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テーマ:私の読んだ海外小説(34)
カテゴリ:海外の作家が書いた歴史小説
早いもので明日が仕事納めです。何だか雨が降りそうでいやなのですが、あと一日、みなさんも頑張って参りましょう。
こちらは現在映画が公開されている海外小説の原作です。 『王妃に別れをつげて』 シャンタル トマ,Chantal Thomas,飛幡 祐規 / 白水社 Les Adieux a la Reine 1810年、10月。フランス王妃マリー・アントワネットの元朗読係だったアガート=シドニー・ラボルドは、亡命先のウィーンで、65歳の誕生日を祝ってもらう。故国フランスでは皇帝ナポレオンが、ここウィーンにまで攻め上り、アントワネットの姪マリー=ルイーズを妻にと望んでいた。彼女の脳裏には、王妃と側近達が過ごした、あの激動の4日間が蘇る。 歴史的に大きな出来事が起こる時、決まってこう聞かれる。 「何か予兆があったはずなのに、なぜ事が起こるまで分からなかったのか?」 フランスでも一、二を争う重大事、1789年の革命において言うなら、確かに予兆はあった。しかし、どんなに予兆があったとしても、見ようとしない者には見えない。そして見えない人にとっては、予兆は無いのと同じ事。また、そういう思考だったからこそ、革命が起こってしまったとも言える。 飢えに苦しんだ民衆が、「パンを寄越せ」と民衆が押し寄せたと聞き、「パンがないなら、お菓子を食べればいいではありませんか。」と答えた話が伝播しているマリー・アントワネットもまた、「見えない人」の一員だった。いや、彼女こそが「見えない人」の中心にいたと言って良い。彼女が見ていたのは、ヴェネツィア出身の家族がゴンドラを漕ぎ、農夫が船乗りに仮装して給仕する光景や、離宮プチ・トリアノンの窓から見える、本物そっくりの四阿や水車小屋だ。 貴族達が「この国」と呼んでいたのは、そんなつくりものばかりの世界だった。そして、本当の「この国」の民に対しては、「民衆などというものは存在しない。観念的存在にすぎないのです。(p68)」などという認識しかなかった。 王妃を敬愛するが貴族寄りではなく、寄宿学校からヴェルサイユに行ったので、パリに住む平民の暮らしを知っているわけでもないアガート。どちらからも適度な距離感を保っている彼女は、客観的な観察者にうってつけ。彼女を通じて、偽物の城が内部からも外部からも崩壊してゆく様子、その中心にいる王妃の心情の変化が克明に語られる。 歴史を知る我々から見れば、アントワネットにしたい忠告はいくつもある。曰く、「衣装見本帳」を読むより、もっと有能な為政者・母テレジアの手紙を読むべきだった。曰く、睡眠のためより、知識を得るための読書をすべきだった。そして何よりも、「見える人」であるべきだった。 しかし本書では、ある時を境に彼女が「見える人」になる。そしてまさにその瞬間こそ、偽物ばかりの中で王妃が唯一の「本物」へと変貌する瞬間だった。この箇所はもちろん想像の産物だが、彼女の衝撃、悲しみ、そして再び威厳を取り戻すまでの過程が、「もしかしたら、本当にそうだったのでは?」と思わせるほど真に迫っている。 そしてこの「この苦痛にうちのめされはしません。」と語る「フィクションの」彼女が、裁判や処刑において気丈に振る舞った「実際の」アントワネット像と、あたかも最初から一つのレース飾りだったかのように、いともすんなりと繋がっているのだ。2002年フェミナ賞受賞。 【送料無料】王妃に別れをつげて [ シャンタル・トマ ]楽天ブックス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
July 9, 2018 09:21:24 PM
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