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2020.06.23
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テーマ:ニュース(99693)
カテゴリ:人類学
前々回の記事

ダーウィンと憲法は何の関係もない

の中で、生物進化についていろいろ書きましたが、よく考えてみると、私が書いた進化についての理解は、ダーウィンによるオリジナルの進化論そのものではなく、1960年代末に国立遺伝学研究所の木村資生が発表した「分子進化の中立説(中立進化説)」に依拠している部分が大きいことに気が付きました。
前々回の記事で「変化は偶然の産物ですから、必ずしも環境の変化に合致するように変化すとは限りません。ただ、環境の変化に反する変化を遂げた生物は繁栄できない、あるいは絶滅する可能性が高く、環境の変化に合致する方向に変化したものは繁栄する可能性が高まりますから、結果として環境の変化に合わせて生物が進化したかのように見えるだけです。」と書きました。
先に書いたように、進化(変化)とは遺伝子のコピーミスの集積ですから、どういう方向に進化するかは偶然の産物であって、生存に有利な方向に進化するものであると決まっているわけではありません。

この考えは、発表された当時は、ダーウィンの進化論と対立する考えと受け取られ、一大論争を巻き起こしたそうですが、現在ではダーウィンの考えと矛盾するとは受け取られていません。
いずれにしても、中立進化説は、現在の分子生物学の基礎となっている考え方です。
ヒトとチンパンジーは何百万年前に枝分かれしたか、それぞれの生物群の遠近関係、どういう順番でどこから分岐したか、これらは中立進化説に基づく分子時計(遺伝子は一定の期間にだいたい一定の割合でコピーミスを繰り返すことから、遺伝子の変異割合から、枝分かれの順番や年代を類推する)の考え方に基づいています。

もちろん、前述のとおり、環境の変化に反する変化を遂げた生物は繁栄できない、あるいは絶滅する可能性が高く、環境の変化に合致する方向に変化したものは繁栄する可能性が高まるということは言えます。
ただし、現実には、世の中の生物進化の大半は、生存に有利でも不利でもないものです。

世界には非常に多くの種類の生物がいます。植物は30万種以上、昆虫は100万種、哺乳類が約5千種、鳥類9千種・・・・・。この地球上で生命の発生がたった一度限りのことだったのか、複数回生命の発生があったのかは正確には分かりませんが、少なくとも我々の良く知る真核生物(動物、植物、菌類つまりキノコやカビ、原生生物など)はすべて、ただ1種(見方によればミトコンドリアの祖先と2種ですが)の共通祖先から枝分かれしたものです。

元々1種の生物がどうやって複数の種に枝分かれするか。有性生殖をおこなう動植物の場合、元々同じ種だった生物の分布域が何らかの理由で分断されたり、あるいは個体群の一部が隔絶した土地に進出したりして、二つの集団に分断されて互いの交流が絶えて数万年、あるいは十数万年経過し、もはや互いに生殖の対象とできなくなります(種分化)。
でも、この枝分かれはあくまでも、互いに遺伝子のコピーミスを繰り返すことで同一性が保てなくなってしまった、ということであって、互いの優劣とか、より環境に適応している、していない、ということではありません。

だって、ウマの仲間のウマ、ロバ、シマウマで、どの種類が一番生存に有利な進化をしたとか、どの種類が一番環境に適応している、なんてことがありますか?
スズメとイエスズメとニュウナイスズメだったらどうですか?ツバメとコシアカツバメとリュウキュウツバメだったら?トラとライオンとヒョウとジャガーでは?

はっきり言って、「違う」というだけなのです。どの種が生存に有利とか、より環境に適応している、とか、そんなものはない、もしくは条件次第でいくらでも変わる程度のものです。世の中の生物進化のほとんどは、そういったものです。
もちろん、中には、生存への有利不利とか、環境への適応の優劣が分かるような進化の例もあります。飛べない恐竜から飛べる鳥が進化したり、4つ足の類人猿から2足歩行の人が進化したり。でも、そんな分かりやすい例はごくわずかしかありませんし、空を飛ぶ能力を獲得した最初の鳥は、飛行は下手くそで、飛べない恐竜と比べてそんなに目に見えるほど有利ではなかったかもしれません。

また、生存に不利な進化を遂げたら即絶滅かというと、必ずしもそうではありません。
以前の記事に、鳥の呼吸システムが我々哺乳類より格段に優れている、という話を書いたことがあります。それによって鳥は、成層圏の高度1万m超すら飛行できます。しかしこの呼吸システムは、鳥が飛行をするために獲得したものではなく、その祖先である飛べない恐竜がすでにそのような呼吸システムを獲得していたと推定されています。ペルム紀末の大量絶滅以降、地球の酸素濃度が急減して、高効率の呼吸システムが生存上有利だったからです。
だからその後恐竜は大繁栄したわけですが、では恐竜→鳥類に比べればはるかに能力の劣る呼吸システムしか持たない単弓類→哺乳類は絶滅したでしょうか?
ペルム紀末期の大量絶滅期には単弓類も大半の種が絶滅しましたが何種類かは生き残り、そこから哺乳類が進化して、恐竜の全盛期にもそこそこに繁栄していました。劣った呼吸システムは生存上明らかに不利ですが、それで絶滅するほど決定的なハンデにはならなかったのです。
逆に優れた呼吸システムを持っていたはずの恐竜は、6500万年前に白亜紀末期に、鳥の系統を残して絶滅しました。これもまた、恐竜が生存上不利だったから絶滅したわけではないことは明白です。(巨大隕石の落下という外的要因による絶滅だった)

生物進化などというものは、いわゆる「複雑系」の最たるものですから、有利な条件を獲得したら大繁栄、不利な条件を獲得してしまったら絶滅、なんて、そんな分かりやすくはできていないのです。





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最終更新日  2020.06.23 21:39:59
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