」と語る「フィクションの」彼女が、裁判や処刑において気丈に振る舞った「実際の」アントワネット像と、あたかも最初から一つのレース飾りだったかのように、いともすんなりと繋がっているのだ。2002年フェミナ賞受賞。


【送料無料】王妃に別れをつげて [ シャンタル・トマ ]楽天ブックス






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  July 9, 2018 09:21:24 PM
コメント(0) | コメントを書く
[海外の作家が書いた歴史小説] カテゴリの最新記事


PR


© Rakuten Group, Inc.