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カテゴリ:小説
第8章 9.3ccの涙(質量欠損0.93グラム)※注
昭和20年8月6日朝、広島上空9600mにおいてエノラゲイから「リトルボーイ」が投下された。 そして、シノーラの決死の行動により、高度580mでとうとう起爆してしまった。 人類を破滅に導く儀式が。。。。。 神話どおりパンドラの箱が開かれたのである。 摂氏400万℃の超高熱が発した0.1秒後、直径34m摂氏30万℃の火の玉になる。さらに火の玉は500mまで急速に膨張、10秒間輝き続けた。・・・・ となるはずであった。 が、 ![]() 無事、マフラーがF氏の襟元に届いたのである。 もらったときのうれしさが、ビビビと全身を駆け巡る。 「しあわせだなぁー、女の子が自分のために編んでくれた手作り。。。」 その瞬間、体全体が青白く輝きはじめた。 同時に、 苦しさでゆがんだデーモンの表情が、りりしく、力強い若者の顔に変わる。 浄化能力パワーアップ。ゲージは上がり続け、とうとう、無限大に。。。。 広島市民の命、数十万の生命を飲み込もうとした火球が、いったんは30メートルにまで膨張したものの、少しづつ、縮み始めた。 信じられないことが起こり始めた。 奇跡がはじまったのだ。 火影事務所で、1回50円の講習会が効を奏し始めた?? まさか。。。 そして、F氏の目に涙が。。。。 とめどなく流れ続ける。 流れた量は9.3ccであった。 ----------------------------------------------------- 命が失われることほど、不幸なことはない。 死に行く者の無念さ、残された者の苦しみ。 F氏はたくさんの生死の狭間、瞬間を見てきた。 また、それだけでなく、人間は、自己の欲望のため、排気ガスや有毒化学物質など環境汚染源を大量に撒き散らし、地球を傷め続けてきた。 人々の不幸苦しみを吸収し、そして汚染物資を浄化しようとする。 たまりにたまったそれらはひどい悪臭を出し、瘴気となって、F氏にまとわりつく。当然に人から嫌われる。 失業するのは当たり前である。 そう、F氏は、人の不幸・悲しみ・不満・恐れ・世の中のあらゆる苦しみを吸収し・それを浄化させる、特異体質だったのだ。 パンドラの箱から、はじめに出てきたものは、人々の欲望・その結果として地球を汚す物資。極めつけとして核爆弾。 後から出てきたものは、その浄化の役目を運命付けられたF氏、そして、F氏を勇気付け慰めるため、少女がこころをこめて織った手縫いのマフラーであった。 人間が理不尽な場面に遭遇したとき、怒りに燃え、対抗しようとする。 それでは、火球が2個・2倍になり、ますます被害が増大するだけである。 しかし、ほんの少しの愛、思いやりで冷静になり、打開のための知恵、そして勇気がわいてくる。 実例がある。 インドのマハト=マガンジー! 非暴力主義者である。 英国の圧政・暴力にインド国民の不平不満は爆発寸前になった 。 ガンジーはそれを一身に吸収し、命がけの断食で、ヒンズー・イスラム間の宗教的対立を抑え、最後に自らの命をささげたのだ。 同様に、現在も、憎しみに憎悪で対抗する悪循環を断とうとする動きが続いている。 民族紛争・宗教的歴史的対立など、知恵をしぼり、解消・浄化されんことを願う。 さらに、あなたの周りに、毒気を撒き散らす人がいると思う。 また、うつ病になっている人や心身に障害を持つ人など、近づきたくない人もいるだろう。 彼らは、F氏と同じ、つらい役目を負わされているのだ。 神から遣わされてきたのかもしれない。 やさしく見守ってほしい。 そして、マフラーなど、少しの思いやり。 があれば、思わぬ大きな力を発揮することができるのだ。 ×終わり。 いや、まだつづく ------------------------------------------------------ (((現代物理学の解説・計算コーナー))) 以前東灘LPガス漏洩事故の日記でも触れたが、 広島に投下された原爆のエネルギーはTNT火薬2万トンに相当するといわれている、 これは84兆J(ジュール) である そしてこれを アインシュタインの有名な公式 e=mc^2 (1gの物質は90兆Jものエネルギーに相当) に当てはめてみると。広島型原爆は約0.93グラムの物質がエネルギーに転換(質量欠損)されたものといえることになる。 F氏の能力は、この物質=エネルギー・転換の触媒だった可能性がある。 ------------------------------------------------------- ※注、変換効率の関係で10倍の涙を必要とした。訂正しておく。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年01月17日 02時56分39秒
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