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まいかのあーだこーだ

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2020.10.26
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前回も書いたとおり、
「鬼滅」の物語世界には国家の問題が絡んでいるのですが、

とりあえずマーケティングの観点から、
現在の「鬼滅」のヒットの理由を説明すると、
まずは「あらゆる層にウケている」という話になるはずです。

それはもちろん、
ふだんはアニメや漫画から縁遠い層を含むわけですが、

男女にウケているし、
老若にウケているし、
ヤンキー層にもインテリ層にもウケている。

この広範囲な支持が現在のメガヒットの前提条件です。



1.男性にも女性にもウケている

基本的には少年漫画にちがいないのですが、
女性にも受ける要素をしっかりと押さえています。
それは「キャラ萌え」と「世界観萌え」に集約されます。
1980年代の女性たちが、
ガンダムの世界観やシャア・アズナブルに熱狂したのと同じ。
もっと近いところでは、三谷幸喜の「新選組」のときに、
女性たちが山本耕史や堺雅人に心酔したのと同じですね。
とくに「鬼滅」における9人の柱のキャラ立ては、
こうした女性のファン心理を意識して作られていると思います。
さらに「鬼滅」の世界観は、
従来からの「刀剣萌え」や、
千と千尋風の「大正萌え」などにも共鳴して波及しています。

過去の例から見ても、
女性ウケは、アニメヒットのための基本要件です。
女性ウケによって、カテゴリーの枠を乗り越えるような、
別の角度からの視点が付与されるのですよね。

2.子供にも大人にもウケている

前回も書いたように、
「日本」「チャンバラ」「時代劇」といった要素は、
子供よりも、むしろ大人にこそ好まれるものです。
また、後述するように、
歴史好きな大人にもアピールする要素を備えています。
ここから考えると、
「子供向けのコンテンツ」が大人にも受け入れられた、
と解釈するよりも、
「大人向けのコンテンツ」を子供向けのフォーマットに当てはめた、
と解釈するほうが正しいのかもしれません。

3.ヤンキー層にもインテリ層にもウケている

残虐な戦闘シーン、
友達への仁義や、先輩への忠義など、
ヤンキーの感性にうったえる要素は多く含まれています。
「鬼滅の刃」は「きめつのやいば」と読むわけですが、
こういった難読漢字の多用も、
「夜露死苦」と書いて「よろしく」と読ませるような、
ヤンキーの美意識に親和する面があります。
おそらく世間のヤンパパやヤンママたちも、
自分の子供に「善逸」「禰豆子」などのキラキラネームを、
つけはじめるのだろうと予想します。

主題歌を担当しているLiSAにも「元ヤン」の要素があります。
アニメの主題歌は、原作者が歌詞を書くことが多いですが、
「紅蓮華」(ぐれんげ)はLiSA自身が歌詞を書いています。
現在の「鬼滅」のヒットににおいて、
LiSAのキャラとパフォーマンスがすくなからず反映している、
ということを見逃すべきではありません。

ただし、これらは「ヤンキー文化そのもの」というよりも、
むしろ一周回った「ヤンキー文化のパロディ」というべきもので、
その意味では「今日から俺は!」のヒットに近いものかもしれません。



一方、
「鬼滅」は知的なインテリ層をも確実に刺激しています。
これはやはり荒俣宏の「帝都物語」との類比で見るべきです。
「帝都」では、平安時代の要素を大正時代に置き換えて、
平将門の怨念を蘇らせて「敗者の歴史」を浮かび上がらせ、
密教、風水、陰陽術など日本文化の裏面に光を当てました。
「鬼滅」の場合も、平安時代に起点を置いていますが、
本来の「鬼」の歴史は、むしろ古墳時代に遡ります。
それは大和王権の成立や、縄文と弥生の相克に関係しています。
そして、ここでもやはり、
日本史の「敗者の歴史」が浮かび上がってくるのです。

4.手塚治虫ファンにも梶原一騎ファンにもウケている

上記の2や3ともリンクしますが、
もともと日本の漫画には、前回も書いたように、
手塚治虫に代表される「モダン漫画」のファンタジー路線と、
梶原一騎に代表される「ドメスティック漫画」の劇画路線があります。
前者を子供向け、後者を大人向けと見ることができるし、
前者をインテリ向け、後者をヤンキー向けと見なすことができるかもしれません。
可愛いキャラの登場するコミカルなファンタジーの側面と、
シリアスで残虐な日本時代劇の側面を、両方とも備えている。

ちばてつやの「あしたのジョー」がそうだったように、
「鬼滅」には日本漫画の二大潮流を合体させる力技があります。
とりわけ女性ファンの視点によって、
カテゴリーの境界を乗り越える力技が現実化しているのだと感じます。
おそらく「鬼滅の刃」の異例のヒットを説明するうえで、
いちばん重要なのは、この部分だろうとわたしは考えています。



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最終更新日  2021.09.16 17:42:00
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