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2014.08.24
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カテゴリ:小説
波しぶき.jpg

 ぼくが河野になってからほぼ半年が経ち、河野製作所で初めての決算を迎えた。危惧していた通り創業以来初めての赤字である。ぼくは河野の父である会長に呼ばれ、会長室の固いソファーの隅でじっとうずくまるように会長の話を聞いていた。
「赤字をだしてしまったのは、日本中が未曾有の不景気に襲われてしまったためで、決してお前のせいばかりではない。だが最近のお前の仕事ぶりを見聞きしていると、全く覇気がないではないか。これでは従業員もやる気がなくなってしまう。これから会社をどういうふうに運営したいのか、この際はっきりと確認しておきたいのだ。」
 
 ぼくはしばらく沈黙していたが、覚悟を決めてポケットから辞表を取り出して会長に渡した。
「申し訳ありません。ぼくにはこの会社を経営する能力も自信も全くありません。この会社も今日限りで辞めたいと思います。」そして説得しようとする会長の声を振り払い、さっと会長室をあとにした。
 これで河野の大切な持ち物を三つ失くしてしまった。一つ目は退院してから執拗に連絡のあった河野の妾と別れたこと、そして二つ目はこの妾への手切れ金と、意識を失ったままの河野の入院費用、そして会社の借金返済のために、住居である億ションを売却してしまったことである。
 
 河野には申し訳ないが、現在の自分に出来ることは沙保里を愛することだけであり、そのほかの河野の持ち物は全て無用の長物だった。それにすでに半年経っても河野は目覚めない。たぶんこれからも目覚めることはないだろう。そう思っていた矢先、なんと河野の意識が回復したと病院から連絡が入ったのである。
 

(次回につづく)

作:河村 道玄

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最終更新日  2014.08.24 12:06:52
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