カテゴリ:近未来の根管治療シリーズ
40代女性、右上7、咬合性外傷、Per、慢性副鼻腔炎(上顎洞炎)
他の歯科医院や耳鼻科でCTを撮ってもらって、根尖が副鼻腔と交通している歯性副鼻腔炎と診断されたそうだが、根管を触った感じでは僕にはそうは思えなかった。根尖付近の歯髄はまだ生活しているように思えたからだ。 前回のつづき https://plaza.rakuten.co.jp/mabo400dc/diary/202304300001/ 今日は冠部歯髄を開けてみる。痛みはあまり感じないようだったので天蓋を突き破ってみた。 出血したので、少なくとも歯髄の一部は生活(生きている)していることが分かる。 出血したのが口蓋根に見えたので、最初は生きているのは口蓋根かと思った。 しかしよく見ると口蓋根の歯髄は失活していて一夜干し(?)化していたが、腐敗臭はしなかった。もちろん天蓋を開けた時も腐敗臭はしなかったと思う。 これはどういうことかというと、歯髄は無菌的に失活していて、細菌感染はしていないということを示している。 このことは歯根尖は副鼻腔と交通していなかったということだ。もし交通しているとすれば必ず副鼻腔から細菌感染する。もちろん逆のことも言える。細菌感染した歯髄から副鼻腔に感染を広げたわけでもない。このことから歯性上顎洞炎(ちなみに歯科では上顎洞炎ということが多いように思う)ではないと思われる。歯髄の失活と副鼻腔炎は別の話だということだ。 ではなぜ細菌感染なしに歯髄は失活するのか?現在の歯科医学では知られていないが、経験上歯髄梗塞または歯髄塞栓症というのがあるように思う。食いしばりや歯ぎしりで、根尖付近の血管が押し潰され歯髄への血流が滞ったり、外傷性にできた血栓や血管壁のデブリが歯髄内の毛細血管を詰まらせてしまうことによる歯髄血管障害だ。脳梗塞や心筋梗塞と同じだ。 出血が治ったので根管を超音波スケーラーのエンドチップで洗浄した。リーマー、ファイルは削片が生じるので使わない。 知覚があった時の作業長13mmで、標準より3mm短い。3mmだけ歯髄は残っているということだろう。 あとは3MIX+α-TCPセメントの精製水練りと通常練りの2回法で根管充填する。 1回目 2回目 CRで充填して歯冠を再建して一旦終わり経過観察に入る。 左側があまり噛まないので、右側を使うことが多いと思われる。必然的に右側が過重負担となりやすい。右側の臼歯部に外傷性咬合による障害が起こりやすいことが考えられる。 左側 右側 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023/05/02 08:00:03 AM
コメント(0) | コメントを書く
[近未来の根管治療シリーズ] カテゴリの最新記事
|
|