『アリスさん、どうなさったんですか、こんな夜更けに?』
アリスの突然の来訪に驚きながらも、正義は彼女がこんな寒い中外套を纏っていないことに気づいた。
『少し待っていてください、今温かい飲み物を・・』
『いいえ、結構ですわ。』
アリスはそう言うと、部屋から出て行こうとする正義の腕を掴んだ。
『わたくし、あなたのことをずっとお慕い申し上げておりましたの。』
突然彼女からそう告白され、正義は驚愕の表情を浮かべながらアリスを見た。
『いつからですか・・』
『アンドリュー・・弟に決闘を申し込むと言ってやって来た時からです。』
そう言ったアリスのアメジストの瞳が、熱で潤んだ。
『マサヨシさん、わたくしは近々、両親が決めた相手と婚約することになるでしょう。』
『・・それは、おめでとうございます。』
正義がそういうと、アリスは落胆したかのような表情を浮かべた。
『その人とはとあるパーティーで会いました。彼は軍人で、専ら戦場での武勇伝を語ることが好きな方です。』
アリスはベッドの端に腰を下ろすと、一呼吸置いて次の言葉を継いだ。
『わたくしがパーティーを途中で抜け出して帰ろうと馬車に乗ろうとしたとき、その人はわたくしを無理矢理力ずくで犯そうとしました。幸い、馬の様子を厩に見に行っていた御者のお陰で無事でしたが・・それ以来、その人とは結婚したくないという思いが・・』
『そんなことがあったのですね。知りませんでした。』
アリスの言葉に、正義は絶句し、彼女の手を握った。
『今日もあの人が家に来て・・もう恐ろしくて家から飛び出してあなたの所に来てしまいました。』
『アリスさん、今晩は少しこちらで休まれてはいかがでしょう?』
『ええ、そういたしますわ。』
アリスはそう言うと、正義に突然抱きついた。
『アリスさん?』
『お願いですマサヨシさん、たった一度だけ、一度だけでいいんです。わたくしを抱いてくださいませんか?』
『それはできません。どのような事情があるにせよ、わたしはあなたを抱けません。』
『これでも?』
アリスは不意に勝ち気な笑みを浮かべると、正義の唇を塞いだ。
『お願い、わたくしを抱いて。』
耳元でそうアリスに囁かれ、正義は本能を思い留まらせていた理性という名の糸が、自分の中でプツンと切れる音が聞こえた。
彼はアリスをベッドに押し倒すと、荒々しく彼女の唇を塞いだ。
『好き・・』
アリスはそう言うと、正義の背に手を回した。
『わたしもです・・』
アリスはドレスを自ら脱ぎ、コルセットの紐を緩ませ豊満な乳房を露わにした。
それを正義は恭しく吸い上げ、紅い痕を残していった。
正義の部屋で物音がして、一階で寝ていたアリエルは目を覚ました。
(泥棒かしら?)
ランプを持って彼女が二階へと上がり、正義の部屋のドアをノックしようとした時、中から女の嬌声らしき声が聞こえた。
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