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2021.12.20
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テーマ:ニュース(99571)
チリ大統領選挙 決選投票で35歳の左派 ボリッチ氏が勝利
南米のチリで行われた大統領選挙の決選投票は左派のボリッチ氏が右派のカスト氏に勝利しました。ボリッチ氏は日本やチリなどが参加するTPPの批准に慎重な姿勢を示していることから、今後どのような政策を打ち出すのかが注目されます。
チリのピニェラ大統領の任期満了に伴う大統領選挙の決選投票は19日
▽右派政党の党首のホセアントニオ・カスト氏(55)と
▽左派の下院議員のガブリエル・ボリッチ氏(35)の
2人で争われました。
チリの選挙管理委員会によりますと得票率は
▽ボリッチ氏が55.8%
▽カスト氏が44.1%で
ボリッチ氏が当選しました。
チリは市場経済や自由貿易を推進して堅調な経済成長を実現する一方、経済格差の問題が深刻化し、ボリッチ氏は富裕層への増税などを通じた公平な分配を掲げ支持を伸ばしました。
ボリッチ氏は日本やチリなど11か国が参加する、TPPの批准に慎重な姿勢を示していることから、今後どのような政策を打ち出すのかが注目されます。

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ボリッチ勝利、とりあえずはホッとしました。
チリは、1990年の民政復帰以降、4期16年続けて、反ピノチェトの民政復帰運動を主導した中道左派連合「コンセルタシオン・デモクラシア(民主主義の盟約)」が政権を握ってきましたが、2010年以降は右派と中道左派が交互に政権を取る状況が続いてきました。
ただ、コンセルタシオンは、中道左派と言っても、クーデターの際はピノチェトを支持していた過去もあるDC(キリスト教民主党)や、PS(チリ社会党)、PPD(民主党)などの寄り合い所帯であり、経済政策面ではピノチェト時代の新自由主義経済からそう大幅に変更されませんでした。それによって保守層の支持も獲得してピノチェト派から政権を奪取した、とも言えます。そのため、民政移管後最初の2代の大統領(パトリシオ・エイルウィンとエドゥアルド・フレイ・ルイスタグレ)はコンセルタシオン内で最右派のキリスト教民主党から選出されています。
その後大統領の座はPPD(元々は社会党右派の別動隊)のリカルド・ラゴス→社会党のミシェル・バチェレと、次第に左派に移っていったものの、結局コンセルタシオンという全体の枠組みの中では経済政策はあまり変更されませんでした。
一方、右派の側でも、2010年に民政復帰後初めてコンセルタシオンから政権を奪回したセバスティアン・ピニェラ大統領は、ピノチェト支持派とは一線を画すなど、ある程度中道寄りに路線を変更することで政権獲得に成功しています。

右派左派とも中道化することで、両者の違いが見えにくくなった半面、その状況に不満を抱く勢力は右派左派双方に拡大していきました。それが爆発したのが、今回の大統領選だったと言えます。

チリでは一昨年、ピニェラ政権が打ち出した首都サンティアゴの地下鉄運賃値上げに端を発して、全土で急激に抗議デモが拡大します。たかが地下鉄の運賃で、と言いたくなるところですが、ピノチェト時代からたいして変わらない新自由主義経済と貧富の格差拡大という「熱し切ったフライパン」にたまたま火が付いたのが運賃値上げだった、ということです。



私なんかは、こういう光景を見ると心が熱くたぎってくるのですが、その一方でこの光景を見て「治安の悪化」と考える人たちが、チリでも一定数いるわけです。
その結果、一連の抗議デモを主導したガブリエル・ボリッチと、ピノチェトを礼賛する極右派ホセ・アントニオ・カストの双方が支持を伸ばすことになりました。

チリの大統領選は(チリに限らず同様の選挙制度の国は多いですが)、第1回投票で過半数を獲得した候補がいればそこで当選、過半数を獲得した候補がいない場合は、上位2名による決選投票という仕組みになっています。そして、右派の現政権も、中道左派連合も、どちらも2位以内に入ることができませんでした。
事前の世論調査ではボリッチの優勢が伝えられたものの、第1回投票で1位になったのは極右のホセ・アントニオ・カスト得票率27.9%、ガブリエル・ボリッチは25.8%で2位でした。これに対して、旧来交互に政権を担当してきた右派連合と中道左派連合は得票12.8%と11.6%ですから、「惨敗」と言ってよい結果です。

第1回投票には7人が立候補しましたが、各候補者の得票は以下のとおりです。
ホセ・アントニオ・カスト 極右 得票率27.9%
ガブリエル・ボリッチ 左派25.8%
フランコ・パリシ 右派ポプリスモ(ポピュリズム) 12.8%
セバスティアン・シチェル 右派現政権後継 12.7%
ジャスナ・プロボステ 中道左派連合 11.6%
マルコ・エンリケス-オミナミ 左派 7.6%
エドゥアルド・アルテ 極左 1.5%

各候補者の政治的立ち位置を左右に分けると、第1回投票の得票率の過半数は右派系候補の得票でしたが、幸いなことに、それがそのまま決選投票の結果には結びつきませんでした。カスト、ボリッチ両候補とも「右に寄りすぎ」「左に寄りすぎ」という評は着いて回りましたが、ボリッチが「左に寄りすぎ」と敬遠した左派票よりもカストが「右に寄りすぎ」と敬遠した右派票の方が多かったということなのでしょう。
一応は右派に分類したフランコ・パリシ(米国在住でチリ国内では選挙活動をせず)の票が、カストには流れなかった、ということなのかもしれません。

ともかく、ピノチェト礼賛の極右派に復活などしてほしくはありませんでしたから、この結果は良かったと思います。

話は変わりますが、日本では音楽家が政治的主張を掲げると、すぐに「音楽に政治を持ち込むな」などというバカバカしいことを言い出す輩が現れますが(実際には、音楽家が左派、リベラル派的な主張を掲げた場合だけ、そういうことを言い出す輩が現れ、右派的主張を掲げる音楽家に対してそんなことを言う輩はいません)、チリの音楽家は政治的主張、どころか特定の候補者への応援をバリバリとやっています。





現在チリでは憲法改正の作業が進んでいます。現在の憲法はピノチェト独裁時代に制定されたものが一部改正されただけで、根本的に非民主的であり、社会保障についての規定がないなど、民政復帰後も新自由主義経済体制から脱却できない「足枷」の一つとなっています。
いわばピノチェトの呪縛とも言えるこの憲法は、昨年の国民投票で、圧倒的多数の賛成によって改正されることが決まっています。ボリックの当選で、いよいよチリがピノチェトの呪縛から完全に解き放たれるときも近いようです。





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最終更新日  2021.12.20 22:19:40
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