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2011.01.15
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カテゴリ:環境問題
昨日まで2回に分けて、広瀬隆の「二酸化炭素温暖化説の崩壊」を批判してきましたが、ただこの人は、地球温暖化問題以外の点については、正しいことも言っている、とも思います。

たとえば、地球温暖化防止のために、CO2を排出しない原子力発電を拡大しよう、という意見があります。確かに核反応そのものは直接CO2を出しませんから、一見するともっともらしい意見のように見えます。しかし、実際にはそうではありません。

CO2削減のため、水道水の無駄づかいを止めよう、という話があります。水そのものはCO2を排出する筈がないのに、どうして?と思いますよね。しかし、水そのものはCO2を排出しなくても、上下水道の建設や水の供給、汚水の処理などに大量のエネルギーが必要であり、だから水道水を大量に消費することはCO2排出の増大につながるわけです。
原子力発電もそれと同じで、核反応そのものにはCO2は無関係でも、発電所の建設、核燃料の採掘・運搬・精錬、そして放射性廃棄物の処理・保管、最終的には廃炉となった原子炉の処分(これは、まだ実例が少ないので未知数の分野)などによって、大量のCO2を排出します。

加えて、原子力というのは非常に効率が悪く、また使い勝手の悪い発電方法なのです。

原子力発電はどうやって発電しているかというと、核反応によってお湯を沸かし、蒸気をタービン(風車)に吹き当てて回転させ、それによって発電機を回しています。熱源に原子力を使っていますが、原理的には蒸気タービンそのものです。
かつて、20年くらい前までに建設された火力発電所も、原子力発電所とまったく同じ原理で発電機を回していました。つまり、原子力ではなく、火力(石油か石炭)で蒸気タービンを動かしていたのです。

蒸気タービンには、出力を急に変えることができないこと(急に出力を上げるとボイラーが壊れる)と、燃費が悪いという2つの欠点があります。火力を直接動力にするのではなく、水(蒸気)という媒体が介在するため、どうしたって効率は悪くなるのです。ディーゼルエンジンなら、燃費は良いし、非常に短い時間で出力を上げることができます。
ならば、出力調整が容易で効率も良いディーゼルエンジンで発電機を回せばいいじゃないか、と言いたいところですが、残念ながら何十万キロワットを発電するような大出力のディーゼルエンジンは作れないため、不都合には目をつぶって蒸気タービンが使われてきたわけです。

ところで、何でお湯を沸かして蒸気でタービンを回すなんてまだるっこしい方法を取るんでしょうか。燃料を燃焼された噴射を直接タービンに吹き付ければいいじゃないですか。
この理屈が、ガスタービンです。それが困難だったのは、蒸気(数百度)より燃焼ガスの噴射(数千度)の方が圧倒的に高温で、タービンの耐熱性に問題があったからですが、近年ガスタービンの技術は急激に進歩し、現在では火力発電所でもガスタービンによる発電が行われています。
ガスタービンは、定格出力で運転する限りは非常に燃費がよく(出力を落とすと燃費が悪くなる)、短時間で出力を変動させることができます。
しかも、最近はガスタービンの燃費を更に向上させる手段が導入されています。ガスタービンの後ろに蒸気タービンも組み込み、ガスタービンの排熱でボイラーを沸かして、蒸気タービンも動かすのです。一粒の燃料で二度おいしいこのシステムを「コンバインドサイクル発電」と呼びます。
このシステムの発電効率(発生させた熱が電気に変換される割合)は5割以上。6割近い発電所もあるようです。

一方、原子力発電所の発電効率はどのくらいかというと、約3割なのです。残りの7割の熱は、温排水として捨てられています。この一点だけでも、最新の火力発電所と比べて、原発がどれほど効率の悪いものか分かろうというものです。

更に言えば、火力発電所は基本的に大都市からそう遠くないところに建設されています。それに対して、原発は大都市からは離れた場所に建設されています。事故が怖いからです。当然、電気の消費地までの送電線の長さが、原子力の方がずっと長い。送電線が長ければ長いほど、電気のロスも大きくなるので、原発の発電効率は、前述の数字より更に低くなるわけです。

加えて、出力を上げるのに要する時間も、火力と原子力では全然違う。
ガスタービンは、始動してからすぐに最大出力を発揮することができるし、蒸気タービン(火力を熱源にする)だって、最大出力までに時間がかかるといっても、せいぜい1時間程度です。原子力はというと、始動から最大出力まで何日もかかります。「今日は暑くなるから電力消費が多そうだ」というので原発を始動しても、全然間に合わない。

しかも、原発は常に最大出力で運転されるもので、出力を絞って運転することが原則的にできません。電力会社は「出力調整運転はできる」と言っていますけれど、現実に、わずかな実験例があるだけで、営業運転では原発の出力調整運転は行われていません。出力を落として原発を運転すると、原子炉が不安定な状態となるためです。あのチェルノブイリの事故は、出力調整運転の最中に起こったというのは有名な話ですから。
というわけで、原発は、始動するとき、停止するときを除くと、停止しているか最大出力で運転しているかのどちらかしかないわけです。しかも、原発の出力はとても巨大で、1基で百万キロワットにもなる。

結局のところ、原発は常に動かしっぱなしで、電力消費の増減に応じて出力を調整するのは火力発電所と水力発電所ということになるのです。
ところが、夜間になると電力消費が減り、原発以外の全ての発電所を止めても、まだ電気が余る、という状態が起こります。消費電力より発電量の方が少ないと停電になりますが、消費電力より発電量の方が多くても、電力過剰でトラブルが起こります。だから、発電した電気は使い切らなければならない。それで電力会社が思いついたのは揚水発電なるもの。「電気の利用が少ない夜間に下流のダムから水をくみ上げて、日中のピーク時にその水で水力発電を行う」というのが電力会社の言い分ですが、そうでもしないと夜間に電気が余ってしまうというのが実態です。

こうしてみると、事故が起こった場合の危険性の問題を別にしても、原子力発電はCO2削減の切り札どころか、むしろエネルギー効率が悪く、エコとは非常に縁遠い発電方法だということが分かります。





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最終更新日  2011.01.16 00:39:37
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