墨汁ではありません。極黒です。
先月購入した「セーラー 極黒(きわぐろ)」。「セーラー プロフィット21」が空いたら使い始めようと思っていたのですが、丁度空いたので洗浄して「極黒」を入れてみました。多少、特殊なインクなので純正万年筆の方が安心かと思い・・・。この「極黒」は、香港の「豊原行(Pen Gallery)」というお店で購入しました。ここは、全体的に値段は高めですが、品揃えは豊富ですね。尖沙咀東のシャングリラホテルの斜め向かいの「好時中心」にある路面店ですが、Mody Road沿いではなく、脇道を入らないと見つかりませんのでご注意を。尖沙咀西側の「星光行」にも支店があります。日本での販売価格は、50mlのボトル入りで1,575円ですが、こちらから見ると輸入品。値段は、多少割高になります。とは言え、HK$210の「パイロット 色彩雫」と比べるとかなり割安な感じです。多分、重量が軽いせいでしょうか?買ったお店:豊原行(Pen Gallery)買った商品:セーラー 極黒 50ml価格:HK$150(約1,787円) 日本での定価1,575円 現在の万年筆インクは、水性染料インクが大半を占めていますが、この「極黒」はカーボンを原料にした顔料系インク。早い話が、墨汁に近いイメージかと思います。難しく言えば、このインクは、化学で習うところの「コロイド」です。身近なところでは、牛乳もタンパク質のコロイド。溶けているのではなく、粒子が、液中をすごく頑張って漂ってるだけ。とは言え、不思議な力が働いており、容易に沈殿することはありません。なお、不思議な力については、誰かに聞いてください。私に質問しないこと。多分、熱運動とか荷電、ファンデルワールス力や、宇宙の偉大なる意思が作用し、バランスをとっているんだと思います。一応、化学専攻だったレッドのコッカーでした。先に容易に沈殿しないとは書きましたが、電解質を加えると一気に沈殿することがあります。と言うことで、このインクは「混ぜるな危険」指定ですね。インクには、何が入っているか分からないので、他のインクとは混ぜないほうが無難でしょう。粒子の細かいカーボンを使用しているそうなので、目詰まりなどの心配もなく安心して使えるそうです。実際、私の印象でも、意外にサラサラしてますね。あと、パイロット程刺激の強いものではありませんが、独特に匂いがあります。子供の頃行っていた、○○医院に匂いに近いのですが、だれも分かりませんよね。わりと癖になるそうな匂いです。さて、早速書いてみましょう。比較のため「パイロット インキ ブラック」と「パーカー クインク ブラック」でも書いておきます。「極黒」なので、凄く黒いと思っていたのですが、意外と自己主張少な目の黒でした。比較のパーカーの方が、より黒い感じがします。こう言った色調の方が、個人的には好きですね。書き味も中々良好です。謳い文句では滲まず、裏抜けしないとなっていますが、実際に滲みが少なくシャープな筆記線です。インクを変えるだけでも随分、万年筆の筆記線が変わるものですね。新鮮な発見でした。裏抜けもかなり少ないように見えるので、モレスキンと組み合わせても悪くなさそうです。 続いて耐水性のテストです。水を張った洗面器を用意し、字を書いた面を下にして水面に浮かせ、30秒待ってみました。予想はしてましたが、流石に、凄い耐水性ですね。シャープな筆記線を維持しています。最後は、いつものとおりペーパークロマトグラフィーです。ペーパークロマトグラフィーについては、昔の記事を参照して下さい。コロイドにペーパークロマトグラフィーはどうかと思ったのですが、荷電や親水性によっては、一概に通用しないとは言えない様なので試してみます。詳しくは分かりませんが、水に濡れた紙は、マイナスに帯電するそうなので、粒子がプラスに荷電していると紙にくっついてあまり水と共に移動しないと言う事でしょうか?インクの移動も少なく、色調も地味なので面白味のない結果ですが、コロイドでもペーパークロマトグラフィーが通用することが分かり、個人的には満足しています。耐光性は、テスト中ですが、おろらく凄く頑張ると思います。そもそもカーボンが顔料として安定なことは、墨汁で書かれた古文書が証明してますから長期保存用に向いたインクと言えそうです。