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カテゴリ:PC『CARNIVAL』
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『CARNIVAL』第四回 今更だけど、OPアニメ良く動いてるなぁ。 みんな可愛いし、曲も割かしアップテンポ。 これだけ見てると、とてもじゃないけど内容がコレだとは思えないね。 児童虐待の場面で、特にリアルだと感じるのは、虐待を受けた子供自身が、虐待を加えている親に対して信愛の情を捨てきれないでいること。 ついでに、虐待を加えている親が、多くの場面で「善良」であること。 それも、彼らは対外的に善良な演技をしているのではなく、真に善良であるに過ぎない。 なのに、どうして児童虐待なんて起こるんだろうね。 例の「事故」以来、学くんと気まずくなる理沙。 と言うより、学の方が根暗になって、一方的に距離を置き始めた感じだけど。 学は「武」としての記憶を失い、すっかり明るさを失ってしまった。 統合人格“学”が、学の記憶に干渉して「武」を幼馴染だと思い込ませたらしいと。便利な体ですね。 同時期、理沙と泉は図書室で出くわす内に仲良くなった模様。 泉は家がキリスト教徒で、嫌々教会に通っている……なるほど、なるほど。 理沙は学を気にかけて、携帯電話の番号を押し付けようとしたりしてる。 「そういえば、泉ちゃんは、ちょっと学君と似てるかもしれない。うん、感じとか雰囲気は全然違うんだけど、うまく言えないけど、なんていうか、心の方向性みたいなのが」 天才型……ってわけでもないな、泉は。 まぁシナリオ1のバッドエンディングを見る限り、確かにウマは合うようだけど。 泉との付き合いで、彼女からキリスト教の教えを聞く理沙。 「悪を犯した人間の、内なる良心の呵責こそが罰であり、それに苦しむ者を神は救う」と聞き、そうやって自分も許されたいと願う理沙。 おいおい「許されたい」って君、冗談言っちゃいけねえよ。 そもそも理沙がいったいどんな罪を犯したって? 聖書を読んで、結局キリスト教は自分に合わないと感じる理沙。 私は、繰り返しますが、自分という人間に、救われる権利があるとは、どうしても思えませんでした。 自己卑下は更に極まり、「自分は救いようのない罪人」となりました。 誰か助けてやれ、マジで。 この頃、学に対するいじめ再開。 武がいないとだめだこりゃ。 そんな学を、理沙は影からさり気なくサポートし、学に対するいじめを抑制するのでした。 良い娘じゃないの…。 そして進学。 同じ学校に進んだ学を気にかけまくる理沙……が、シナリオ1によれば、この時の学は「理沙は何で僕みたいな下らない奴に構うんだろう」というツンデレ的な疑問を抱いておりまして、露骨に理沙を避けるのでした。 そんな中、復活する武。 武は理沙を無理矢理犯した挙句、「処女じゃねーじゃん!この尻軽女!」と怒り出すナイス暴漢ぶりを披露。 そのとき、本当のことを、全部今までの私の秘密を、言ってしまいたかったのです。 でも、私の苦しみなんか、きっと大したことないんだ。つまらないことなんだ。どう見たって。武君や学君の苦しみのほうがずっと大変で、とても辛い思いをしているんだ。 私が我慢しなくちゃいけない。 結局、父親に犯されたとは言い出せず。 「恥辱の為に言えない」というならまだ理解できるが、理沙の場合は「相手の方が苦しんでるんだから、自分の些細な苦しみなんて殊更に言うべきではない」なのね。 全然わかんない……とも言い切れない繊細な心理描写だな。 そして運命の日、夏祭が始まる頃。 屋上にて、いじめっ子の首をカッターナイフで掻っ捌く武。 不謹慎ながら、一撃で殺せるのはやっぱりすげぇ。 警察に捕まり、護送中に事故発生。それに乗じて逃げる学。 理沙の家に駆け込み、好意に甘えて好き勝手大暴れ。 学に拉致され、学と武に交互にボコボコにされる詠美先輩の面倒を見る理沙。 学を激しくいじめたヒトデナシの詠美先輩にも、溺愛する妹がいて……ってそんなこと今更言われんでも解ってましたがな。 どこまでさかのぼっても、みんな辛そうで、しかたなくそうしたように思えます。 世の中に、本当に悪い人なんているのでしょうか。 『世界は人間を愛していない』って、誰かが言っていたと思うんですが、思い出せません。 然り、世界は人を愛していない。 仮に愛してたとしたら、世界ってのは相当のドSだな。 で、理沙との関わりの中で武は改心。 武は学の一部となることを受け入れ、理沙と共に明日無き逃亡へと一直線。 嘘ばっかりついて、汚らわしいことばかりして、自分も他人も騙して、ずるいことばっかりして生きてきて、そして最後には、全部捨てて逃げてしまうなんて。 学の母親が突き落とされた崖で、理沙は不意に自殺願望に駆られて柵を越えようとし、学に抱き止められる。 「もう、疲れちゃったんだ」 理沙は学に、自分の苦しみの全てを吐き出し、学はそれを受け入れ、互いに愛の告白をする。 シナリオ1の時と同じ場面なのに、今では全く印象が違う。 理沙が愛しい。 学は寝こけて、統合人格“学”が現れた。 夏祭の終わりに、打ち上げられる花火を見ながら、理沙と“学”は語り合う。 「生きてくのって、苦しいんだね」 「うん」 「もし神様がいたら、きっと人間のことは嫌いなんだと思うな」 「そうかな、嫌いじゃないけど、好きでもないんだと思うよ。あんまり興味持ってくれてないんじゃないかな」 「そうだね。罰も与えてくれない。世界は愛してくれない」 「だけど……」 「だけど、私はこの世界が好きなんだ」 「そうだね」 「だから苦しい」 「片思いだ」 ……。 言ったな、理沙が。 自分をズタボロにした、この世界が好きだと。 今はまだいい。 二人には未来はない、逃げ切れない。 これから二人はきっと全てを奪われる。 その時になっても、まだ、この世界が好きだと言えるのか? 私は頑張って一緒にいて、学君は幸福になって、そして私も幸福になる。それが正しいと、決めたのです。それがきっと、私の幸福で、私は私の幸福を願う。 手を繋ぎ、石段を降りて行く二人。 流れるエンディングテーマ。 …………。 信じられない。 俺は二人の前途にある幸福を、信じられない。 「世界は人間を愛していない」。 この作品が確かな説得力を持って語るのは、この台詞一つだけだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.01.06 01:29:12
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