エドガーとアレクセイが決闘した夜、ボロヌスキー邸で行われた舞踏会ではその話で持ちきりだった。
「あのエドガー様とアレクセイ様が、1人の女性を取り合って決闘なさったんですって!」
「その方って、イギリスから来られた・・」
「お2人にそれほど愛されるなんて、お羨ましいわ。」
令嬢達が噂話をしていると、エドガーとステファニーが階段から降りてきた。
ステファニーは、令嬢達の視線を嫌というほど感じた。
「他人の目は気にしないで。今夜は私たちにとって、特別な夜になるのですから。」
「ええ、そうですわね。」
そう言ってステファニーは笑った。
今夜、エドガーとステファニーはこの広間で婚約を発表する。
ボロヌスキー邸で舞踏会を開いたのは、何かとロシアに来てから世話になったナターシャのために、婚約したことを報告したいためだった。
「では、行きましょうか。」
エドガーはステファニーの手を取り、ゆっくりと広間へと進んだ。
「お集まりになられた皆様に、ご報告がございます。私、エドガー=セルフシュタインは、ステファニー=セルフォードさんと婚約することになりました。」
エドガーの言葉に、集まっていた貴族達は一斉に拍手した。
ただ1人、アレクサンドラを除いて。
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